ボストンで便利屋として生計を立てている主人公。
兄が亡くなったとの知らせを受けて故郷のマンシェスター・バイ・ザ・シーに車で向かう。
心臓に病を抱えていた兄は、相談することもなく、息子の後見人に弟である自分を指名していた。
故郷にいた頃、可愛がっていた甥はもう高校生だ。
兄の代わりに甥を育てるとしたら、故郷に戻ってこなくてはならない。
便利屋としての腕は確かなようだが、愛想はない。口数は少ないのに、時々思い出したように感情を爆発させる。
ボストンでそんな風に暮らしていた理由は、故郷を捨てたことに原因があったのだ。
父の死を受け入れながらも、叔父と一緒にボストンに行くことを拒む甥。
残された甥との生活をどのようにするか、思いあぐねる弟。
二人の過去の生活と現在の生活が交差し、弟が故郷を捨てる事になった辛い出来事が少しずつ分かってくる。
彼らに寄り添ってくれる人もいれば、遠くから見守るだけの人もいるし、受け入れることを拒む者もいる。
辛い思いを乗り越えるだけが進む道ではないのだ。乗り越えられないことを認め、それでも残された時間があるのなら、生きていくしかない・・・・・ストーリーは、マンシェスター・バイ・ザ・シーの穏やかな景色とともに淡々と進む。
主人公を演じるケイシー・アフレックがアカデミー主演男優賞を受賞したのは当然かもしれない。
消えない悲しみを抱えつつ生きている姿が余りにも自然だ。