鉄鋼大手のNKK(日本鋼管)は京浜工業地帯ではおそらく最大の重厚長大型企業でした。
大島敦さん(埼玉6区)はNKKのサラリーマンを十数年勤め、ソニー生命を経て、家業の幼稚園をついでいます。政治献金は受け取らずに大きな立場から政治活動に取り組んでいます。
昨春から、経産省が編んだ「中小企業300選」を見ながら、中小企業を訪ねたり、筑波研究学園都市に太陽電池を見たり、東京電力中央研究所で電気自動車に乗ったりしているそうです。
そうすると、「時代が変わったな」「産業構造が大きく変わっている」と肌で感じているという。
大島さんは「日本の産業の強さは現場の力だ」として、人材派遣業を取り上げました。私がこれまでに聴いたどの国会審議よりも、大所高所から労働問題を取り上げました。
「メーカー出身なので、今でも横断歩道を渡る時に指さし呼称をしてしまう」という大島さん。
NKK時代に自分の同僚が、リストラ(解雇、転籍出向)を通知する担当者になり、悩んでいたという実体験を話し、「今、会社の経営者になっている人のトラウマ(心のすきま)は、リストラを担当し、仲間に解雇や(転籍)出向を通知した思い出だ」と語りました。
重大災害(休業4日以上)が年間5885人になっている実態をふまえ、「ハケンという働き方では、労働災害を防止できない」。
一般労働派遣業者が12、653社(1999年)→70、066社(2007年)へと増えていくペースは、1日20社増えている計算だとし、次のような認識を示しました。
「大企業の中で一番嫌な部分をアウトソーシング(外部委託)した」
それが派遣業者だと。
大島さんが選挙区で日曜日にビラを配っていると、「おそらくわが党の支持者ではないと思われる」20代の若者5人に囲まれました。
5人の若者は大島さんに問答を挑みました。自分たちの働きぶりを説明し、「俺たちの適正な賃金はいくらだと思うか?」
大島さんは、「年収250万円、残業して280万円かな」と答えました。
若者たちは「そんなの理想だ!!」と叫んだそうです。
つまり、250万円なんて高給がもらえるわけがないだろ。お前ら国会議員は実態を知らないと若者たちは大島さんに伝えたのです。第一委員室は静まりかえりました。
「そのくらい労働が痛んでいるんです。将来がかかっている日本の若者がそう言うほど、日本の産業競争力が痛んでいる」
「政治がこういう働き方を容認するかどうかの価値観の問題だ」とし、かつての働く仲間にこう呼びかけました。「サラリーマン社長に言いたいのは、『君たちが社長になれたのは、部下や同僚に助けてもらったから』だ。そのことを忘れている経営者が多い」
ぐっと胸に迫る大島質問でした。
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きょうは衆院第一委員室傍聴席で民主党の質問をびっちり4時間、聞いてきました。
川内博史さん(鹿児島1区)、細野豪志さん(静岡5区)、大島敦さん(埼玉6区)。3人とも、それぞれのライフワークを取り上げていました。
1年前の通常国会でガソリン値下げ隊長として活躍した川内さん。道路問題では、二階経産相に「昨年は和歌山県の道路を調査に来ていただきありがとうございました。私もそのうち鹿児島県にもうかがいます」との捨てぜりふを吐かせました。
細野豪志さんは、「世間のみなさんの関心から外れてしまいましたが、汚染米について聞いてみたいと思います」。
大島敦さんは「今でも横断歩道を渡る時に指さし確認してしまいます」という「日本鋼管(NKK)」の元サラリーマン。
「私の友人がリストラの担当をしていました。今のサラリーマン社長のトラウマは、過去に解雇や(転籍)出向を仲間に命じたことです」として、「大企業が一番嫌な部分を外部委託した。それが人材派遣業だ」「サラリーマン経営者に言いたいことは、君たちが社長になれたのは部下や同僚に助けてもらったからだ。そういうことを忘れている人が多いんです」
なぜ3人がライフワークをきょうの質問に取り入れたのか。それは、だれも口にはしませんが、一つの思いからでしょう。
「これが野党議員としての最後の予算質疑になるかもしれない」。
散会後の予算委員に直接尋ねたら、無言で微笑み返してくれました。日本はタブー(禁句)の多い社会ですが、民主党予算委員12人衆の今の最大の禁句は「野党として最後かもしれない」。
与党になりたくない議員など民主党にはただの一人もいませんが、予算委員会にかけた青春(年齢に関係なく)に少しばかりの郷愁を覚えるのも事実でしょう。民主党議員は全員が人の子です。
それぞれの思いを込め、残りあと3日間。国会での前半生をかけて、総仕上げに臨みます。
2月26日(木曜日)の外交に関する集中審議、2月27日の総括質疑はNHK中継があります。
ぜひ国民のみなさんも民主党予算委員12人衆の思いを共有してください。
◇
民主党は2009年度本予算を27日に衆院を通過させる方針を決めました。来週からは、実力派を揃えた世直し3党参院予算委員24人衆が予算審査にあたります。
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おはようございます。
23日の予算委で知った言葉は「農業の多面的機能」。
筒井信隆さん(新潟6区)ネクスト農相は
「第1次産業者(農業、漁業、林業、畜産業、酪農業)は、農業の多面的機能を国に無償で提供している」
として「その対価として農業者戸別所得補償が必要だ、というのです。
農業の多面的機能とは、
水源の涵養、自然環境の保全、景観、文化の伝承、食糧安全保障などたくさんあります。
地域のおまつりなど無形文化財は、五穀豊穣を祈るものが大半。青い田んぼをみると心が安らぎます。小学生時代、私は長野の祖母の家によく預けられました。長野の青い田んぼとそれに連続するどこまでも青い空と白い入道雲。カルピスを飲んだ夏、永遠の夏。それが僕の少年時代。
農業とは、産業ではありません。
農業の多面的機能に国が対価をお支払いする。それが農業者戸別所得補償だと。
さて、筒井信隆さんと仲良しの山田正彦さん(長崎3区)。私は農林水産大臣は筒井信隆さんと山田正彦さんのデッドヒートだと思います。
総理がお決めになることですが、2人とも小選挙区で勝ち上がると、難しい判断を迫られるかもしれません。
asahi.com(朝日新聞社):民主議員が政策PR小説 小沢代表「執筆より選挙活動」 - 政治
元酪農家で民主党農林漁業再生本部長を務める山田正彦衆院議員が今月、「小説 日米食糧戦争・日本が飢える日」(講談社)を出版した。財源面などで批判を浴びがちな党の政策を、近未来小説でPRするという奇策だ。
異常気象などで各国が食糧輸出規制に走り、自給率4割の日本はパニックに。そこへ登場した「民生党内閣の中沢総理」が農業者戸別所得補償制度を導入し、若者が農村に戻って自給率が上向く――。世界的な食糧高騰の一因とされる輸出規制に絡め、看板政策のメリットを訴える。
ただ、小沢代表の反応はいま一つ。執筆中は「書く時間があるなら選挙活動しろ」、本を手渡した際は「選挙準備は大丈夫か」とたしなめられたという。(蔭西晴子)
この記事を書いた、蔭西晴子記者は、民主党が昨年、「次の内閣」を長崎県で開いた時に、五島列島にわたって読み物を書いていました。
[民主党厚生労働部門会議で官僚をたしなめる山田正彦さん=昨年夏]
[山田正彦さんの小説 日米食糧戦争-日本が飢える日(講談社)]
実は手元にまだないんですが、山田さんの小説面白そうですね。小沢代表にたしなめられるのは当然で、実は長崎3区で山田正彦さんの推定得票率は50・3%で対抗馬を0・6%しかリードしていません(10月12日調査)。1993年に新生党公認で初当選した「新生党1期生」は山田正彦さんしか残っていません。上田清司さん、松沢成文さん、岩浅嘉仁さんはそれぞれ埼玉県知事、神奈川県知事、徳島県阿南市長へと転出していってしまい、国会は山田さんだけです。絶対に当選してもらわないと困ります。
◇
さて、長崎と言えば山田正彦さんの3区だけでなく、長崎2区の福田衣里子さん。どうにも気になる公認候補予定者です。
で、福田衣里子さんのブログによると、「福田衣里子がんばらんと! 薬害に遭って、見えてきたこと 朝日出版社」が出るそうです。これも私、手元にまだないんですが、ぜひぜひよろしく。
週末に鳩山幹事長が訪れましたが、長崎は全勝の可能性が出てきました。
[長崎県4選挙区全勝を誓う]
左から山田正彦さん(3区=五島など)、宮島大典・元衆院議員(4区=佐世保など)、鳩山幹事長、福田衣里子さん(2区=長崎市の一部と諫早・長崎市)、高木義明副代表(1区=長崎市の大部分)
10月の民主党調査では、高木さんは「8・7%優勢」、福田さんは「20・5%劣勢」、山田さんは「0・6%優勢」、宮島さんは「3・9%優勢」と出ています。
宮島さんは6年間浪人していますから、国政復帰に一生懸命のようです。福田さんは擁立が遅かったので、ぐんぐん伸びるでしょう。高木さんは三菱重工長崎造船所の働く仲間の支持を受けていますが、8・7%優勢ではリード率が低いです、小選挙も比例代表もどんどん票をかき集めていただかないと困ります。山田さんも楽観できない情勢です。
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