3人が渡り切ったガラスの橋は粉々に砕け散り、残った3人が最後のゲームに進む事になる。
ギフンはサンウが最後まで残った参加者を突き飛ばした事を責め立てるも、以前の彼とは全く違った様子を見せるサンウ。
「勝ち抜くためにここまできた」という彼に「そもそもソウル大を出ているのに何でこんなところまで来たんだ!」と核心を突くギフン。そうなのだ・・・ギフンがここに来ることになったのは分かる。務めていた自動車会社の工場が閉鎖された事ですべてがうまく行かなくなり、やり直すチャンスがつかめなかったギフン。一度転落してしまったらリカバリーする事が難しかったであろう人生がなんとなく想像出来る。
エリートだったサンウは勝つ人生に固執しすぎたのかしれない。欲を出さなければうまく行っていたのかもしれないが、一度失敗した後は、ギフンと同じように取り返す事が出来ず、結局負債を増やし行きついた場所がこのイカゲーム会場だったのだ。
(このあたりのエピソードがもっとあったらよかったのにと思うが、ゲームに興じる場面が中心のドラマゆえ、台詞のやり取りから想像するのは、この程度で限界だ・・・)
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その後、まるで最後の晩餐かのようにステーキが用意されるも、ガラスの欠片が下腹に刺さったセビョクは殆ど食事を摂る事が出来ない。すべて食べ終わった後に各々の前に置かれたのは一本のナイフ。ゲーム中に勝敗を決めるだけでなく、いわゆる寝首を搔く方式まで取り入れているこのイカゲーム。
眠ったらサンウに殺される事を確信し、セビョクを守ろうとするギフン。「一緒にここを出よう。もしどちらかが負けたら、お互いの家族の面倒を見よう」とセビョクを元気づけようとするも、怪我をしたセビョクには約束する力も残っておらず。
更に怪我に気づいたギフンが助けを求めている間に、セビョクはサンウにとどめを刺される事になるのだ。
キャスティングを見れば、この二人が最後に残る事は最初から分かっていた。それでもこんな形で直接対決になるとは・・・・
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殺人ゲームの様子を携帯で撮影し、島を抜け出す警察官だが、電波の届かない場所からでは証拠の映像を送る事は出来ない。そして追いかけて来たスタッフ達に崖の前で追いつめられる彼。
兄を探しに来たはずだった彼は、黒いマスクを着けた男がゲームに参加して姿を消した自分の兄だと気づくものの、その兄は弟を手にかけてまでもゲーム会場の秘密を守ろうとするのだ。
本当のゲームの主催者ならそれも分かる。ただ、彼は言ってみれば雇われ元締めではないか・・なぜ雇われの身でそこまで・・・
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追記:
このドラマを見て、しばらくしてから「韓国で23年ぶり完成車工場」という新聞記事を目にする。労働組合なしで「賃金半額」を実現し、安価に受託生産を行うことを実現させたのだという。
韓国の自動車業界は労使対決が激しいのだという。ドラマの中でも自動車業界に限らず、労使が激しく対立し労働者側が苦境に立たされ、それがきっかけで生活が破綻し、家族が散り散りになるという場面が良く出てくる。とにかく労働組合の闘争は、日本では想像できない程激しく描かれ、そしてそれは不幸の始まりとして描かれるのだ・・・