パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

最近読んでいる本「プロパガンダ」

2021年11月05日 09時47分34秒 | 

田舎にいて何の取り柄もないが、それでも不安で仕方なく
焦りに似た気持ちで、情けないことにたいした行動はせずに
ただ本を読んで、ますます不安を募らせている

先日の選挙を終えて急遽手に入れたのが「プロパガンダ」


最近の(自分にとって)奇妙な世間の雰囲気は
メディアの伝え方に問題はないか?と、つい勘ぐってしまう

実は選挙前は保守の重鎮バークの本を読み始めていた


保守陣営には有名な本で、読み始めると確かに「なるほど」
と思えるところはいくつか出てくる
彼に言わんとするところは、「急激な理性のみによる変化は好ましくない」
ということで、フランス革命はイギリスの名誉革命とかマグナカルタ
のある社会と比べて、混乱を招いただけでないかとしている
ところが歴史では習ったはずの名誉革命とかマグナカルタは
どんな内容だったのかがすっかり頭から抜けてしまっている
本を読むということは、その本だけでは完結しないとつくづく感じる
そして書き手の育った環境(国とか階級)は、考え方を決めるもので
バークはやはりイギリスの社会のほうがフランスの社会よりも
良きものと思いたい気持ちがあったような印象を覚えた

自分のかつての立場からフランス革命を否定的に見たのが保守のもうひとりのトクヴィル、
彼は貴族の階級の人で、フランス革命によって少しばかり悔しい思いをしたので
つい否定的になる気持ちはわからないでもない

この本はなかなか面白いのだが、途中で読むのをやめて「プロパガンダ」に移った
この本は考えようによっては怖い本だ
人は知らずしらず説得されているかもしれない、、、
その現実を、本当に幾多の例で明らかにされる

先日は本質に関係のない裁判のところをここで取り上げたが
今日は「事実もどき」と題された部分に付箋をつけることになった
「事実もどき」とは、今でいうフェイクニュースと言い換えても
大きな間違いではないかもしれない
この本では「事実もどき」(フェイクニュース)が伝搬する様とか
その効果に警鐘を鳴らしている

「事実もどき」(フェイクニュース)は、真実かどうかを確かめる試みはほとんどなされない
噂やゴシップは友人から聞くことが多いが、その友人に疑問を挟むことはまずない
テレビなどのニュースはそこある日常で、報道された事実の正体をわざわざ暴こうとはしない
「この事実もどきは本当に真実か?
 この事実もどきが繰り返し述べられることで誰が利益を得るのか?」
という疑問を発することは滅多にない
事実もどきが事実かどうかを確かめようにも、それは困難な事が多い
たいていの噂は「極秘情報」「秘密の陰謀」「選ばれたものにだけに分かる知識」を扱っているので
批判的に評価したり詳しく知ることは無難しい
(この国の政治の評論家は、彼だけが知っている情報を専門家として口にするが
 それは本当に真実かどうかは、受け手は判断のしようがないのでつい信じてしまう状態のこと)

次に、メンタル面を取り上げている
「事実もどき」(フェイクニュイース)は心理的欲求を満たしてくれる
多くの「事実もどき」はとても面白く人々の興味を惹きつける
(これなどは最近の小室圭さんと真子さんの例を思い浮かべられる)
ここでは人々のあまり好ましくない心理的欲求をより満足させる方に
「修正され精緻化される」としている

そしてここからが困るのだが、このような背景を経験した人々は「説得される」
たとえ噂は信用され、拡がってくと人はそれによって自分の社会的世界を作り出していく
たとえ「事実もどき」が誤りであっても、それは依然として人々の注目を集める
そして知らないうちに説得される

このように、人はコントロールされつつあるかもしれない、、
と考えることは重要なことと思われる
ただし、その社会的に拡がってしまった体制とか制度に真正面から立ち向かうのは
とても困難が伴うと思われるので、現実的な対処は
少なくともプロパガンダ(あるいはメディアを通しての情報発信)は
ある意図を持って行われているかもしれないと、個人個人が自分たちのために
一旦疑ってかかる癖をつけることだと思ったしする

それにしてもいつも思うことは、日本にこの手の本(全人格的な視点からの本)は
何故生まれないのだろうかということ
それは自分が知らないだけなら良いが、そうでないとしたら、、
またまた不安が大ききなっていく






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