私の映画玉手箱(番外編)なんということは無い日常日記

なんということは無い日常の備忘録とあわせ、好きな映画、韓国ドラマ、そして
ソン・スンホンの事等を暢気に書いていく予定。

悪の心を読む者たち 第11,12話

2022-07-24 19:47:36 | 悪の心を読む者たち 韓国ドラマ

事件の捜査の為に犯人から話を聞く一般の捜査員と違い、犯人の生の声を何の防御をすることもなく受け止めるハヨンのストレスは想像を絶するものだ。結局、自分でコントロール出来る以上のものを受け入れてしまったことで、自動車事故を起こすハヨン。

意識が戻ったハヨンは現場に戻る事をせずに退職しようとするも、それを思いとどまらせたのは同僚たちの存在。彼がどれだけのストレスの元で真剣に仕事に向き合ってきた事を知っている現場の同僚たちは、彼の意識が戻らないうちから何度も病院に彼を見舞っていたのだ。現場の捜査に邪魔になると懐疑的な目を向けられていた頃から、真摯な思いで犯人像を特定しようと地道な捜査を行ってきたハヨン。それが同僚たちに認められ、彼の経験が必要とされるようになったのだ。

動機のない殺人事件の捜査は、想像もつかない程殺伐としたものだ。逮捕以前の彼らはそのプライドの高さから自信満々な行動を見せ、捕まった後は自分の行ってきた事件の事を武勇伝のように語りたがる。その心の中を覗きながらも、被害者と被害者家族に心を寄せる捜査がどれだけストレスのあるものか・・・

時代の流れとともに、各所に設置された防犯カメラが犯罪抑止に効果を上げている事は分かったが、まるで突然変異のように起こる事件を直接的に防ぐ手立てはないのだ。ドラマのタイトルである悪の心を読む事が終わる事はないのだ。演じるキム・ナムギルの顔からどんどん生気が無くなっていったのも当然だろう。プロファイラーという仕事がとにかくプロフェッショナルで非常に専門的な知識が必要な職業だということはよくわかった。何も知らない者が「犯罪者の心理は・・・」などと軽々しく口にしてはいけないのだ。


悪の心を読む者たち 第9,10話

2022-07-19 21:38:08 | 悪の心を読む者たち 韓国ドラマ

悪の心を読みながら、ナイフを凶器にする殺人犯の絞り込みに苦慮する警察だったが、とうとうその犯人も捕まえる事になる。

しかし、捕まえてからも警察にとっては地獄だ。「なぜ?」に対する答えは簡単には出てこない。ハヨンは詳細な自白を得ようと、ひたすら犯人に寄り添い、犯人に無条件とも思える同意を見せて彼に犯罪の詳細を語らせようとする。「いままでこんなに自分の事に興味を持ってもらえる事はなかった。自分の喜びをわかってもらえてうれしい」すべてを受け入れるハヨンを、自分の仲間のように感じて殺人の詳細を嬉々として説明する犯人。ハヨンの疲弊はドラマを見ている私をも疲弊させる。自身は人を殺めてはいないのに、何度も追体験をすることで犯人以上に疲弊するハヨン・・・

部屋には自分の起こした事件の新聞記事を飾り、ライフワークの殺人をいつまでも出来るようにと体力維持に余念のない犯人。どれもが想像もつかない世界の話だ。それを少しでも理解し、事件の解明に、そして今後の事件の阻止のデータにしようとするハヨン。

それはハヨンの神経を少しずつ蝕んでいく。彼の行動が犯人に近づきすぎる様子を見て、「犯人の心情になることが多分一番疲れない方法なのかもしれない」とさえ思えてくる。

*****

悲惨な子供時代を送っても、彼らのように道を踏み外さない者がほとんどだ。一線を超えるきっかけは一体なんなのか・・・そこに答えがあるのか・・・捜査官を演じているギム・ナムギルの顔からどんどん生気が無くなっているいるのが非常に恐ろしい・・・


悪の心を読む者たち 第7,8話

2022-07-14 21:47:13 | 悪の心を読む者たち 韓国ドラマ

高級住宅地での殺人事件の容疑者の後ろ姿を公開し、「お前は見られている」というメッセージを犯人に送り、起こるであろう犯罪抑止に役立て、更には時間稼ぎをしてその間に犯人の痕跡を探そうとする犯罪行動分析チームと捜査チーム。

犯人が慎重になる事で犯人逮捕が逆に遅れるのでは・・・と躊躇する捜査チームだが、いずれのチームも犯人を捕まえたい気持ちは一緒だ。お互いに取るべき手法が違うだけだと折り合いをつけて捜査に当たるしかないのだが、一般市民にそんな心持が伝わるわけもない。「警察は何をしているのか?」とフラストレーションはたまっていく。そしてそんな時に再び住宅地で起こる女性への暴行事件。

若い女性のあとをつけ、わざわざ自分の姿を確認させたうえでレジャーナイフで下腹部を刺して立ち去るという事件は、暗い場所で自分の顔を見せないように女性を襲うという基本中の基本のセオリーから外れたもの。

目撃証言から、同じような小柄な犯人像が浮かび上がり、犯人が鈍器からナイフに凶器を変えたのではとも思われる事件なのだが、ハヨンはパターンが違うと主張し、連続殺人犯が二人いるという仮説を打ち出すのだ。そして捕まる高級住宅地の殺人事件の容疑者。

怨恨でなく殺人に対して快楽を感じる犯人へのアプローチには負担が伴う。犯罪を犯した気持ちを100%理解し、解明することはできず、その部分を残したまま、犯人の行動パターンを探ろうとする行為は、自分の心に考えられない程の負荷をかける。それでも次の犯罪を未然に防ぐために彼らの心を読まなければならないのだ。

悪の心を読みながら、ナイフを凶器にする殺人犯の絞り込みに苦慮する警察・・・・

*****

ドラマの中の警察同様、見ている方にもなかなかの負荷がかかるドラマだが、犯人逮捕に真摯に向き合う気持ちは伝わってくる。

 

 


悪の心を読む者たち 第5,6話

2022-07-12 21:22:28 | 悪の心を読む者たち 韓国ドラマ

犯罪行動分析チームの仕事はすぐに結果の出るものでもない。データの蓄積もなく、前例と比べて事件を分析できないチームにとっては、データの取集、分析が欠かせない。しかし、それはすぐに犯人検挙に繋がるものでもなく、コスト的には未来を見据えて持ち出しなのだ。1年、また1年とチームの延長を認めてもらい、その間に現在起きている事件も注視しつつ、すでに収監されている犯人たちのデータを集めてそれを分析しなければならないのだ。

「事件は現場で起こっているんだ!」と現場の刑事たちが熱く訴えるのは、日本だけでなく韓国も同じ事なんだろう。現場の捜査を取り仕切る刑事たちが「分析して何が判る?」と反発するのは万国共通なのかもしれない。更に刑事たちはプライドが高く、噂話も好きだ。犯罪行動分析チームに協力する体制は、まだまだだ。

そんな中起こる、日中、高齢者しか在宅していない高級住宅地で起こる殺人事件。防御した形跡もなく殺されている被害者たち。物取りの犯行でもなく、ただ鈍器で殴られて殺されている状況から、自分たちの分析が進行中の事件に生かせるかもしれないと現場に足を運ぶ犯罪行動分析チームメンバーたちだが、現場第一主義、刑事第一主義の捜査チームからはなかなか受け入れられない。

手がかりのない中、次の事件が起こるのを防ごうとするハヨンは、後ろ姿の映った防犯カメラの映像を公開することを進言するのだ。

******

怨恨や物取りが目的でない犯罪の捜査は困難を極める。欲望の赴くままの事件は、その行動パターンから解明していくしかなく、その行動パターンを常に見極め判断するしかない。見ているのも重苦しい雰囲気なのだが、主演のキム・ナムギルがこのドラマの雰囲気に驚くほどピッタリなのだ。


悪の心を読む者たち 第3,4話

2022-06-29 21:46:10 | 悪の心を読む者たち 韓国ドラマ

鑑識の仕事を辞めて退路を断ち、犯罪行動分析チームを立ち上げる必要があると力説し、プロファイラーの能力を持っているとハヨンをスカウトするヨンス。予算もなく、人的余裕もなく、更には「そんな事に力を注ぐ余力があったら直接の捜査に尽力すべき」という刑事たちの反発もあり、「アメリカではプロファイラーという職業が・・・」という説明は、ただの外国かぶれのように煙たがられてしまう。

ただ、経済的に成熟してくると「殺人が目的の殺人事件が起こる」と言うヨンスは、それを止める為には、犯罪者のパターンを知り、それを止める術を警察内部に蓄積する必要があると「犯罪行動分析チーム」を立ち上げるべく、非常にソフトの署内調整を行う。倉庫のような場所に事務所を構え、ノウハウを蓄積すべく、実際の捜査に加わりたいと、更に根回しを行う。

署内で疎まれる事になっても、コミュニケーション能力に長けたヨンスと、プロファイラーという仕事のイメージが自分の中に既にあるハヨンの二人は、女性チーム長という事で同じように署内で煙たがられているユンチーム長と一緒に5歳の少女の失踪事件の捜査に当たる。

両親の願いもむなしく、少女はバラバラにされて殺されていた事が判る。なぜ少女なのか、なぜバラバラにされたのか・・・手がかりはなく、ハヨンのプロファイルを元に再度捜査を見直す事になる捜査チーム・・・

*****

ドラマを見ていると連続殺人事件には、5W1Hのうち、5Wにはあまり重要な意味がないように思えてくる。もちろん犯人にはこだわりの場所や時間もあるのだが、それはすべて犯人の中のHOW(どのように)ということを成功させるための要因でしかないようで、こだわりの殺し方を成功させるために、ピッタリの場所だったりピッタリの時間があるように思えてくるから恐ろしい。「なぜ殺人を?」という質問には答えがなく、殺人がシンプルな目的なのだ。天災事変よりも、もっと怖い心の闇がそこにある・・・手探りでその世界に分け入ろうとするハヨン。

******

プロファイラーが犯人の行動を理解する必要があると力説するヨンス。彼のフルネームはクク・ヨンスなので、クク(国語)ヨン(ヨンオ:英語)ス(スハク:数学)となり、名前に「国、英、数が入っている変わった名前」というのが、定番の自己紹介ネタのようだ。(これであっているんだろうか・・・)韓国では、「変わった名前」ということで紹介されるのは、このパターンのような話が多いようだ。


悪の心を読む者たち 第1,2話

2022-06-23 22:40:39 | 悪の心を読む者たち 韓国ドラマ

刑事として若い女性の殺人事件の捜査にあたるハヨン。犯人と思われる赤い帽子をかぶった男を検挙するも、真犯人は別にいるのではと疑うハヨン。

しばらくして今度は妊娠中の若い女性を殺害する事件が発生。恋人が疑われ、先輩刑事は彼が犯人だという決めつけの元、圧迫面接ならぬ圧迫取り調べで、亡くなった女性の恋人を犯人に仕立て上げる。疑われても仕方ないような経歴を持っていたとしても犯人とは限らない。納得できないハヨンは、あくまでも冷静に「真犯人は別にいる」と言い、先輩刑事もいる中で、再び事件現場に赴き、現場検証と証拠調べを始めるのだ。事件のあった家の門扉に書かれた数字から、デリバリーのドライバーに狙いをつけ、更には赤い帽子を被った小柄な男の目撃証言を探し求める。「犯人は別にいるはず」と言いながらも、一見するとハヨンのテンションは低い。事件の収束を図る先輩刑事にたてつくわけでもなく、いくつもの証拠を探し出し、それらの証拠が重なる部分にいるであろう犯人を見つけ出そうとする。更にそれだけでは飽き足らず、「犯人の気持ちが判るのは同じ犯罪者だ」とすでに収監されている人間から「犯罪者の心理」を探り出そうとする。

プロファイラーという職業は知らずとも、犯罪者の心理を知ろうとし、犯罪者の行動パターンをその現場に残された手がかりから知ろうとする姿は、もうすっかりプロファイラーのそれだ。

****

刑事のハヨンを演じるキム・ナムギル。善徳女王に出演していた頃から「あの容貌と持っている雰囲気はサスペンスミステリーにピッタリだ」と思っていたのだが、心の奥底に秘めた感情を静かにコントロールするこの刑事役は、まさにそんな役だ。彼はどんなドラマでも、キム・ナムギル劇場にしてしまう妙なパワーがある。これもそんなドラマになるんだろうなと思わせる香りがする。