和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

心萎えた時。

2013-02-02 | 本棚並べ
平成23年の週刊文春3月31日号。
うん。古い週刊誌を取り出してきました。
まあ、なにげなくひろげたわけです(笑)。
そこに、文春図書館特別篇「苦難を乗り越える一冊」という
特集があったのでした。

瀬戸内寂聴さんは、「一遍上人語録」(岩波文庫)を
あげておりました。
それを引用しておこう、また週刊誌はどこかへ行ってしまうかもしれない。

「私は心萎えた時、道を見失ったかと迷う時、つい引き寄せているのが『一遍上人語録』です。時宗の開祖で、空也上人を心の師と仰いだ一遍は、師の『捨ててこそ』の思想を実践して、捨聖(すてひじり)と呼ばれています。踊念仏という派手なパフォーマンスで全国を遊行し、南無阿弥陀仏の六字名号を弘めていきました。一遍の法語、和歌、消息文などが集められたこの書は、どこを開いてもはっと心を打つ言葉がひそんでいます。・・・・」

うん。東日本大震災のあとに、方丈記を読み始め、それがいつのまにか一遍上人へとつながって読んでいたのですが、寂聴さんは、まっさきに指摘なさっておられたんだ。ということで、また一遍上人をと、本棚を見る。

この文春図書館特別篇には
佐々淳行氏も一冊をとりあげておりました。
「非情の海」ニコラス・モンサラット(至誠堂)

「第二次大戦時、英国海軍は死に物狂いで対独戦に臨み、大西洋で船団護衛を行った。本書はコルベット艦(コンパス・ローズ)のエリクソン艦長とロックハート副長の物語である。Uボートとの苦闘と地獄のような任務、そして指揮官としての苦悩や喜びが実によく描かれている。極寒のゴムボート上で疲弊した乗員に歌を歌わせ、士気を高めようとするなど、危機的状況における『指揮官心得』が盛り沢山で、いま災害現場で戦う隊員にもひしひしと感ずるところがあるはずだ。普段はだらしのない水兵が艦を守るために命を顧みず奮闘するなど、極限状況における人間模様も興味深い。戦記物というよりも、人間学的アンソロポロジーとして読める一冊である。」

こちらは、ちょうど
曽野綾子自伝「この世に恋して」(WAC)を読んでいると
p48~49にニコラス・モンサラット著「怒りの海」の吉田健一訳をとりあげている箇所があって印象深いページになっています。私は未読ですが、「非情の海」と「怒りの海」は訳による違いで同じ本のようです。古本屋へと「怒りの海」を注文。
コメント
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