和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

安倍晋三試論。

2013-02-17 | 短文紹介
注文してあった小川榮太郎著「約束の日 安倍晋三試論」(幻冬社・2012年8月発行)が、昨日とどく。とりあえず。読み終わる。
最後のほうにこうありました。

「安倍は、池田勇人の『所得倍増』以来、経済政策しか語らなかった歴代首相の中で唯一、『戦後レジームからの脱却』という国家の物語を語り、その物語に、政治家として息を吹き込もうとしたのだ。
安定した社会では政治家は『実際的利益』にだけ配慮していればよい。だが、『実際的利益』への配慮だけでは、その利益さえも得られなくなる時がくる。それは個人の人生でも国家の命運でも同じである。価値への希求がなければ、何が真の利益かも見えなくなってしまう瞬間があるのだ。
安倍が首相として登場したのは、日本にとって、まさにそういう局面だった。・・その意味で、安倍の『戦後レジームからの脱却』という理念政治は、日本の『実際的利益』を担保するという本来の役割を政治が果し直せるようになるためにも、土台造りとして、必要不可欠な試みだったのである。・・・
だが、これらを国民的な物語にしようとした安倍の志は、政策として果実を結ぶ前に、いやそもそも国民に届く前に、葬られてしまった。日本人の自己回復の戦いに、共に挑戦しようと訴えかけた総理が、その理念や業績とはまるで無関係なバッシングで引きずり降ろされ、国民はその仕組みと仕掛けとに気づきもしなかった。たった五年前の、この強烈な政治闘争は、それを正しく理解する者が殆んどいないまま、完全に封印されてしまった。
そして、その後、マスコミや有識者の誘導に乗って誕生した民主党政権は、日本の国力を日々消耗し、マスコミはその失政を容認し続けている。『安倍革命』の壮大なヴィジョンと、沸騰し続ける政権運営からは信じ難い政治の劣化だが、人々は、手を拱(こまね)いてため息をつくばかりだ。『決められない政治』という冴えないリフレインが、時代の合言葉になり、有識者ですら、日本の政治はこの二十年いつもそうだったと思い込んで、怪しまない。・・・・
安倍政権の挫折は、安倍晋三個人の敗北ではない。
日本国民の敗北だったのだ。 」(p206~208)


もし、この言葉に興味を覚えるようでしたなら、
どうぞ、お読みください。
私はこの試論を堪能させていただきました。
安倍氏に対する朝日新聞の数々の振る舞いに、
これで、引導を渡すのことが出来たのだと、そう信じます。
拍手。
コメント
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