「團藤氏は1981年に伊丹空港の周辺住民が夜間飛行の禁止を国に求めた「大阪空港公害訴訟」の審理を担当しました。團藤氏が在任中に記したノートには、国の意向を受けた当時の最高裁長官が「判決前に介入した」として、「この種の介入は怪しからぬことだ」と怒りを露わにした内容が記されています。大阪空港公害訴訟の審理について元最高裁長官から「介入」があったことについて、調査チームは「三権分立に関わる重大な記述」だと分析しているということです。」
「裁判官枠が6人あり、高等裁判所長官を経て平均6年勤務するとすると、同期の中で最高裁判所判事になれる裁判官は1人しかいません。
刑事畑の裁判官が、ちょうど2倍有利です。民事畑、刑事畑が人数で2対1、最高裁判事は民事畑、刑事畑が各3人ずつですから。 」
刑事畑の裁判官が、ちょうど2倍有利です。民事畑、刑事畑が人数で2対1、最高裁判事は民事畑、刑事畑が各3人ずつですから。 」
團藤先生のお怒りはごもっともだが、裁判所に限らずどんな組織も、程度の差こそあれ「組織防衛」を図るものである。
実際、裁判所がこの20年ほど裁判員裁判に注力してきたのも、見方によっては「組織防衛」の一環ということが出来るだろう。
というのは、民事事件の新受件数は減少傾向が続いており、裁判員裁判と家事事件くらいしか、もはや予算獲得が期待できる分野が残っていないのである(今後しばらくは家事事件の制度改革が目玉になるかもしれない)。
このため、裁判所内部では、刑事畑(刑事部と家事部を行き来することが多い)の裁判官が幹部の多くを占める現象が続いているように思える。
だが、組織がじり貧になると、團藤先生が指摘したような「介入」も増えてくると思われる。
この件は、「昔の話」と言ってすまされる問題ではなさそうである。