パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

意地でも最後のページに行き着かなければ

2009年05月24日 16時06分37秒 | Weblog
面白いとは思うものの
最後まで読み終えられるか心配な小説(やっと半分)
「雪」オルハン・パムク

今年のゴールデンウィークの始め
気合いを入れて休み中に読んでしまおうと思ったのだが
これがなかなか手強い
もっとも最近はミステリー以外真面目な小説を
手にしていなかったので、なかなかそのリズムとか
世界に入っていけないのかもしれない

この小説、地の部分が多い
そして登場人物が一人出る度にその人の背景の描写があって
それがパターン化されていなくて
その細部のこだわりは、所謂職人といわれる画家たちが
画面にいっぱいに多くの人の顔を描いても
一人一人が違った生活をしているのを感じさせるのと似ている
それが小説家とか画家というもの
と、言ってしまえばそれまでだが
本当にたいしたものだ

ところでこの小説読んでいて急にドストエフスキーの
「悪霊」を思い出した
高校時代、通学の列車の中でウトウトしながら読んだ
「悪霊」は自慢じゃないけれど、ほとんど何も覚えていない
にもかかわらず浮かんだのは
確かキリーロフ(?)が自殺する云々のところが
自殺する女子高校生が多くて、それが宗教がらみだったりして
ドストエフスキーを連想させた所為かもしれない

(そういえば今度映画化されると言う
「ノルウェーの森」も全然内容は覚えていないが
これを読んでいる時は
「されど我らが日々」を何の関連もなく思い出したことがあったが)

ところで翻訳物ではあるのだけれど
確かにタイトルの「雪」が印象的にイメージでき
本当の言語のリズムとは違っているだろうけれど
大枠の部分で作家が望んだ効果は
日本語でも実現できているのではないかと思う

翻訳でも文章が上手いなあと思うのはナボコフ
喚起力に富んでいるのがヘッセ
(もっともこれは個人の感覚で自分には苦手なトーマスマンやジョイスを
 上手い文章と感じる人もいるだろう)

いずれにしても久々の難物「雪」
なにがなんでも最後のページまで行き着かなければ
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