和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

切れ味コラム。

2020-05-10 | 短文紹介
産経新聞5月10日の読書欄「産経書房」。その「新仕事の周辺」に
コラムニスト小田嶋隆氏が登場しておりました。

うん。私の小田嶋さんのイメージは、切れ味鋭いコラムニスト。
という感じを持っております。

「このたびのコロナ禍で、国民が蟄居(ちっきょ)生活を
強いられてから、一カ月が経過している。・・・」
とはじまります。
まずは、まな板にご自身をのせて、こう語ります。

「われらコラムニストは、世界に対して二次的に
(つまり他人の仕事を通して)しか関わりを持っていない。
だからこそ、はじめからないない尽くしの書き手である
コラムニストは、ひと月やそこらの外出自粛要請では、
ダメージをうけないのだ。」

こうして、かえす刀で、バッサバッサと切り込んでゆきます。
そこを、引用してゆきます。

「取材先を失ったスポーツ紙は、瀕死だ。
一面は、慣れない政治ネタで空回りしているし、
後ろのほうは、有名人のツイッター発言を引用した
粗製乱造のコピペ記事で急場をしのいでいる。

雑誌もひどい。聞けば、女性誌は、4月からこっち、スタジオ、
ロケともに、モデルさんを起用したグラビア撮影ができず、
ファッションのページが作れない。
さらに、取材源である各種の商業施設や店舗の閉鎖を受けて、
タウン情報もスカスカになっている。

・・漫画雑誌も苦しい。さもあろう。そもそも漫画という奇跡は、
漫画家と先生と編集者とアシスタントの若者たちが密室に
閉じこもることで生じる『熱』をエンジンに制作されている。
テレワークでは熱が冷めてしまう。

テレビはさらに悲惨だ。というのも、
ワイドショーやひな壇バラエティーが、結局のところ
『三密』に依存した空騒ぎであったことを、
今回のコロナ禍が、逆方向から証明してしまっている形だからだ。
実際、蟄居テレビの画面は、スタジオに密集する
野良タレントの凝縮力を失った瞬間に、空虚さを露呈している。
・・・・・」

はい。バッサバッサと切ってゆくので、
こちらは、あっけに囚われながら引用しちゃいました。

こういう時、どういうわけか、
私に思い浮かぶのは、
徒然草の第229段。

「よき細工は、少し鈍き刀を使ふといふ。
妙観が刀はいたく立たず。」

うん。小田嶋隆さんの、短いけれど
生きのいいコラムとなっております。

下手に真似すると怪我をしそうな切れ味。
私はこういして引用するのが関の山です。




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「後回し」の「しっぺ返し」

2020-05-10 | 短文紹介
今日こちらでは、雨が降りはじめております。

さてっと、川について思います。
洪水は、堤防の弱い箇所を決壊させ、氾濫してゆきます。
あらかじめ分かっていれば、その箇所を指摘して、
そこを重点的補強しておけば、あとは安心できる。


さて、安心できず、後回しにしていた
『憲法の不備』はどうすればよいのか。

安倍晋三首相は、憲法改正を掲げておりますが、
これからどなたが、これに名乗りをあげるのか。

「東日本大震災時にも災害緊急事態の布告はなく、
重大緊急事態に対処する安全保障会議さえ開かれなかった。

民主党政権の不作為は責められるべきだが、
緊急事態に関する憲法規定が存在しない
という法体系の不備に根因がある。

大震災の悲劇を顧みて、憲法不備が真剣に問われるのかと思いきや、
手付かずのままで今回のコロナ拡散にいたった。」
(雑誌「Voice」6月号の巻末コラム・渡辺利夫)

コロナ収束後になって、話題にも上らなかった
『国家緊急事態を憲法条項に盛り込む』ことが、
果たして可能なのかどうか。

「目を凝らせば、サイバー攻撃があり、
テロリズムがあり、尖閣諸島への中国公船による侵犯があり、
首都直下型地震や南海トラフ地震の発生の危険性が迫る。」

渡辺利夫氏は指摘します。

「後手に回るのも無理はない。
何しろわが国には国家緊急事態に関する憲法規定が存在しない。
平時の備えで対処するしかない。
宣言が出されても、措置の大半は『要請』から『指示』にいたるのがせいぜい、
罰則は例外的であり、私権制限にも『必要最小限』の縛りがかかる。」


うん。コレラ禍の情報蒐集に関しても、おそらく
なんらの権限も付与されない中での収集となるのでしょう。

安倍晋三首相は、議会の手順を順番にすすめようとしておられる。
「重大かつ即座に対応しなければならない」とは、
コロナ禍の収束後の憲法不備に向かっての言葉でなければならない。
のじゃないでしょうか。はい。この意識をもたなければ『山』は動かない。

はい。カッコ内は
雑誌「Voice」6月号の巻末コラム
連載「文明之虚説」の30回目。
渡辺利夫氏の文を引用しました。
5月号の巻末コラムは題して
『国家緊急事態とは何か』とあります。


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