法学の領域では、「認識象徴」や「組織化象徴」という用語を使う場面は殆どないが、その代わり、これとよく似た用語を使うことがある。
「『概念』には、大きく分けて3つある。
① 記述的(素としての)概念
これはものごとをありのまま記述するもの。
② 講学上の概念
実定法などには登場しない、学問の上で使われるもので、『自然人』などがその典型。
③ 道具概念
ある法律効果を導き出すために、意図的に作出される言葉・考え方のこと。弁護士がよく用いるので、騙されてはならない。『権利能力なき社団』がその典型。」
この「道具概念」については、行政法の分野では、「説明概念」などと対比させて説明することがあるようだ(行政法クロニクル 第1回 行政の概念)。
言われてみれば、「権利能力なき社団」については、最初に「法人と同じ法律効果を与えたい」というゴールがあって、それを実現するために、意図的に定義が作られたことはみえみえだろう。
「処分性」についても、「抗告訴訟で争わせて良いかどうか」という観点から、絞りをかける目的で作出されたわけなので、似たようなものかもしれない(「処分」の代わりに「占有侵害」とすれば、現状より明確になるだろう。)。
ところで、「弁護士に騙されてはいけない」とおっしゃっていた岩原先生は、弁護士事務所に入所されたものの、どうやら現在も弁護士登録はされていないようだ。