ヴィクトリア女王 在位50周年を祝う記念金貨の献上役に選ばれたインド人の青年アブドゥル。2か月の船旅の末たどり着いたイギリスで、大役を終えた後に待っていたのは、思いもしなかった女王の従僕という地位。
自分の顔色をうかがうことも憶することもなく、自分の国インドの話を楽しそうに語る彼から、インドの事を学び、更にムスリムである彼の母語ウルドゥー語を学ぶ女王。
孫のような歳の青年から新しい事を学び、目を輝かす女王が初々しい。演じるジュディ・デンチの内に威厳と孤独と初々しさが違和感なく共存するのだ。
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アブドゥルがムスリムという事で、以前ムスリムであるインド人の人から聞いた話を思い出した。
(以下2008年の11月に書いたブログの文章そのまま・・・)
5年ほど前に日本に暮らすインド人のイスラム教徒の方と話す機会があった。
当時、インド人=ヒンズー教徒と思い込んでいた私の「インドでのイスラム教徒の暮らしについて」という質問に、「インドでのイスラム教徒は人口の15%位。イスラム教徒は大体が自分で商売をしているね。会社を経営しているのはヒンズー教徒だから、どんなに会社の中で頑張っても偉くなれない。だからみんな自分で商売しているんだ。」ということを教えてもらった。
当時は、イスラム教徒として日本で暮らす難しさ、ハラールをした肉を使用した本場のインドカレーの美味しさなどの方が印象が強かったのだが、今ニュースを色々見ながら、あの時直接聞いた話を思い出した。
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ニュースというのは、ムンバイの同時テロの事。宗教抗争なのでは・・と取りざたされてようだ。
映画の中でも、インド人の彼をヒンドゥー教徒だと皆が思う場面が出てくる。宗教が微妙な問題であるのは、昔も今も一緒なのだ。
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写真は、香港のヴィクトリアパーク内にあるヴィクトリア女王像。2016年のGWに渡港の際、公園がある天后のホテルに泊まっていたため、朝の散歩も兼ねて立ち寄ったのだ。映画の中の金貨は在位50周年を祝うものだったが、この銅像は即位60周年を記念して建てられたとの事。