私の映画玉手箱(番外編)なんということは無い日常日記

なんということは無い日常の備忘録とあわせ、好きな映画、韓国ドラマ、そして
ソン・スンホンの事等を暢気に書いていく予定。

国境ナイトクルージング

2024-10-24 22:05:39 | 映画鑑賞

中国東北部、北朝鮮との国境の街延吉、フィギュアスケート選手時代の傷を抱えながらバスガイドをする若い女性。
延吉は延辺朝鮮族自治州の街。街で行われる結婚式は、新郎が中国人で新婦は朝鮮族。司会者は中国語と朝鮮語を操り、新婦の親族たちはチマチョゴリを着て祝宴を盛り上げる。街中の飲食店にはハングルの看板が掲げられ、若者たちが集うバーで歌われるのはK-POPだ。
国境の街らしく二つの文化が自然に交じり合う。

ガイドの女性ナナは、観光客たちと一緒に朝鮮族の民俗村に行けばカメラマンになり、観光客をツアー向けの料理店に送り届ける。
そんな彼女は、自分のツアーに一人で参加し、携帯を失くした男性を友人と一緒の食事に誘う。気楽にツアー客に声を掛けるその様子に楽しさは感じられない。自分の寂しさを紛らわすかのように声を掛けた彼女と同様、ツアーに参加した若い男性も彼女の友人と一緒に彼女の家に上がり込み飲み明かす。

診療を促すクリニックからの電話を何回も受ける男性の笑顔は力なく、休みなく2週間働いたという彼女にも心からの笑顔はなく、叔母の食堂で働くナナの友人にも底抜けの明るさは感じられない。何もせずにはいられないが、具体的に何かをしたいわけでもない。そんな3人がただ、流れる時間を何かに使いたいがために、長白山にある天池を見に行こうと寒い中車を走らせる。

そんな姿を見ながら、なぜか自分も同じように目的もなくどこかに向かっているような気分になる。冗談を言い合い、ただ寒い中、車を走らせる姿を見ているだけなのだが、彼ら同様に自分もどこか少しだけ解放されたような気持ちになる。

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長白山(朝鮮名:白頭山)は朝鮮民族にとっての聖地。そこで彼らが美しい物語のように語った話は、朝鮮の始祖神、壇君の話。国境の街、お互いの文化が混ざり合う地ならではだ。

王子が人間界に降りて来た際、虎と熊が王子に人間になりたいと訴える。それを聞いた王子は、ヨモギとニンニクを彼らに与え、それだけで洞窟の中で100日過ごす事が出来たら人間にすると約束する。虎は逃げ出すものの熊は耐え抜き美しい女性になり自分を人間にしてくれた王子と結婚をして壇君が生まれる。

彼らが遭遇する熊にもそんな意味が込められていたのだろうか。

 



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