世界に14億人の信者がいるカトリックのトップであるローマ教皇を選ぶ「コンクラーベ」
教皇の突然の逝去により世界中から駆け付けた100名程の枢機卿の互選により過半数を占めた枢機卿が新教皇となるコンクラーベを取り仕切る事になるローレンス枢機卿。
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ポスターには『これは選挙か、戦争か。』と書かれているが、映画は政治闘争そのものだ。人が集まり集団を作り、その集団の長を選ぶとなれば、そこに駆け引きがないはずがない。ローマ教皇庁の存在を維持し、カトリックを守るという目的は一緒であるはずなのに、そこにそれぞれの手法と権利欲が複雑に絡み合うのだ。
自身はコンクラーベを取り仕切る事に注力したいというローレンスも、「確信に固執することは危険だ。常に疑問を呈すべき」等と言う皆の前で発したその言葉の力などから、彼自身に票が入ることで選挙の行方を複雑にしてしまう。
立候補するのでなく互選という方法で選ぶというその手段も余計に物事を複雑にし、次第に浮き上がってくるのは、コンクラーベ前から行われて来た駆け引きや裏工作の実態。
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コンクラーベの為、外との接触を制限される枢機卿達の世話に当たるシスターを束ねるシスターアグネスを演じるイザベラ・ロッセリーニ。
その7分という出演時間でありながら助演女優賞にノミネートされた事が話題になったが、映画を観た人は誰もその出演時間が7分間だとは思わないだろう。枢機卿達が自分達を透明人間のように扱う事に「神は私たちに目と耳を与えた」と駆け引きと権力闘争にばかり気を取られ、周りが見えなくなっている枢機卿達に強烈な言葉を投げかける。自分の目で見、自分の耳で真実の声を聞く。これが映画の最後の驚きに繋がっていくようにも思える。
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コンクラーベを扱った映画は色々ある。
直接コンクラーベをを描いたのではないが2人のローマ教皇もローマ教皇庁を別の視点から見る事が出来る。