和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

政治的センス。

2013-02-20 | 短文紹介
渡部昇一著「取り戻せ、日本を。 安倍晋三・私論」(PHP研究所)を読みました。

石原慎太郎氏の国会質問と、けっこう重なる箇所があるなあ、などと読んでおりました。
渡部昇一氏の発言は、きちんと繰り返し発言される重要さにあると思っております。

ああ、こんな箇所もありました。

「昔も今も、『朝日新聞』は安倍さんを毛嫌いしています。第一次安倍政権当時の、マスコミの執拗なバッシング報道は、小川榮太郎著『約束の日 安倍晋太郎試論』(幻冬舎)に詳しく述べられています。」(p179)

ここでは、この本に登場する渡部昇一氏の経験に即して、引用していってみます。

まずは、岸信介氏について、

「岸は戦後、『A級戦犯』容疑者となりますが、不起訴となって公職追放されました。公職追放は昭和27年に解除され、政界に復帰しますが、じつはその直前、岸は西ドイツを訪問しています。戦勝国のアメリカではなく、西ドイツを選んだのが、岸の政治センスの優れたところでしょう。当時の西ドイツは奇跡的な復興を遂げていました。
私は昭和31年に西ドイツに留学しましたが、このころの東京はバラックだらけで、大学寮も、冬は外と同じくらい寒く、夏は外よりも暑かったのです。トイレや洗面所は別の建物。雨の夜は大変でした。ところが、西ドイツは街中が廃墟になったにもかかわらず、そのころは再建が進み、学生寮でさえ、セントラルヒーティングが行き渡っていたのです。
当時の西ドイツは、アデナウアー初代連邦首相が圧倒的な支持を受けていました。私は知人の家を訪ねたとき、普及しはじめたばかりのテレビで彼の演説を聞きました。アデナウアー首相はこのとき、三つの方針を示しました。

① アメリカと足並みを揃える
② 共産主義とは妥協しない
③ 統制経済をやめて自由主義経済を採用する

のちの岸首相も、アデナウアーとまったく同じ方針をとりました。日米新安保条約を結び、共産主義とは相いれず、統制経済を次から次へと解除したのです。」(p155~156)

「ちょうど、日本中が『安保反対、岸を倒せ』と合唱していた当時、私は初めて大学の教員になりました。・・私は、どう考えても岸の言っていることが正しいと思い、勤務先の上智大学で『岸首相を励ます会』をつくって、自ら会長になりました。・・・」(p202)

今回はどうだったのか?

「安倍晋三さんが、まだ総理総裁となる前の話です。先日お亡くなりになった政治評論家の三宅久之さんから、『安倍さんを総理にしょう』という呼びかけがありました。
三宅さんは生前、『六年間、美しい日本をつくろうと首相の座につき、厚い官僚の壁と戦い、利権構造打破に挑んだ安倍晋三氏。今、病を克服し日本のリーダーとして復活を期しています。この安倍氏に日本の未来を託すべく、私たち有志が立ち上がりました。志を同じくする方々の参加、応援を宜しくお願い致します』と声を上げ、同志の皆さんに呼びかけたのです。そうして生まれたのが『安倍晋三総理大臣を求める民間人有志の会』です。私も発起人の一人となりました。代表発起人の三宅さん以下、37名の著名人が名を連ねています。詳しくは、有志の会の公式サイトをご覧いただきたく存じます・・・」(p88)

そうした際に、朝日新聞はどうしたのかが、この本に書かれております。

「安倍晋三候補が当選した昨年(2012年)の自民党総裁選の結果を受けた9月27日付の『朝日』社説は、題して『安倍新総裁の自民党 不安ぬぐう外交論を』でした。文字どおり、表題から読者の『不安』を煽った社説です。本文でも冒頭から、こう安倍当選を揶揄しました。」

 うん。このあと社説を引用しております(p180~181)
いまさら、引用する気にならない私は、ここをカットしてつぎにいきます。

「長々と引用しましたが、本当なら、全文を紹介したいくらいです。あまりにひどい内容でした。もはや細かく論評するまでもありません。露骨な世論誘導ではないでしょうか。事実上、総裁選に突入していた昨年9月7日付の社説は、さらに酷(ひど)いものでした。・・本文の最後を『一国の政治指導者として不適格だ』と締めて、烙印を押したのです。」(p182)

せっかくなので、もうすこし引用をつづけます。

「今後もそうでしょう。第二次安倍内閣にとって最大の敵は、『朝日』に代表される反日マスコミなのかもしれません。そこに救いがあるとすれば、天下の『朝日』を筆頭に、ここまで露骨な世論誘導が図られたにもかかわらず、わが国民が下した審判は、『朝日』が求めた結果とは正反対になったことでしょう。もはや、かつての日本とは違う。『朝日新聞』が社説で『不適格』と決めつけた人物が、一国の政治指導者になる時代です。・・」(p184)
コメント
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