私の映画玉手箱(番外編)なんということは無い日常日記

なんということは無い日常の備忘録とあわせ、好きな映画、韓国ドラマ、そして
ソン・スンホンの事等を暢気に書いていく予定。

FPU~若き勇者たち~

2025-01-12 19:02:12 | 映画鑑賞

内戦が激化するアフリカの国に平和維持活動の為、組織警察隊「FPU」を派遣する事になる中国。

国連から要請された部隊ではあるものの、政府軍とは反政府組織の対立が激化している中でアフリカから遠く離れた中国からの派遣ということで現地での活動の壁は思いのほか高い。

選ばれた隊員たちの志は高いものの、若さゆえの経験不足から、命の危険と向き合う現場ではやや空回りすることもあり、他国の派遣兵士達とも衝突が絶えず。

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オープニングから「国連常任理事国として「FPU」を派遣し、アフリカの国の安全を守る為尽力する中国」というアピール感の圧が凄い。

ただ、実際に派遣される「FPU」のメンバー達からは、内戦に巻き込まれた一般の人々の安全を守る為に尽力するという心意気、更になんとかして頑張りたいという若者らしい根拠なき自信の為に危ない橋を渡る事になる様子が感じられるだけで、彼ら自身の行動からはそんな圧は感じられず。

映画のサブタイトルにもあるように、若き勇者たちになる様子が、大量の火力、大量の弾薬、更には甚大な被害を引き起こす巨大台風等を背景に熱く熱く描かれる。安全を守る為に派遣された警察隊でありながら、更に「指示があるまでは発砲するな」という台詞が何度も繰り返されながらも、爆発の規模も飛び交う銃弾の量も半端ない。平和維持の為とは言葉ばかりでどう考えても戦闘としか思えない場面が続くが、若手メンバー中心の「FPU」はひるむ事がない。そしてホアン・ジンユー演じる分隊長とワン・イーボー演じる狙撃手の葛藤もアクションも、大量の火薬と弾薬の中でキチンと描かれる。

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与えられたミッションをクリアしようとする若者達の葛藤と迫力あるアクションシーンがキチンと描かれれば、映画としてのミッションも成功かと思うのだが、そこはもう一押ししたいという気持ちがあるようで、現実でも「国連常任理事国として「FPU」を派遣し、紛争地域の安全に尽力している」というアピールのあるエンディング。

 


はたらく細胞

2025-01-10 20:41:50 | 映画鑑賞

体内で働く37兆個もの細胞が擬人化されて、隙間なく体内ではたらく様子がずっと映し出されるのだ。とにかくその目まぐるしさで、身体の中が大きな宇宙であることが視覚情報としてビシビシ伝わってくる。

永野芽郁演じる酸素を運ぶ赤血球はその生真面目な勤勉さで身体のリズムとエネルギーを整え、佐藤健演じる白血球は、体内に入った細菌やウイルスを追い出す為に常にフットワーク軽くファイティングポーズで動き回る。

擬人化されたからこそはっきりと分かる各細胞の働き方とその目的。

可愛らしい見た目と、各細胞の活躍の意味を覚えられるからと親子連れで楽しめる映画かと思いきや、小学校低学年では見る前にちょっとした予習が必要にも思えるし、生活習慣でボロボロになった体内環境の切なさなど小学生には分かるはずもない。可愛さよりも怖さ倍増だ。

『健康に留意しないと・・・』と心の片隅でちょっと不安な大人に響く内容だと思う。抗がん剤の投与場面等、口頭で説明を受けるよりも視覚に訴えるものがあり、その厳しさが良くわかる。

 


セキュリティ・チェック

2025-01-07 21:11:33 | 映画鑑賞

キャリアアップする恋人の後を追いかけて空港保安官として勤務する男性が主人公のサスペンスアクション映画。

勤務中、突然イヤホンを手渡され、「恋人を殺されたくなかったら言われる通りにしろ」と、機内に危険物を持ち込むのを黙殺するように脅されるのだ。

もう完全に巻き込まれ方だ。彼が狙われたのも、当日の偶然の成り行きなら、彼がキャリアアップに悩んでいるのも偶然で、そこを犯人グループに付け込まれるのもこれまた偶然。

『俺はなんにも悪くないのに・・・』と八方塞がりで遮るもののない空港のフロアで全てを見張られ、誰かに助けを求めることも出来な中、全てが犯人グループのペースで進んでいく。巻き込まれた男のイライラも募るが、ちょっとした空港内の特殊事情から少しずつ展開が替わり、もしかしたら一発逆転もありうるかも?と思ったら、一気の反転攻勢で、一歩進んで三歩後退のストーリー。観ている方も面白くてかなりイライラする展開が続いていく。

知っている空港の中の様子と、乗客が目にする事の無い空港内の様子が交互に映し出されて飽きる事がない。ざわざわとした空港内の様子と、慌ただしく多くの人が行きかう様子。多くの人が行き交う能動的な空港の中で秘密裡に悪事が行われている様子のコントラストがなんとも目まぐるしく、緊張感が途切れる事がないのだ。

困り顔でなんとか難局を切り抜けようとする主演のタロン・エガートンを全力で応援したくなるし、どこまでもふてぶてしいテロリストとの対立構図が驚く程分かり易い。

クリスマスシーズンの空港を舞台にした映画故、この時期に見るのにピッタリだ。

 


ビーキーパー

2025-01-05 18:57:03 | 映画鑑賞

ボストンに程近い片田舎で養蜂家として働く男。一匹狼である自分に作業用の納屋を快く貸してくれた女性とささやかな交流を持ちながら暮らす男だが、その恩人がフィッシング詐欺で全ての財産を失い、自ら命を絶った事で、以前の生業である秘密組織の工作員としてのスキルを使い彼女の敵を討とうとする。

ミツバチを飼育し、丁寧に蜂蜜を作る生活をしていた男の元の職業は、狙った獲物を決して生かしておかない、国もその存在を治外法権として認めているビーキーパーだった。

この設定に何の疑いも持たせない演じるジェイソン・ステイサムの佇まい。戦いに向かう装備もシンプルなら、その殺害方法もあまりにも直接的で少しの淀みもない。全ての動作が相手を仕留めるというその目的に向かって迷いがないのだ。

見ている方もそのあまりのシンプルな思考に一瞬にして飲み込まれる。邪念のない敵討ちは、観ている者全員を味方にする飛んでもないパワーがある。自分の善悪の感覚を信じて疑わないビーキーパーの前に、ちゃっかりした欲望にまみれているフィッシング詐欺集団の都合の良い物言いには何の説得力もない。

ビーキーパーの破壊行為の数々と敵を仕留める素早さで驚く程のフットワークの軽さを見せる。何日間かけて復讐していたのかと思う程の量なのだが、時間にすると僅か1日程度。そのスピード感とブレない信念に敬意を表したくなる。

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なんの説得力もないフィッシング詐欺集団の警備担当者を演じるのは、ジェレミー・アイアンズ。金の為にどこまでなら魂を売り渡せるか・・・若者相手に辟易しながらもそんな役回りを演じる。重鎮の佇まいだ。

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養蜂家としての作業着、ビーキーパーとしての各種アウター、そしてパーティに潜入する際のスーツ。ジェイソン・ステイサムの衣装が素晴らしい。養蜂家としての作業着姿が驚く程スタイリッシュだ。


フォーリング・フォー クリスマス

2024-12-23 21:19:13 | 映画鑑賞

ホテル経営者の父親から過保護に育てられ、素直で世間知らずでそして贅沢三昧育った女性。降りしきる雪の中、かなり浮世離れしたスーパーインフルエンサーの彼氏からプロポーズされたばかりだったのに、その直後に雪山で遭難して記憶喪失。インフルエンサーの彼氏ともはぐれ、雪山の中の小さなペンションのオーナーに助けられた彼女。

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誰も悪い人が出てこず、嘘のように最初から最後までハッピーな映画だ。インフルエンサーの彼の彼の甘い言葉の後ろに流れるのは、クリスマスなのに何故か夏の雰囲気が感じられるのエア・サプライのAll Out Of Love。この空気の読めなさ具合も、明るく笑い飛ばしたくなってしまう。

そして何よりも素晴らしいのが、彼女が過ごす事になる雪山の中のペンションの温かい雰囲気。外の雪の冷たさを感じさせない幸せな雰囲気が画面からも溢れ出ており、それを見ているだけでも楽しい。場面転換の度に写る雪の中の山間の村の様子も息を飲む美しさだ。

そんな幸せなクリスマスの雰囲気が一杯の中、居心地の良い小さなペンションでオーナー家族と過ごすうちに、贅沢三昧の生活は忘れ、素直で世間知らずな可愛らしい女性に変身した彼女に夢のようなクリスマス休暇が訪れるのだ。

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クリスマスにはゆっくり夢を見たい大人版ホーム・アローン的な映画だ。何も考えずにクリスマスの雰囲気を楽しむのが一番だ。

 

 

 


エア・ストライク

2024-12-11 21:59:33 | 映画鑑賞

第二次世界大戦での連合軍勝利70周年を記念して中国が製作した映画だが、中国、香港、台湾、韓国そしてアメリカが集結して重慶の爆撃が描かれている。(参加している香港、台湾、韓国の俳優達は基本的に中国人役として出演している)

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取り扱っているストーリーや内容のクォリティの問題からか、レイトショーでの公開だったため、私は見る事もなく、今日まで来てしまった。

たまたま、お試し期間として契約したU-NEXTで見られる為、鑑賞。

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零戦と戦う連合軍という図式の映画なのだが、中国映画故、敵役である日本の影がとんでもなく薄い。韓国の抗日映画などは、これでもかというほど日本が悪く描かれているのだが、中国映画では敵役をそんな風に描く気もないようで、ひたすら勝利に向けて頑張る自分たちを鼓舞するストーリーが中心だ。

2010年代に入ると、ブルース・ウィリスのネームバリューが欲しい沢山製作されたようだが、この映画もそんな映画の1本とも言えるだろう。それでも、ブルース・ウィリスは若い兵士たちに飛行機乗りの矜持を示すようなセリフもあり、連合軍のメンバーとしての威厳もある役柄。

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2015年頃、撮影が行われていた際にスンホンも参加していた為、韓国の芸能ニュースでも「ソン・スンホンがブルース・ウィリスと共演」と何度も取り上げられていた。

2016年頃には『中国の指導部がバックアップし、70億もの製作費がかけられたものの、製作した投資集団の経営問題が発覚。
製作目的で集めたお金を他に回していたり、他の金融商品の利払いが遅れたりしているとのこと。この製作会社は、映画製作を目的にした金融商品を売って資金を集めていたのだ。そんな中での利払いの遅れはは致命的・・・・公開の目途は全く立っていないとのこと。』というトラブルが発覚。

更に公開が予定されていた2019年には出演していたファン・ビンビンの脱税事件に関係して、結局中国国内での公開は見送り。かろうじてアメリカでは公開されたものの、公開当時ネットで見た評価は寂しいものだった。『iPhoneで撮影したかのような映像』という書き込みを目にした事が忘れられない。

 

 


リトル・シークレット・イン・クリスマス

2024-12-08 19:27:47 | 映画鑑賞

リンジー・ローハン演じるエイブリーは、クリスマス休暇を過ごす為に彼の実家を訪れるものの、そこで彼の妹と付き合う元カレと再会。あり得ない偶然を笑い話にせずに、二人の過去は秘密にすることにするものの、癖強めの彼の実家のメンバー達に悩まされる事になるエイブリー。

年に一度、家族や友人で集まり楽しく過ごそうとするものの、クリスマス休暇の間じゅう和やかには過ごせないと、癖強めの家族の中でトラブル回避をしようとあれこれ画策する事になるクリスマスコメディ。

クリスマスを楽しめる王道のようなストーリーはこの位軽めの楽しいのがちょうどいい。

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癖強めの彼の実家のメンバーの中でも、最強なのはクリスティン・チェノウェス演じる恋人の母親。バリバリの現役感も凄いが、自分だけ永遠の30歳のような家族の肖像を毎年描かせるあたり、癖強すぎだ。


アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師

2024-12-07 21:02:06 | 映画鑑賞

内野聖陽演じる税務署員を詐欺のカモに選んだ岡田将生演じるイケメン詐欺師。

詐欺師を演じる岡田将生の「人を食ったような態度」でカモを騙す詐欺の様子が、スマートさと図々しさの丁度いい具合なのだ。騙し抜けするはずだったのに、内野聖陽演じる税務署員の邪心のない行動に足をすくわれてしまうと「おじさんが狙っている脱税王からお金をせしめるから、罪を見逃して欲しい」と、図々しい程の変わり身の早さで、「いい事を手伝っていますから」という雰囲気まで薄っすら漂わせる調子の良さ。真面目な公務員とどこか人を食った態度の詐欺師のやや軽めでコミカルな対比が面白い。

地面師詐欺で脱税王を嵌めるストーリーでありながら、かなり軽めのテンポの良さでサクッと見せる。税務職員の心の傷、スマートを装う詐欺師の心の寂しさも見せつつも、軽めのテンポの良さは最後まで変わらず。

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驚く程体格がいいマ・ドンソクが市の税金徴収課職員を演じた韓国ドラマ『元カレは天才詐欺師~38師機動隊~』が原作。

ストーリー的にはほぼ踏襲しているも、原作の韓国ドラマは1話あたり60分超の長さで16話。監督は脚本の推敲を何度も繰り返したとの事。ドラマは、いわゆる脱税野郎達一同のバックグラウンドをかなり詳細に描き、「詐欺師が調子にのって騙されてどうする」という爽快さもあるのだが、映画では小澤征悦演じる脱税王の抜け目ない野郎に一極集中。原作のエッセンスはしっかり残し、2時間という映画に合わせたテンポのよいものになっている。


チョンソル(聴説)

2024-11-27 21:59:49 | 映画鑑賞

ホン・ギョン演じる26歳になっても自分の進む道を選べない心優しい男性が両親の営む弁当店を手伝う際、水泳でオリンピックを目指す妹を応援する同い年の女性(演:ノ・ユンソ)と知り合う。

彼女に友達になろうとソフトにでも直球で伝えるも、妹のサポートで精一杯の彼女からは快い返事が貰えない。しかし、そんな彼女を理解し、妹の夢が自分の夢にもなっている彼女を支えようとする彼。

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誰も悪い人が出てこない映画で、姉妹が聴覚障がい者であることから主人公二人の会話も手話。手話にハングルの字幕が付くのだが、伝える内容も言葉もシンプルとてもシンプルな言葉が積み重ねられる。(中学3年間で学ぶ英語と同レベルの単語と構文でカバー出来る内容と言ったらいいだろうか)手話を見ながらハングルの字幕を読む事が、私の韓国語レベルでも少しも苦にならなかったのは、二人の会話のコミュニケーション能力が高かったからだと思う。

勿論、相手を思いやるばかりに、気持ちの行き違いも起こる。ただ、そんなすれ違いも、優しい涙の後の相手を思いやる短い言葉のやり取りと表情で、少しずつわだかまりが解けていく。相手に伝えたいというシンプルな思いにはパワーがある事を実感。

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2024.11.22 ソウルで鑑賞。

 

 

 


ヒドゥンフェイス

2024-11-23 21:21:20 | 映画鑑賞

自分が指揮者を務めるオーケストラのオーナーの娘でありチェリストでもあるスヨンと婚約し、前途洋々に思えたソンジンに突然降りかかる婚約者スヨンの失踪。当初母であるオーナーは、「自分は結婚に向かない」という動画を残して姿を消した気分屋の娘の行動を気にも留めない。しかし、クレジットカードを使った形跡もなく何日も姿を消している事に次第に胸騒ぎを覚えて未来の婿であるソンジンを呼び出すものの、解決の糸口は見つからない。しかし、スヨンの後釜として若いミジュが選ばれた事で、様々なバランスが少しずつ崩れていくようになる。

オーナーの娘と婚約した事で夢に見た家と指揮者としての未来を手に入れたものの、食堂の息子という自分の出自故、人には言えない違和感に苛まれる日々を過ごしていたソンジンの前に、スヨンの替わりのチェリストとして若いミジュが現れた事からソンジンに少しずつ変化が現れる。他人には明かせなかった自分のコンプレックスを彼女には自然に打ち明け、「シューベルトが好きなのは、曲が悲しければ悲しい程、自分自身は悲しくないと思えるから」という思いを共感しあう二人。

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家の中のあらゆる所にさりげなく設置されている鏡と、重厚な本棚。そしてその本棚をバックにして、ヒドゥンフェイスというタイトルが浮かび上がるオープニング。

スヨンが姿を消した後、ソンジンの心の隙に驚く程自然に入っていくミジュ。スヨンが居なくなった事で、隠されていたソンジンの心の闇が表に現れていく事を描いたドラマだと思っていたのだが、後半に入るとストーリーは全く違った色を見せる。鏡に映った姿は本当の姿の様にも思えるが、左右が逆に見えるのが常。どんなに頑張っても鏡越しに見えるのは本来の姿とは違うものだ。更に鏡越しに見る姿に手出しは出来ない故、歯がゆく、鏡に映った姿はどんどん違った姿に変化していく。

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せっかくこの映画を観る為に渡韓した為、11/21と11/22と2回鑑賞。展開を分かっているのに、2度目の方が何倍も面白く映画見る事が出来た。

1回目はチョ・ヨジョンが演じる婚約者スヨンの行動に翻弄されるスンホン演じるソンジンの姿に、この映画はスンホン演じるソンジンの映画ではなく、チョ・ヨジョン演じる婚約者と彼女の後釜となったパク・ジヒョン演じるミジュの映画だと思って鑑賞。ただ、全てを知った上で再び見ると、人の奥底にある支配感情や、どうやっても打ち消す事の出来ない強い所有欲など、人の心の奥底にある感情を驚く程冷静にしかし熱く見つめた映画であると感じる。ラストシーン前、たった一つの何気ない一つの動作に、自分ではコントロール出来ない感情の強さ、恐ろしさ、残酷さを感じる。スンホン演じるソンジンはその残酷さをどんな風に受け入れているのか・・・なんとも不思議な感情を残す映画だ。

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ミジュを演じたパク・ジヒョン。身体もキレイだが、上気した顔が驚く程生々しい。又、場面によってその生々しさ具合にハッキリした差があるのだ。映画の宣伝としてスンホンと一緒に出演していたラジオ番組で見せていた顔からは全く想像もつかない。

 


ヒドゥンフェイス

2024-11-21 19:29:00 | 映画鑑賞
この映画を観る為に7年ぶりの渡韓。
映画館でのチケット購入システムも更にシステマティックになっており、一言も話さずにチケットを購入出来るのは勿論、劇場前に沢山並んでいたチラシの類いも一切無くなっていた。

スペイン映画のリメイクなのだが、私は攻めた映画だと思う。観覧可能が19歳以上というだけではない。私はスンホンファンなので、興味深く見たが、誰に共感して見れば良いのか?と迷子になる観客の人もいるかもしれない。

監督は、コントロール出来ない感情に流される人間の欲望に強い関心が有るようだ。



ロボット・ドリームズ

2024-11-10 17:43:02 | 映画鑑賞

1980年代のニューヨークで一人暮らしをする犬のドック。TⅤディナーと呼ばれる冷凍食品をレンジで解凍して、テレビをザッピング。そんな風に一人寂しく過ごしていた日々が、TV通販で友達ロボットを購入した時からカラフルに変わり始める。

ニューヨークの名所を楽しそうに巡る二人一緒に過ごす休日。少しずつ心が通じ、静かに手をつなぐ姿が眩しい限りだ。そんな風に夏の終わりの海水浴も楽しかったのに、海水でロボットが錆びてしまった事で二人の穏やかな日常は突然終わってしまうのだ。ロボットを助けようにも動かなくなってしまった身体は重く、海水浴場は翌年の夏まで閉鎖されてしまうのだ。何とかしてロボットを助けたいドックだが助ける術はなく、ロボットは寒い海辺でひと冬を過ごす。

翌年の夏の海開き、ドックがロボットを助けに行くものの彼の姿はない。スクラップ工場に送られてしまったロボットはアライグマのラスカルに助けらる。バラバラになった部品を回収し、見つからなかった胴体はダブルラジカセとなり、斬られてしまった足を新しく作ってくれたラスカル。ダブルラジカセからはロボットとラスカルそれぞれの好きな歌が流れる。ロボットは第二の人生を歩み始めていたのだ。

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シンプルな線でありながら、次々と変わるアングル、ロボットとドックのちょっとした目の動き。セリフは一切ないのに、それらのシンプルな動きと♪Do you remember?The 21th night of Septermber?と二人のテーマソングのように流れるEW&FのSeptemberの力で言葉がない事を忘れてしまう。

突然訪れた別れと、それぞれ新しいパートナーと歩き出してからの突然の再会とロボットが見せる大人の行動。振り返らずに別々の道を歩いて行く姿も二人一緒に過ごしていた時と同じように眩しい。

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エンディングロールにYuko Haramiさんという名前を見つける。(検索してみたところ)パブロ・ベルヘル監督の奥様との事。

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入場者プレゼントでカレンダーを貰う。

 


第37回東京国際映画祭③

2024-11-02 19:47:49 | 映画鑑賞

会期中は、上映会場などで、取材記事や映画祭情報が掲載されたデイリーペーパー「TIFF Times」が配布されていると知人から教えてもらう。

公式サイトでは、デイリーペーパー「TIFF Times」の1面のみ公開されている。

東京映画祭公式サイト

デイリーペーパー「TIFF Times」PDF版 11月1日 金曜日版 トニー・レオン審査委員長 特別インタビュー

役柄に入り込む為に入念に準備をすること、現場での取り組み方、オファーを受ける際の柔軟な対応・・・

ニュートラルな考え方が伝わってくる。

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国際交流基金×東京国際映画祭 co-present 交流ラウンジ

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会場に行けないのは残念だが、こんな風に少しでも楽しめる事に感謝・・・


戦と乱

2024-10-30 21:55:02 | 映画鑑賞

宣祖(ソンジョ)が王だった時代の朝鮮。
両班の息子ジョンリョと友情を結ぶ奴婢の息子チョンヨン。

武術の科挙の試験に合格しない息子の為に両班である父が選んだのは剣術に長けたチョンヨンの身代わり受験。奴婢である身分から抜け出す為、友人のジョンリョの為、試験を受けて身分も友情も確固としたものになるはずだった未来は、ジョンリョの父の不義理と、日本的に言えば文禄・慶長の役(朝鮮では壬辰・丁酉の倭乱)の混乱により、堅い友情を結んでいたはずの二人の歯車が狂ってしまうのだ。

倭寇の侵攻により荒廃する国土に更なる混乱を起こしたのは、民を見捨てて早々に逃げ出した宣祖(ソンジョ)の行動。民衆の怒りが爆発し、両班の住居が焼き討ちにあう中、ジョンリョの妻を助けようとするチョンヨンだが、ジョンリョの妻は奴婢である彼に助けられるのを良しとせず、自ら命を絶った事で二人の友情は修復不能になる。
庶民が立ち上がって義兵となり、倭寇として残った者もいる荒廃した中、チョンヨンを信じきれないジョンリョは彼への復讐を心に王を守っていくのだ。

戦のシーンは大きなスクリーンで見たくなる迫力がある。全てに疑心暗鬼になり自分の権力を守るだけに興味がある宣祖を演じるチャ・スンウォン。奴婢から抜け出せなかった悲しみと、友と思ったジョンリョとの対峙に心が揺れるチョンヨン。更には残留した倭寇を演じるチョン・ソンイルが操る自然な日本語。個々の役柄と戦のシーンは非常に迫力があるものの、一番の肝となるチョンヨンとジョンリョの友情が歴史の中で翻弄される悲しみが空回りしてしまうように感じられるのはなんでだろうか。

カン・ドンウォン演じる奴婢のチョンヨンの思いに比べると、チョンヨンを身代わりに仕立てて手に入れた武官の地位に固執するジョンリョの焦燥感を私が上手く理解できなかったせいだろうか。

 


第37回東京国際映画祭②

2024-10-29 21:56:33 | 映画鑑賞

トニー・レオン、東京国際映画祭の取り組みを「実にすばらしい」と称賛 審査員会見で語る

橋本愛「日本で俳優をやっていて危機感を持っている」トニー・レオン、キアラ・マストロヤンニらと並んで堂々会見

映画好きなので、今までも映画祭に興味はあったが、興味の対象は、映画祭でしか見られないであろう作品や、上映作品に合わせて来日する俳優達の動向が主な物だった。

正直、コンペティション部門の最高賞の東京グランプリについて関心を持った事は殆どなかった。

ただ、今年は審査員長がトニー・レオンということもあり、「審査員長としてどんな作品についてどんなコメントをしたりするのか」が非常に気になる。グランプリもそうだし、それ以外の作品のどんな部分に興味をひかれたのかとか、俳優として、審査員長としてどんな言葉を発するのかとても気になる。

映画好きであれこれ見て、ここにテキストととして感想を残してはいるものの、基本的に一人で見て、一人であれこれ考える事が多く、リアルに感想を語り合うチャンスは多くない。

そう考えると、好きな俳優であるトニー・レオンが自分が出演している映画について語るのでなく、自分が観た映画について俳優としてどんな風に語るのか聞くチャンスがあるということは、私にとってかなり特別でかなりうれしい事だ。