全体的に画面の作りも暗く、畳みかけるストーリーと語る内容の多さは、とても面白いドラマなのに、どうしても見進めるのが辛くなるドラマだった。
性犯罪で傷ついた妻を持った弁護士でもある政治家が、同様の人を助けたいという思いから論理的にはやや無理のある法を世論を味方にして成立させたいと、政治家としての信念をもって突き進むというストーリー故その暗さはある程度しかたないと思っていたのだが、なんとその夫本人が過去に性犯罪を起こし、それをもみ消し、その贖罪の意味も込めて法整備に執着していた事が最後の最後に分かる。政治家であるジュンドを守るべく行われた補佐官の行動の数々は、最後の大きな行動もある程度予想の付く事だったので驚きはなかった。しかしこれは・・・・薄っすらとなにかあるとは思ったが、それでもこの展開は、ドラマを見ていただけの私が「それはないよ・・・」と思わず言いたくなる展開なのだ。夫を信じてついてきた妻の落胆はどれほどのものか。。。
『答えのないトロッコ問題は暴走する。ブレーキのないトロッコは、トロッコをコントロールしているはずの本人をも轢き殺そうとしているかのようだ。』と前回の終わりに書いたのだが、結果的に、法整備をすることで自らの罪をなかったかのように信じ込もうとしていたのだ。まさに自爆・・・もう何を言っても弁解の余地はない。
人の心の闇の深さに底知れない怖さも感じるが、妻であったヘジュの生き続けようとする強さを感じさせる最後に、少しだけ未来も感じる。とにかく生きていかねばならないのだ。
追記
妻ヘジュの仕事は書籍修繕だった。ドラマの内容とこの職業についてリンクした感想を書きたかったのだが、上手くまとめる事が出来ず、結局彼女の仕事については何も書く事が出来ずに残念だった。本への落書きや破れにも思い出があり、更に修繕するという事に意味もあったのだと思う。