【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

自民党国対委員長「安倍隠し」か 予算委集中審議に消極的 NHK日曜討論

2013年10月13日 10時28分54秒 | 第185臨時国会(2013年10~12月)秘密保護法

 召集前恒例の、NHK日曜討論の国会対策委員長による討論が放送されました。

 二大政党の国対委員長は、自民党が佐藤勉さん、民主党が松原仁さんで、ともに先の国会の国対ナンバー2からの昇格。

 原発汚染水問題で、松原さんが「民主党は福島第一原発について(1)緊急対策、(2)遮水壁、(3)情報公開、(4)費用負担ーーの4項目で臨んでいきたい」としたうえで、「先日、IOCでの安倍総理(自民党総裁)は The situation is under control と言ったのに、東電フォローはアンダーコントロールできていない」と言っているとし、「総理出席のもとで予算委の集中審議をやりたい」と語りました。

 これに対して、佐藤さんは「松原先生は明言を避けましたが、経済産業委、原子力問題調査特別委でやることもできる」とし、法案審査がたて込んでいるので、予算委員会は開きたくない意向を示唆しました。なお、第185臨時国会では(補正)予算案は議題になりません。これに対して松原さんは「(IOC発言は)総理のご発言なので、(総理出席の)予算委員会でやってほしい」とし、佐藤さんは「ここでは明言しないが、承った」と語りました。

 このやり取りからすると、佐藤新国対委員長は、官邸や、自民党幹部内で、「安倍隠し」の指示を受けている可能性があります。

 番組最後に、松原さんが「衆参ねじれが解消したから、この3か月間国会が開かれなかったという分析もある」として、国会を開かないこと事態が、ねじれが解消したことによる、自民党のおごり、暴走の始まりだとしました。これは鋭い分析だと感じました。

 特定秘密保護法案の特別委員会について佐藤さんは「みなさんの合意をいただきながら特別委員会をつくりたい」としましたが、公明党の漆原良夫さんは「本来は内閣委員会となるが、大きな法案があるので、(審議日程が)この国会に間に合わないから特別委員会になる」とし、法案は「与党として政府自民党と折衝中だ」だとしながらも、特別委設置には理解を示しました。このため、特別委設置が、衆院国対での召集週での最大の交渉となりそうですが、この設置そのものが、衆参ねじれ解消後の衆議院本会議最初の強行採決になる気配が出つつあります。

 なお、民主党保守派の松原さんは、番組の中で「日本の国柄を考えると、人は資源、人は石垣、人は城。だから、貧困の連鎖を断ち切ることが、アメリカンドリームにつながる」との親米保守思想の持ち主であることを隠そうとしませんでした。テレビというのは、その人の人生が出ます。松原さんのしっかりとした正しい親米保守は頼もしい限り。我々親米保守思想の持ち主こそが民主党を救う。その臨時国会がいよいよ幕を開けます。


事前審査制復活に負けないために 第185臨時国会の法案、まずは継続審査をおさらいしよう

2013年10月13日 05時35分14秒 | 第185臨時国会(2013年10~12月)秘密保護法

 さあいよいよ、第185臨時会は連休明け午前10時に召集されます。

 で、召集前にこうなる、と想像しても、そうならないから面白い国会。3か月間時間があったので、過去のブログを見返しましたが、当ブログでもあたっているのは1つぐらい。

 2011年1月24日付エントリーで私は、「これほど、何があるか分からない通常国会も珍しいと思います。例年、召集日は国会に直接行きますが、きょうは自宅でネット中継を見ております。爆撃現場や負傷者をみたくない戦場ジャーナリストのような感じにもなっていますが、しっかりとペースを抑えながら、150日間以上の混沌の中から新しい仕組みをつくっていく第177常会を完走できるようにしたいと思います」としています。とはいえ、まさか大津波、原発爆発があるとは・・・

 ところで、けさの朝日新聞によると、枝野幸男さんが昨日、選挙区で、「秘密の妥当性を司法がチェックできる仕組みも必要だ」として、特定秘密保護法案(未提出)だけでなく、情報公開法改正法案(廃案)を同時に成立させて、裁判官によるインカメラ審理が必要だ、との認識を再度示しました。私はこの3か月間、羽田内閣を裏切った、枝野幸男氏、前原誠司氏、荒井聡氏、高見裕一元議員の「ぬかがけ4人衆」への怒りを募らせており、絶対に信用してはいけないと考えおります。「三つ子の魂百まで」。一期生であのようなことをする人は、同じことをまたやるでしょう。どのような理由であれ、細川内閣は別として、羽田孜先生への裏切りは絶対に許しません。ですから、枝野さん、前原さんの総理への道は全力で阻止しますが、我が党公認で連続当選している以上、その代議士としての実力は認めます。情報公開法改正法案も審議することになると、民事訴訟法第223条で、裁判官が文書提出を求める際、おのおの衆議院、参議院、内閣などの意見を求めるという法律事項があるので、審議に法務省民事局も入り、会期は足りなくなるかもしれません。が、これは譲れないところ。ここで、第185臨時国会を「成長戦略実行国会」ではなく、「情報公開と特定秘密のメリハリある公文書管理国会」にすれば、3年3か月と短い期間での政権再交代が日本の国益になったといえるかもしれません。枝野さん頑張ってください。

 自民党政務調査会、税制調査会や公明党による与党プロジェクチームによる国会提出法案の事前審査制が復活しました。国会空洞化の危機であり、民主政治、議会政治の危機です。

 そこで、第184臨時国会会期末にどのような法案が閉会中審査になり、第185臨時国会(いよいよ15日召集)に継続審査になっているかをおさらいしてしまいましょう。

 衆・法務委では、私は一つ勘違いしていたのですが、民主党の前川清成参院議員提出の「連帯保証人を廃止する民法改正法案」(183参法69号)が継続になっていますが、「非嫡出子・婚外子の法定相続を2分の1とする民法900条を削除する法案」は閉会中審査とならず廃案になっていました。政府が提出すべし。このほか、高市早苗・自民党衆院議員が以前から取り組んでいる「児童ポルノ処罰強化法案」(183衆法22号)も継続。そして、閣法で、「公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供などの処罰に関する法律の改正法案」(183閣法30号)が出ています。みずほ銀行やくざ融資との関係で、金融庁政務三役の説明も聞いてみたいところですね。それと、自動車の運転による処罰の重罰化法案」(183閣法52号)も。

 厚労は大変で、薬事法改正法案(183閣法73号)と再生医療の安全性確保法案(同74号)。これは日本の成長のために必須。ちなみに、最近では神戸市のポートアイランドが再生医療拠点になっているようです。山中伸弥教授が京都に登場したことの長期的なポテンシャルを感じます。総務副大臣になった上川陽子さんが出していた「医療機器開発普及法案」(183衆法21号)も誰が答弁を引き継ぐかわかりませんが、興味深いところ。

 災害対策特別委には、二階さんの「防災減災に資する国土強靭化法案」(183衆法18号)と震災2法案(28号および43号)が出ています。ただ、こういうのはひょっとすると、このまま継続審査を繰り返すのかもしれませんから、自民党への政治資金提供者はご用心ください。

 それでいうと、衆経済産業委の「外国為替法10条2項により北朝鮮輸出入に承認義務を課したことへの承認」(183承認5号)、国土交通委の「北朝鮮特定船舶の入港禁止の承認」(183承認4号)も、継続審査にし続けることによって、北朝鮮への圧力になるのかもしれません。

 臨時国会は、長期的視点で未来を創る国会。農林水産委の「農業者戸別所得補償法案」(183衆法26号)はもう恒久法にして、民主党マニフェストから卒業してもらっていいでしょう。

 成立はないでしょうが、衆・文部科学委の「教育委員会を廃止する地方自治法改正法案」(183衆法25号)、衆・内閣委員会の「道州制基本法案」(183衆法46号)、衆・財務金融委の「国と自治体双方の財政健全化推進法案」(183衆法32号)、「政治家の親族の政治献金の寄付金控除を不可能とする租税特別措置改正法案」(183衆法37号)、衆・憲法審査会の「日本国憲法改正の手続きに関する法案」(183衆法14号)なども一般質疑でもいいですから、議事録を残して、通常国会に臨みたいところです。

 まあ、いろいろ書きました。連帯保証人廃止(継続)、婚外子差別(民法900条)規定廃止、情報公開法によるインカメラ審理(民事訴訟法223条)など、これまで縁がなかった法務省民事局の関連にも、個人的には興味を持とうかな。

 それと、ヒトゲノム解読完了以来、経済との関連でずっと興味を持ち続けている、再生医療と薬事法(製薬、医療機器)の成長戦略と絡めた議論にもしっかりとフォローしていきたいところです。ちなみに、前民主党議員で、TPPによる自由診療と混合診療により、「医療を受ける機会で貧富の格差が生まれる」と言っているバカがいますが、それなら、「山中教授研究禁止法案」でも発表したらどうなんでしょうか。

 まあ、いろいろと腹が立っているんですが、私としては30歳代で会期末を迎える最後の国会。実りの秋の種まきとなるように、野党の立場から、しっかりと雑草を取りながら、種をまき、雑事に惑わない不惑の年を迎えていきたいと考えております。さあ、これからがスタートです。