私の映画玉手箱(番外編)なんということは無い日常日記

なんということは無い日常の備忘録とあわせ、好きな映画、韓国ドラマ、そして
ソン・スンホンの事等を暢気に書いていく予定。

ボタニストの殺人

2024-10-15 21:22:06 | たまに読んだ本

ワシントン・ポーシリーズの5作目。

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メディアで偏った意見を声高に叫ぶ者を狙ったと思われる事件が起こる。
「ボタニストの殺人」というタイトルに繋がるように、標的となった者に押し花と詩が送られてくるのだ。

警察の威信をかけ、被害が発生する前に全力で対象者を守ろうとするものの、それを嘲笑うかのように殺人は確実に行われるのだ。どんな風にして殺人を行っているのか、簡単には分からない・・・
そして時期を同じくしてポーが担当する事件に協力してきた病理学者のドイルが殺人の疑いで逮捕される。
ドイルを同志と思うポーは、無理やり2件の事件を同時に担当することになり、同じようにポーの友人であるブラッドショーも両方の事件にかかわる事になる。

西表島のエピソードやフグの毒について言及があったりと、直接目に見えない方法での殺害に空恐ろしい思いもする。人の気持ちもそうだが、目に見えない物を相手するのは非常にコントロールが難しい事を実感する。

ポーの身辺に起こる変化については、このシリーズのファンにとっては意見の分かれるところだと思う。私はこれまでそのような展開になるだろうと思いながら読み進めてこなかったので、虚をつかれる。初めから読み返してみたらそれに対する答えらしきものが見つかるだろうか。正直、この変化が今回の一番のミステリーにも思えたりする。

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今回は以前の事件にもまして、各所で女性の警察関係者が登場する。これはポーの関係する事件が直接の銃撃戦が少ない事によるものなのかとも思うが、私が「警察関係者が女性か否か」を気にする事が、世の中の流れとずれているのかもしれず。

 

 


グレイラットの殺人

2024-07-18 21:49:38 | たまに読んだ本

ワシントン・ポーシリーズの4作目。

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007映画のファンの琴線に触れるオープニング。
そして首脳会議を前に緊張が高まる場所で起こった殺人事件と、状況が分からない中での捜査妨害。

どんなに小さな事件でも背後に事情がない事件はない。バックグラウンドに色々ある事は分かっていても、「自分たちが行う事は事件の捜査だけ」というポーとティリーのコンビは、誰に遠慮することもなく謎を解き明かそうとする。

事件を前にした二人が最強なのはもちろん、今回は様々な条件が重なり合う。
関連がないと思われる事が少しずつ重なり、少しずつ判明した事情は全く別の方向への疑問を生み出す。
複合的に重なり合った事柄の後ろに見える大きな権力と利害関係。究極の状況で人間が取る判断。
個人の小さな欲望や判断が大きな渦となって権力を動かすうねりになり、個人の手を離れて全く別の様相を見せるのだ。

それらの混沌とした事象が全てあるべき場所に収まり、最後に大きなパズルとなって姿を現す時の驚き。

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取り扱う内容が1冊で収まりきるのか・・・と思うが、事件に向かうポーとティリーの力技同様きっちりとまとめ、更に次に繋げていくのはさすが。ただ、情報量はやっぱり多い。もう一度最初からゆっくり読み直したくなる1冊。

 

 


検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?

2024-05-19 19:30:36 | たまに読んだ本

第一章ナチズムとは?から始まり、ヒトラーはいかにして権力を握ったのか?ドイツ人は熱狂的にナチ体制を支持していたのか?経済回復はナチスのおかげ?ナチスは労働者の味方だったのか?手厚い家族支援?先進的な環境保護対策?健康帝国ナチス?というナチスが行いもしかしたら「良い事なのでは?と思われる出来事が、一つずつ「事実」「解釈」「意見」という三つの層を経て説明されている。

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私にとっては、この本の一番大事な部分は、章立てにはいっていない『はじめに』と『おわりに』だった。

『はじめに』では、自分の画期的な意見を述べたいがために、「事実」「解釈」「意見」という三つの層を経るという基本を守らずに事実を見てすぐに意見を述べるという短絡的な考えの陥る罠の危うさに警鐘を鳴らし、『おわりに』では、行き過ぎたポリティカルコレクトネスの弊害から、ナチスを絶対悪としてきた事に反旗を翻したく、ナチスの体制そのものに対する深い考察もなく、自由に物を言いたいという欲望がハマる落とし穴を簡潔にまとめてくれている。

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自由な意見を持つことは必要だが、自分勝手な思い込みは物事を正しく見る邪魔をするという事だろう。

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この本を読みながら以前読んだミステリー「ベルリンに堕ちる闇」を思い出す。ミステリーではあるが、ドイツがナチ党に投票した事でどのような事になっていったのかが手に取るように分かる歴史ミステリーだ。ナチ党は子供たちへの教育現場までも支配し、子どもと親たちの間に分断が生まれる。ヒトラー達を見掛け倒しの道化師と思っていたはずなのに気づいた時はもう取り返しのつかない所に行ってしまった事実。偏見や差別のコントロールによって自分達の生活が疑心暗鬼になりそこから抜け出す道がないさま・・・

この本を読んだ人にお薦めしたいミステリーだ。

 

 


続・韓国カルチャー 描かれた「歴史」と社会の変化

2023-08-28 21:38:20 | たまに読んだ本

「韓国カルチャー 隣人の素顔と現在」の続編との事だが、残念な事に私は未読。しかし、カバーのそでの部分の『本著では歴史に重点を置き、韓国社会の変化を考察する』という文章を目にして購入。

韓国ドラマや韓国映画は好きだが、あくまでも自分のその時の気分や好きなジャンルの物を見ているだけなので、順序立てて考えた事もない。ポイントを絞ってまとめてある本は、自分の視聴したドラマの事を思い出すのに手助けになりとても有難い。又タイミングが合わなかったりして見るチャンスのなかったドラマについて改めてポイント等を解説してもらうと「遅まきながら見てみようかな」という気持ちも湧いてくる。

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第9章「ベトナム戦争と韓国ドラマ、そして映画」では、ドラマ「シスターズ」が取り上げられている。ベトナムからは「戦争を歪曲している」という理由からネットフリックスに放送中断を要請した事で話題になっていたが、私は、戦争とお金の関係が非常にリアルに分かるドラマだと思って熱心に見ていた。お金が権力と繋がり、お金が更にお金を生みだすその汚さとリアルさが非常に恐ろしかった。権力を手にした者が悪事に手を染める様を、記者である三姉妹の次女が「1970年代の韓国の黒歴史のオンパレード(多分こんな内容のセリフだったと思う)」というニュアンスで話していた事を思い出す。ドラマを見ている際に、韓国軍がベトナム戦争に参加した理由が少しでも分かっていたらもっと興味深くドラマを楽しめた事だろう。

第3章では「マイ・ディア・ミスター ~私のおじさん~」が取り上げられている。

このドラマは私も大好きだ。人から「お薦めの韓国ドラマは?」と聞かれたら、このドラマを薦める事にしている。この本を読みながら、切ない思いでこのドラマを見た事を思い出した。

この本を読むと、未見のドラマは見たくなり、既に観たドラマはもう一度見たくなる。そんな気分になる。

 

*****(以下、「マイ・ディア・ミスター ~私のおじさん~」ドラマを見た時の感想)*****

社内でのパワーゲームには乗り切れず、閑職に追いやられながらも仕事に励む男性の前に現れたのは、同じ職場で働く契約社員の若い女性。

職場が一緒でも、正社員と契約社員では、キチンとした線引きがされており交流らしいものもないはずなのだが・・・人違いから男性が職場で巻き込まれたトラブルを彼女がこっそりと助けた事から、関わるはずの無かった二人が少しずつ相手の事を知っていくようになるのだ。

肉親、友人同士の行き来が濃い韓国でも驚かれるくらい兄弟愛に溢れる生活を送る男性と、過去の出来事から誰とも打ち解けず、更には借金を返すためにいくつも仕事を掛持ちし、身体の弱い祖母と二人でこっそりと暮らす彼女。

友人同士の行き来が濃いお国柄といっても、それは家庭状況や学歴が一緒であってこそ。そこから一旦外れてしまうとリカバリーは難しい。黙々とダブルワークをこなす彼女のような立場では、どんなに頑張ろうとそこから抜け出すことは不可能に近く、誰に助けも求めることは出来ないのだ。

しかし偶然が重なり、そんな彼女の状況を知ってしまう男性と、少しでも借金返済の足しになればと、彼のやさしさを知りつつも請われるままに彼の身辺調査をすることになる彼女。

妻、兄弟、友人と大切な人に囲まれながらも、時折感じる孤独に向き合う男性と、社会から孤立しながらも、寂しさを感じる余裕さえもなく、生活に追われる彼女。幸せそうな男性がこっそりと抱く投げやりな思いと、投げ出したいような現実に押しつぶされそうになりながらも、それでも生きようとする彼女の強さ。そんな二人が次第にお互いを静かに思いやる気持ちにも泣けてくる。

二人のやりとりも切なくて泣けてくるのだが、それ以外の登場人物一人ひとりにも語るべき話、聞かなければならない話がキチンとある。

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中国語は不思議-「近くて遠い言語」の謎を解く

2023-08-19 21:17:51 | たまに読んだ本

サブタイトルの「近くて遠い言語」という通り、「同じ漢字を使う国の言葉だから・・」と軽い気持ちで中国語を勉強し始めた私には、この「近くて遠い言語」という言葉に大きくうなずくしかない。

私は、語順が日本語と同じで更に同じような助詞がある韓国語を学ぶ時と同じ要領で、漢字で意味を推察すればいいのでは・・・と軽い気持ちで学び始めたので、結構大変だった。「近く見えてとても遠い」ということをすぐに気づく事になった。

「近くて遠い言語」ということをちゃんと認識していれば、もっと心して中国語を学んでいただろうにと思う・・・・

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いわゆるフリガナのピンインの読み方も、アルファベットということでいつまでも英語に引きずられた読み方から脱却できず、「その読み方は英語ですよ」と注意される。

「助詞がないから語順に厳格でないと意味が通じません。」と先生に何度も注意され、ホテルで部屋があるか聞く例文を日本語に訳す際、簡単に「部屋ありますか?」と日本語にすると、「空いている部屋がありますか?」と対象物をきっちり確定させなければ中国語と連動しないと注意される。

「リンゴが好きですではなく、リンゴを食べるのが好きですと、動詞もキチンと使うように」と注意され、「本を買いますでは、買うという行為だけしか説明していないので、買ってどうするかという動詞も必要」と補語が必要と注意される。

いつまでも初心者の私には、動作がいつまで続くのか、動作がいつ完了しているのかのルールも非常に厳格に思えて、その壁を乗り越えるのが非常に難しかったし、今もずっと難しい。

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この本には、私の数々の疑問を解決させる答えやヒントがコラム形式で各種紹介されており、今までの謎が解け、すっきりする瞬間が多々あった。

すっきり出来ただけで、話せるようになったわけではないのだが、なんとなく手がかりのようなものを感じる事は出来たので非常に感謝している。

 

 


香港警察東京分室

2023-07-18 20:36:34 | たまに読んだ本

香港で民主化デモを先導、その後助手を殺害して日本に逃亡してきた元教授を逮捕すべく、香港警察と日本警察の共同案件(いや共助か・・)として事件の捜査に当たる日本警察及び香港警察の計10人のメンバーたち。

香港ノワール映画が好きな私には、香港警察が日本で事件解決の為に尽力するという題材の小説は、その設定だけでも胸が躍るものだ。更にそれらがありえない規模での突入シーン、銃撃シーンによって描かれるのだ。エンターテイメント万歳という気持ちで読み進める。

香港警察と日本警察の共同案件(いや共助か・・)という設定からして、エンターテイメントなのだが、今も日々刻刻と状況が厳しくなっている香港の様子を考えると、このエンターテイメント的な設定も妙にリアルに感じられる。何よりも、権力闘争の面から考えると、実際に矢面に立っている者はあくまでもダミーでしかないという現実と、それでも矢面に立っている者は各自の矜持を胸に自分に課せられたミッションに立ち向かうしかないという現実がぶつかり合う様が、エンターテインメント性とリアルさの両方を感じさせるのだ。

荒唐無稽と思わせながらも時に現実を感じさせつつ、あまりにも闇を感じさせそうになるとエンタメを全面に押し出す展開がやってくる。その匙加減が絶妙だと思った。

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中国は香港が戻って来るまで100年間も待っていたのだ。それだけ考えても、彼らの時間軸が私たちのそれとは違うのではないかと思わずにはいられない。この本の中でも2047年という時代が隠れキーワードのように薄っすらと浮かび上がってくる。

100年間待つことが出来たのだから、50年間一国二制度を守る事も出来るはずだと思ってしまうのは、権力闘争の中に身を置かない者の甘い考えなのだろう。

 

 


特捜部Q カールの罪状

2023-06-27 21:27:05 | たまに読んだ本

捜査中の事故で同僚を失い、自分も瀕死の重傷を負った警部補が、復帰後は自分とシリア人移民の助手一人という陣容で未解決事件の調査にあたるミッションが課される。いわゆる上層部による厄介払いと補助金目当てから始まった特捜部。

そんな風に始まったシリーズも9作目になった。

過去から始まる核となる未解決事件と、特捜部のメンバーにかかわる現在の事件の描かれ方のバランスが非常に絶妙な事に感心したり、事件を追いかけつつも、各所にチーム員の人生を感じる出来事があることにシリーズ物の良さを感じたりと、毎回ミステリーだけでなくメンバーのチーム員に対する友情がシンクロする様子に人生を感じたりしていた。

今回の事件は、事件や自殺に見せかけた不審死の関連性を特捜部らしい執念で捜査するストーリーだ。その間違った正義感からは起こる事件は、コロナの為にロックダウンした街の閉塞感とリンクするような息苦しさを感じるのだが、犯人たちはそれに清々しさと達成感さえ感じているのが怖い。恐ろしいほどの勘違い(敢えて勘違いといいたい)が次々と凄惨な事件を引き起こすのだ。

そしてそれとリンクして浮上してくるのは、特捜部が結成されるきっかけの事件だ。未解決である「釘打ち機事件」を特捜部自らが捜査する展開でシリーズが締めくくられる事になるんだろうか。。。

毎回の事だが、シリーズ物の楽しみを感じながら読み進めていく・・・シリーズ10作目が待ち遠しい。

 

 


ウクライナ戦争

2023-01-08 19:21:34 | たまに読んだ本

ロシアがウクライナへの侵攻を開始したのは2022年2月24日。もうすぐ1年が経とうとしているのに、この侵攻は終わる事なく、ニュースでは「3月に向けてさらに大きな戦闘が・・」というような事を言っている。侵攻開始から1年。プーチンとしては、何があっても霞むことのない大きな成果が必要という事なのだろう。

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大きな戦争はもう歴史の教科書の中にしかないと単純に思っていた私にとって、このような大きな戦争が起こり、それが1年もの間続き、更に終わりが見えないというのは正直に驚きでしかない。

新聞に記事が掲載されていれば目を通すようにはしていても、日々のあれこれに流され、事の詳細は段々と忘れてしまう。結局今どうなっているか?をニュース報道で確認するだけだ。

そんな中で、こんな風に時系列に今回の出来事を確認出来るのは有難い事だ。

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第2章の開戦前夜(2021年9月~2022年2月21日)の章が印象に残る。

侵攻後すぐにキーウが陥落せず、ロシア軍がてこずっている事に関して「ロシア側の準備が不十分だった」という点に焦点があてられた報道があった事もあり、どの程度の準備がどの程度の期間を経て行われていたのかは今一つ理解できていなかったのだ。更に侵攻の時期が近づいて来るにつれ、毎日のように「ウクライナ侵攻まであと何日もない」と毎日のようにカウントダウンの報道がされるのも、当時の私には理解し難い事だった。「(今回は)もしかしたら、脅すだけで本当に侵攻するつもりはないかもしれない。それなのに毎日のように『もうすぐ、もうすぐ』などと煽るように報道したら、本当に侵攻するのではないのか?」とかなり本気で考えていた。

今考えると大変恥ずかしい。侵攻後、開戦までの流れについてニュース報道でも説明がなされたとは思うのだが、侵攻後は目の前の被害にばかり目が行ってしまった。

少し時間をおいて、このように侵攻までの事を時系列に確認できるのは理解の助けになる。秘密裡に開戦準備を行う事は不可能であり、準備が着々と進められている事を刻々と確認する事が出来ながらも、結局食い止める手立てがなかったという重い現実。これは他人事でなく、これからも身近で起こりうる事だと実感する。

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おわりにまとめられていることも、私には色々驚きだった。

『ハイテク技術が活用されていてもこの戦争は「古い戦争」であり、戦争の趨勢に大きな影響を及ぼしたのは、侵攻に対するウクライナ国民の抗戦意志や兵力の動員能力だった』

「古い戦争」は歴史の教科書の中にだけあるものだと思っていた。「古い戦争」が抑止力の議論の中でも重要な論点になるなど思いも及ばなかったからだ。

 

 


韓国軍はベトナムで何をしたか

2022-10-24 21:07:42 | たまに読んだ本

この本を手に取ったのは、ついこの間までネットフリックスでシスターズを見ていた事が大きな理由だ。

ドラマは、ベトナム戦争に従軍した人々が、自分たちを情蘭会と名乗り、その後韓国に戻ってどのような事をしたかが、ドラマの大きな謎として描かれている。
私は、韓国にとってはベトナム戦争に参加した事が、金銭面で1970年前後の復興の大きな後押しになった事位しか知識になかったため、せっかくだからと手に取った本だったのだ。

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ベトコンとただの村民の区別がつかないので全員を殺す。
ベトコンが逃げたあととわかっていても、村人を協力者とみなして皆殺しにし、村を壊滅させる。

著者はベトナム、韓国を訪れ、関係者を探し出し、「自分がこの取材を続ける事の意義」を何度も自らに問いかけつつ、丹念に少しずつ当事者の辛い話を聞きだしていく。

私は、韓国が何をしたかだけでなく、「なぜそんな事を・・・」という理由と、「それが今にどんな風に繋がっているのか?」ついても、はっきりと知るきっかけを探しだしたかったのだが、残念なことに、そのあたりは私は良く理解出来なかった。私の理解不足で分からなかったのか、何故については明確な言及がなかったのか・・・本は全部読んだはずなのに、そのあたりに関してはどうも理解が追い付かなかった・・・
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同じ出来事であっても、特に目をそむけたくなるような事象であればあるほど、当事者の思いは全く別の方向を向く事が多いと思う。どちらにも引きずられない第三者の視点が必要な事は確実なので、韓国、ベトナム、両方の関係者の話を聞こうとしていた事は意味のある事だと思う。戦後長い時間が流れ、更に現在の両国がおかれている立場が関係して、今では検証する事さえも難しい事になっている事、歴史の事実は時間の経過とともに、恣意的、意図的、偶発的な事象が重なって姿を変えていく事も読みながら実感する。

記憶は風化し、記録は抹消され、検証することはどんどん難しさを増すだろう。ただ、検証することは現在を生きる者の辛い義務であるという思いは伝わってくる。

 

 


キュレーターの殺人

2022-10-12 21:25:49 | たまに読んだ本

イギリスのカンブリアを舞台にしたワシントン・ポーシリーズの第3弾。

クリスマスに切断された人間の指が発見されるという事件が起きる。

捜査を進めるうちに、見えない誰かにコントロールされている事件らしい事がが分かってくるのだが、誰がなんのためにそんな事をコントロールしようとしているのか全貌はなかなか見えない。
しかし、少しのきっかけとブラッドショーの情報検証等からゴールと思われる物が見えてくるのだが、それが最後のゴールでなかった事に大きな衝撃を受ける展開が待ち受けているのだ。

使われるテクニックはテクノロジーを駆使し、人間の心理をコントロールしようとする大がかりなものだが、根底に流れるのは犯人の自己中心的な思いと尽きる事のない執念深さだ。その思いに恐れおののく。しかしただ恐ろしいだけではない。その事件を追いかけるポーやブラッドショーの人間関係の成熟度合が加わってストーリーに彩りを与えている。

パートナーのブラッドショーとは、二人のちょっとした会話からも、更に強固になり唯一無二の絆になっている事が感じられるし、二人の上司であるフリンがパートナーとの間に新しい命を授かった事に関しても、二人で彼女をサポートしようとするチーム愛が感じられる。
人間関係の変遷や、会話のやり取りから感じられる温かみがシリーズ物を読み続ける醍醐味だろう。

ブラッドショーとフリンを守るために、二人への友情を大事に思うポーの取る究極の行動と決断に、彼の覚悟の大きさが伝わってくる。

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前作を読んだ際、「カンブリア」という場所と「ブラッドショーのキャラクター」に頼りすぎでは・・・と失礼な感想を書いてしまったのだが、今回の謎解きはかなりパワフルな物だった。そして改めてカンブリアが大事な作品の一部分だという事を改めて実感・・・

 

 


同志少女よ 敵を撃て

2022-08-24 21:00:15 | たまに読んだ本

独ソ戦の最中、ドイツ兵の襲撃で母をそして自分の生まれ育った村を無くした18歳の少女セラフィマ。
「戦いたいか、死にたいか」という問いかけに逡巡する間もなく、女性教官の元で狙撃兵として生きる事になる彼女。多民族国家だったソヴィエト連邦故、同僚たちの出自も元貴族、カザフ人、コサックと様々だ。常識も違う彼女たちとペアを組み、お互いに命を預けあう。
早々に訓練期間は終了し戦場に送り出され、明日も分からない毎日の中で命令に従い、戦いの中で瞬時に選択を行い、選んだ手段と少しの運によって毎日を生き延びる彼女たち。

戦場でなければ、戦時でなければ自分探しをしている最中だったような少女たちが、戦士であることを求められるのだ。ふと口にする言葉と行動の乖離に、今まで持っていた善悪の判断が絶対なものでなくなり、少しずつ置かれた環境の中で変わらざるを得ない様子に、驚きながら読み進める。そんな中でも変わらずに残るものは何なのか・・・

戦争を描いたストーリーでありながら、そこには戦場ではありえないやや甘い展開や選択があるように思える場面も少しはある。ただしそれはこのストーリーがエンターテインメントであり続けるために必要なものだとも思う。

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読み終わった後、ロシアによるウクライナ侵攻から半年、ウクライナの避難民は延べ1700万人、両軍の兵士や民間人の死者の総数は3万人規模、ウクライナのGDPは35%減の見通し、そしてロシアでは事業縮小が1000社という新聞の見出しを見る。独ソ戦時代と何が変わって何が変わらないのかを考えるも、私では答えが出せない。

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海外の国際空港の免税店で必ず目にするドイツのブランド、ヒューゴ・ボス。読み進めていく中、ヒューゴ・ボスという単語を目にして驚く。1920年代の設立時、作業着ブランドだったヒューゴ・ボスは、ナチス親衛隊の制服を生産し、ドイツ国防軍の制服の生産に注力していったのだという・・・スーツブランドになっていったのは戦後との事・・・

 

 


地球の歩き方 東京 多摩地域

2022-06-17 21:57:47 | たまに読んだ本

地域のガイドブックを、読んだ本と呼んでもいいのか、ちょっと悩んだが、生まれてからずっと多摩地域に住んでいる私にとっては、「自分の住んできた所、自分の住んでいる所、そしてこれからも住んでいく所」を確認する事が出来る本だ。

殆どの場所が見たり聞いたり行ったりした事がある所ばかりだ。

小さいあまりに危ないからと中に入る事の出来なかった日原鍾乳洞や、何度もマラソン大会で周りを走った多摩湖。西武遊園地に連れていってもらいたかったのに、いつも連れていかれたのは、取水塔が見える村山貯水池だった。私にとっては旅行ガイドブックというより、記憶を辿るガイドブックだ。

「遠足で行ったな」「両親と出かけたな」という場所には、久しぶりに足を運んでみたいと思い、「友達が住んでいた場所だったな」と思い出して、あの友達はどうしているだろうなと懐かしくなる。足を運んだ事がない場所でも土地勘はそれなりにある。今度ちょっと行ってみようかなとも思う。

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23区以外は東京ではないと思っている人もそれなりに沢山おり、実際にそんな雰囲気を感じる事も多いので、自分の住んでいる近所の話をする時は、「(私の住んでいる)多摩地区では・・・」と枕詞を付けて話すようにしていた。誰に何を忖度しているのか分からないが、「23区じゃないのに、東京って言っている」と思われるのもなんとなく嫌なので、一応そんな風に話すようにしていた。

ただ、先日「いつも多摩地区と言っているけれど、それって一体どこの事を指しているの?自分で勝手に名前をつけて呼んでいるの?」と言われてしまった。

ややショックを受けつつ「23区でない東京の事を多摩地区(多摩地域)と呼ぶ」と説明してみたものの、「名前があるんだ・・」と興味がなさそうな答えが返って来た。どうやら23区以外は固有名称も付けさせて貰えないらしかった。

そんな出来事があった後だったので、このガイドブックを本屋で見かけた時は非常に嬉しかった。

私が初めて購入した@地球の歩き方だ。

 


死亡通知書 暗黒者

2022-03-23 21:18:03 | たまに読んだ本

2002年 一人の壮年刑事の死。仲間が亡くなったのだ。警察は当然チームを組んで犯人逮捕にあたろうとする。

そこに管轄の違う刑事が突然やって来る。個人的な用事で会うつもりだった刑事が突然亡くなった事で、彼の死と自分の調べている18年前の事件の関係性を疑う刑事。管轄の違う事で起こる刑事同士のつばぜり合い。それをあざ笑うかのように、死亡通知書の通りに次々と起こる連続殺人事件。

2002年の現代と1984年の事件の対比。

死亡通知書をもとに正確に起こり、止めようにも止める事の出来ない現在の事件。18年前の事件故、関係者の心証と警察に残っている資料から推察していくしかないはずだった過去の事件が少しずつ現在の事件とリンクしていくのだ。

「なぜ二つの事件がリンクしていくのか・・・」という必然の謎と、当事者たちが思いもつかなかった別の理由がそれにリンクしていく。

18年前の事件が起こったわけ、現在と過去の事件がリンクする思いもよらなかったわけ。細かいピースは突っ込みどころがあるものもあるだろうが、根底に流れる妙なパワフルな雰囲気に気圧されそんな事を忘れてしまう。

事件は解決するも、暗黒者は残り、謎はまだ続くのだ。

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登場人物の名前でどうしても混乱をきたす。漢字は分かっても読み方が分かりづらいとなると字面で判断するしかない。

字面で判断するとなっても、登場人物が入り乱れたり、警察内の階級が分かりづらくこれまた混乱する。これは多分慣れるしかないだろう。

 

 


独ソ戦 絶滅戦争の惨禍

2022-03-05 20:49:07 | たまに読んだ本

「独ソ線の実態に迫る、定説を覆す通史 2020新書大賞第1位」という金色の帯に引かれて手に取った本だ。新書大賞第一位という単語につられての購入だったため、全部読んだものの、どんな風に感想を書いたらいいか分からずそのままにしてしまっていた。

ウクライナ侵攻の事が非常に気にかかり、今回改めてこの本を読み返す。

読み返す事により、当時読んだ時には読み飛ばしていただろう箇所が気にかかる。

今回のウクライナ侵攻に関し、ロシアは綿密な作戦を立てて侵攻しているということが何度もニュースで紹介されていたが、この独ソ戦 でも、軍経験者の粛清が続いているソ連の軍実力を過小評価し、不十分な作戦で戦闘に入っていたドイツ軍に比べ、地の利だけでなく、綿密な作戦を立ててドイツ軍に挑むソ連軍の様子が非常に詳しく語られている。私はその作戦の意味する事を半分も理解していないのだが、それでも綿密に作戦を立てているということは非常に良く分かった。多分これは脈々と今のロシア軍にも受け継がれていることだろう。

ウクライナの反撃を甘く見ていた事で今は苦戦をしているのだろうが、作戦をこのまま遂行していけば多分・・・ということはなんとなく分かる。

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この本は、ドイツがどのようにソ連に侵攻していったかを、地図で詳細に示してくれている。

ヒトラーは東方植民地帝国の建設を戦争の目的の一つに考えていたのだが、今のウクライナの首都のキエフはその東部総合計画としてドイツに占領される。ウクライナ第二の都市としてニュースで何度も名前を聞くハリコフは軍政地区の中に入っている。ドイツの青号作戦の渦中にハリコフがあるのだ。

ソ連はその後綿密な作戦によってドイツに占領された場所を少しずつ奪還していく。その場所はまさしく今のウクライナがある場所なのだ。作戦の説明と共に地図を見ていると、プーチンがソ連崩壊後、独立したウクライナの事を今でも自国と思っているのではないかということが簡単に想像できる。ウクライナが独立後歩んできた年月等は関係なく、「独ソ戦 の際に取り戻した土地を今また取り返し、西側との緩衝地帯にして何の問題がある」と本気で思っているのではないかと思えてくる。

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1933年に権力を握ったヒトラーは軍拡を続ける。財政は逼迫し、軍拡を続ける中で労働力は不足する。ヒトラーの掲げるナチズムの理念だけで戦争に向かっていったのではなく、資源や労働力の奪取を目的として戦争に向かっていったドイツ。

この本を改めて読むと、先日見た映画@ミュンヘン: 戦火燃ゆる前にや先日読んだ本@ベルリンに堕ちる闇がまた違った風に思えている。ヒトラーの存在は絶対だったかもしれないが、それ以外の複合要因についても色々考えて見たり読んだりしなければいけなかったなと思う。

 

 


アクティブ・メジャーズ

2022-02-25 20:29:34 | たまに読んだ本

いつもは、たまに読んだ本の感想を書いているのだが、今日はこれから読みたい本の事を書き残しておきたい。

 

私が読んだ書評には、「ソ連とロシアの偽情報活動を振り返るのが主題の本」と紹介されていた。今読むべき本だ。

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昨日24日の夕刊の見出しは、「親ロ派が軍事支援要請」となっている。ウクライナ軍の攻撃を撃退するための支援をプーチン大統領に要請したということだった。今朝の新聞の見出しは「ロシア、ウクライナ侵攻」だ。そして夕方のニュースでは首都キエフにロシア軍進攻と報道されている。

【速報】ロシア軍用車両 首都キエフに ウクライナメディア報じる