和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

『知』の間口の広さ。

2020-05-20 | 産経新聞
新聞の死亡記事に思います。
以前は新聞夕刊の文化欄で死亡者が文化に貢献された方だと、
その追悼文が、載っておりました。
最近は夕刊を取らなくなり。それ以来だと思うのですが、
新聞で追悼文を読まなくなりました。残念でした。

うん。こんなことが思い浮かんだのは、
産経新聞5月19日の産経抄のコラムを読んで、
その追悼文が印象に残ったからです。
コラムは、中国文学者、井波律子さんの訃報を
伝える追悼文となっておりました。

さあ、こう書いて、つぎに産経抄を引用してみます。

「 ・・・・・
中国の長い歴史は、英雄から大悪人まで多彩な人物を
生み出してきた。井波さんは、彼らが残したエピソードを
わかりやすく紹介してくれる・・・

たとえば、現在の四川省の住民の皆殺しを図った、
明末の反乱軍のリーダー、張献忠(ちょうけんちゅう)である。
『あいつを〈収拾(ショーシ)〉してくれ』という言い方で部下に
殺害を命じた。
この人物から連想したのが、オウム真理教の元教祖、
麻原彰晃元死刑囚である。地下鉄サリン事件の報告を
受けると、『ポアしてよかったね』と喜んだ。

京都大学文学部ではじめフランス語を学び、やがて
中国文学に転じた。第一人者だった吉川幸次郎さんの
門をたたき、厳しい修養を積み重ねた。
『三国志演義』の個人全訳という、6年がかりの大仕事もある。
キーボードをたたき続けているうちに、指先の皮膚が角質化
して全部はがれてしまったという。」

はい、コラムで追悼文を読める贅沢。
あとは、最後まで引用していきます。

「小学生のころ暮らした京都の西陣では、
毎日映画館に通い、近くの貸本屋の小説や漫画を読みあさった。
昨年出版した『書物の愉しみ』(岩波書店)では、
中国の古典はもちろんミステリーからロックンローラーの伝記まで
扱っている。著作が多くの人に愛された理由は、『知』の間口の広さだろう。

メディア史家の佐藤卓己さんが日本経済新聞への寄稿で、
井波さんを『心の師』と呼んでいた。二人が所属していた
国際日本文化研究センターから佐藤さんの京都大学への
異動が決まったとき、意外な言葉を受け取った。『がっかりしたわ』。
大学の看板などなくても自分の名前で書ける人だと思っていた
というのだ。井波さんこそ、その通りの人だった。」


佐藤卓己さんの日経新聞への寄稿文も読んでみたいけれど、
一面コラムで魅力の追悼文が読めた。ということで十分満腹。
ちなみに、井波律子著『書物の愉しみ』は
アマゾンで現在品切れ中となっておりました(笑)。
うん。
井波律子さんの本をせめて一冊でも読もう。
と思いました。はい。読みましたなら、感想を
当ブログで紹介したいと思います。
うん。手応えのある産経抄を読めてよかった(笑)。



コメント
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