夫の看病のため家を空けなければならない妹に頼まれ、9歳の甥っ子を預かる事になる中年男性。
甥っ子と同年代かそれより少し年上の子どもたちの声を集めたラジオのドキュメンタリー番組を制作している男性だが、自分の甥っ子の予測できない言動に振り回される。
妹と疎遠だったとは思えない位、甥っ子の言動についてどのように対応したらいいか相談する兄妹。保護するべき対象である子どもの面と、一個人として子どもの言動を尊重すべきという面。一見すると相反する二つの事を克服しなければならないといら立ちを見せる伯父である中年男性。
両親と一緒に生活しながらも、神経過敏な父親に翻弄される母の様子を身近で見てきた9歳の甥っ子は、大人びた態度を見せたかと思えば、大人と自分の距離を微妙に測ろうとする態度を見せる。ダダをこねているのか、愛嬌を振りまいているのか・・・・はっきりしない態度で自分の世話をしてくれる伯父を煙に巻くような態度を取るのだ。
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彼がインタビューする子供たちは、大人がハッとするような決心だったり、自分の人生についての決意を述べる。これから社会の中で自分がどんな風に生きていくか、キチンと自分の言葉で説明する術を持った子供たち。
自分の甥っ子もそんな一面を持っているはずなのに、日常生活では逆に近すぎてそんな一面は見えなくなってしまう中年男性。近すぎるあまりうまくいかず、近づこうとしてかえって溝を深めたり・・・しかし、良い伯父さんになる可能性を秘めた彼に、もっと自分に近づいて欲しいと甥っ子が発するのが「カモン カモン」という言葉なのだ。(別の意味かもしれないが、私はそんな風に理解した)
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子どもをケアする大人の役目についての考え方が日本とはちょっと違うのではないかと思う。その違和感を無くしてくれたのは、モノクロで映し出されるロサンゼルス、ニューヨークそしてニューオリンズの風景だ。