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ロシア軍主力のT-72戦車半数を喪失,ウクライナ戦争開戦一年-イギリス国際戦略研究所分析

2023-02-17 07:00:26 | 防衛・安全保障
■臨時情報-ウクライナ情勢
 T-72戦車といいますとものすごい数が有るという印象だったのですが。

 イギリスの国際戦略研究所が毎年発表するmilitarybalanceにおいて、ロシア軍はロシアウクライナ戦争でのウクライナ侵攻により主力であるT-72戦車の半数を喪失したとの分析結果を発表しました。主力戦車の半数、という表現もあるようですが、ロシア軍には量産準備中のT-14とT-90戦車にT-80戦車とT-72戦車などが現役戦車として運用中です。

 ミリタリーバランスは一昔には邦訳され、普通に書店に並んでいたものなのですが邦訳版は価格帯も安く、原語版も購入はしている一方、こうしたものの普及の度合いというものが我が国における平和議論、特にリアリズム的な視点での世界政治を考える上では必要であるように思います。邦訳が難しくとも原語版をもう少し簡単に手にとえれれば、と思う。

 T-72戦車は順次改良型のT-72B3に改修されており、またT-90主力戦車はT-72の後期製造型で、名称を改称した背景には1991年湾岸戦争で大損害を受け輸出市場においてマイナス印象を強めた事から改名したもの、T-80戦車はガスタービンエンジンを採用した高性能戦車ですが燃費の悪さと整備性の悪さから、逆にT-72とT-90が重用されている現状です。

 レオパルド2戦車などのウクライナ軍供与が開始されるならば、数で圧すというロシア軍の運用にも限界が生じるのでしょうか。ロシア軍としては西側第三世代戦車の夜戦能力を警戒するという側面もあるのかもしれません、いや、東欧NATO諸国が供与したT-72戦車近代化改修型も夜間戦闘能力はかなり高められているのですが、設計思想の違いは大きい。

 第三世代戦車は設計の時点で夜間戦闘能力を高めて暗視装置の普及していない軍隊が苦手とする夜間戦闘に勝ち目を見い出すという方式です。この点ですと、主力戦車と装甲戦闘車が供与されないことには、西側水準とはいえ、ストライカー装甲車やM-113装甲車だけで夜間戦闘を行い、相手にT-90戦車でも配備されていれば手痛い目に遭いますが、しかし。

 夜間ですと相手の対戦車火力や航空火力は、ロシア軍の水準では、特に新鋭装備が殆ど枯渇している現状、打つ手なしとなる可能性もでてくるのです。ロシア軍ウクライナ侵攻から間もなく一年となりますが、ロシア軍の目的は兎も角として損耗したT-72をT-14で置換えるまでどのくらいの時間を要するのか、別次元の軍隊となるのかはおおきな関心事です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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