和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

神社の簡潔な結構は。

2020-05-03 | 京都
佐伯彰一著「神道のこころ」(日本教文社・1989年)を
古本で読めてよかった。

文中にいろいろ取り上げられてる本はあるのですが、
万事横着な私はそれらの本は、度外視しておきます。

いままで、私の『いつか読もう』本というのは、引用文献の
本へのつまづきが、ネックとなっておりました。文中に、
紹介されてる本は無視。難しい箇所は飛び越してゆく。
その爽快感。これからの私の読書の方針は、これで決まり。
飛ばし読みで、わからなければ、それはそれで一期一会。


さて、この佐伯彰一氏の本で、重量感のある箇所は飛ばして、
避けて、パラパラ読みしていても、残たものに輝く箇所がある。
まずはその輝きを反芻して、ここに引用しておくことにします。

佐伯彰一氏は、大正11年生まれ。
ここでは『大正11年生まれのパワースポット』ということで、
その輝くパワースポットを列挙してゆきます。

「わが身、わが家をふり返って見ると、どうにも仏教徒とはいえない。
わが家は古くから越中富山の居住者であったが、北陸にかくべつ
多い浄土真宗でもなければ、といって天台また禅宗でもなかった。

先祖代々のレッキとした神道の家であり、ささやかながら神職が、
代々の家業でもあった。父の代から、こうした一家伝来の職業から
離れたとはいうものの、家には、大きな神棚があって、
日々必ず神前で柏手を打ち、また供え物を欠かさなかったことは、
幼ない時分から、しかと記憶にたたきこまれている。

こうした思い出と事実を裏切る訳にはゆかない。」(p16)

ここに、「大きな神棚」が出てきます。
つぎ、その神棚が登場する箇所。

「わが家には大きな神棚があって、
祖父と一緒に毎朝必ずたき立ての御飯と水とを供えて拝んだし、
時には祖父の唱える祝詞のおつき合いもした。そして、
毎年の大晦日の夜は、同年輩の子供たちと一緒に
古い神社の社務所に『お籠り』をして、
元旦の朝拝のための準備作業に加わった。

高々とそびえる老杉の並び立つ境内の深夜は、
子供心にも神寂びた森厳さがおのずと伝わってきて、
12月末のしんしんと身に沁み入る寒気とともに、
忘れがたいフィジカルな記憶として、今でも
鮮やかに思い起こすことが出来る。

わが国の数多い神社のローカル、
いわば自然環境とその簡潔な結構は、
やはり宗教的傑作の一つではないだろうか。

おのずと美的秩序があり、浄らかな奥床しさ、厳かさが伝わってくる。
しかも事々しい押しつけがましさ、勿体ぶった威圧感がまるでない。
・・・・」(p57)

「この立山の山麓こそぼくの幼少年期の大方をすごした土地で、
ぼくら佐伯一族が、代々立山信仰を奉じてきたという話は、
祖父から事あるごとにきかされて育った。
 ・・・・・・・

わが家のご先祖は、前にも述べたように、
こうした縁起をいわば絵物語としておりこんだ『立山曼荼羅』を
肩にかついで、冬期には、諸国へ布教の旅に出むいた。
ぼくらの村落(芦峅寺・アシクラジ)では、佐伯三十六坊といって、
計三十六軒の宿坊があり、それぞれ布教の領域がきめられていた。
わが家は、吉祥坊とよばれ、受け持ちの地域は、武蔵と江戸であった。」
(p83~84)


この本「神道のこころ」は、雑誌や新聞に掲載されたものを
まとめた一冊のようです。はやいところでは昭和41年。
それから昭和64年までの文が一冊となっておりました。

うん。断片をまとめる意味でも、最後にこの箇所を引用。

「日本人として、神道の意味を
腰をすえて考えるべき時期ではないだろうか。」(p251)

ちなみに、この本は1989年ですから、
今から31年前の出版です。つづけます。

「神道は日本根生いの宗教というばかりか、
不思議な生命力をはらんでいて、
幾多の変転を耐えしのぎながら、
現在も決して死に絶えていない。
いく度か外来の大宗教の攻撃に圧倒され、
滅びかけながら、もっぱら受け身の、
一見かぼそい力をふるって、わが身を持たせ続けてきた。

たしかに古めかしく、頼りなげな弱さを時折露呈しながら、
今も正月の神社参詣から、季節ごとの祭り、さらには
伊勢や出雲まいりまで、思いがけぬほど深く、
われわれの生活のうちに溶けこんでいる。
お盆ごとの帰郷や墓参なども、
その根をたどれば、神道に行きつくだろう。」(p251)

はい。今回のパラパラ読みは、ここまで(笑)。
一回で読み終える。という傲慢は避けます。
気になれば『いつか読もう』と本の方が輝きだす。
とりあえず、パラパラ読みしてあとは本棚へ。


このgooブログに参加させていただいて、
皆さんが載せていらっしゃる写真を見ています。
花や、動物や風景にまじって、神社仏閣の写真や、
日の出日の入り写真を拝見させてもらっています。

わたしには、これらの見ごたえある蓄積がありました。
GOOブログで発見する、パワースポットのありがたさ。
ということで(笑)。




コメント
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