物価高対策として、今年の6月から開始されている一人当たり住民税1万円、所得税3万円の定額減税。
毎月の給与からの所得税で行われるいわゆる月次減税は順調に進み、既に3万円分の処理が終わった人もいれば、まだまだ続く人もいるだろう。
月次減税で所得税分の処理が終わったようでも実は終わっていない人がいる。
現役の人に一番身近な例は、住宅ローン控除を受ける人だろう。
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住宅ローン控除を受け年末調整処理で所得税がゼロになった人は、月次の給与で行った減税が行われなかった事になる。
こういう例に対応するのは各市区町村が担う事になっており、このように定額減税において減税しきれないと見込まれる人に関しては、調整給付を行うことで対応することになっているのだ。
どこの市区町村も、昨年(2023年)に住宅ローン控除を受けた人で所得税額がゼロになった人は、今年2024年も同様に年末調整で所得税がゼロになる可能性が高いと認識してその準備をしていることだろう。
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ただ、その実務手順については、各市区町村に取扱が任されているようだ。
ある市区町村A市のHPには「住宅ローン控除を適用されている方は、現時点で令和6年分の所得税額の推計が困難だから、令和6年度分の調整給付金の確認書は送りません。令和6年の所得税が確定した後に令和7年度分に実施予定の不足額支給対象になります、」というお知らせ文が掲載されており、現時点では「調整給付金の確認書」の送付は行わないと書かれていた。
別の市区町村B区のHPでは、前年分の状況を見越し、該当と思われる人には書面を送付し、必要事項を記載の上、その書面を返送した人にのみ調整給付金支給を実施すると書かれていた。
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市区町村によって取扱が違う事に気づいたのは、同僚から「市区町村から確認の書面が届いたのだが・・・」と相談を受けたからだった。
B区の住民である同僚が手にしていた書面には、HPと同様に区から送られてきた書面を返送しなければ、給付金の給付を辞退したものとみなします。と書かれていた。
更に『期日を過ぎての申請および給付は出来ない。郵便の不着や事故に関して区は一切の責任を負わない』とまでと書かれているようだ。なかなか手厳しい。
しかし、A市のHPのQ&Aコーナーでは、『令和7年度に実施予定の不足額給付は納税義務者が手続きをしなければ支給対象にはならないのですか?』という質問に「令和6年分の所得税が確定した後に、令和7年度分の不足額給付の対象納税義務者へA市から書類を送付する予定です」と書かれている。これは「心配頂かずとも大丈夫ですよ」という意味だろう。
税の公平性が担保されていないのでは?と言われている定額減税。こんな所もそんな公平性と関係があると思わずにはいられない。
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見出し画像に使ったのは9/14の日経新聞の朝刊の特集記事。定額減税と調整給付の事がかなり分かり易くまとめられている。