【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

代表質問で二大政党党首激突、憲法96条先行改正に歯止め、決算剰余金活用へ

2013年10月16日 14時22分17秒 | 第185臨時国会(2013年10~12月)秘密保護法

【衆議院本会議 2013年10月16日(水)】

 安倍首相の所信表明演説に対する各党代表質問が行われました。

 海江田万里ネクスト首相(民主党代表)が質問に立ち、「総理は96代首相だから日本国憲法96条先行改正というが、民主党は96条先行改正には反対だ」として、立憲主義にもとづいて、堂々と憲法を改正するよう踏み込みました。これに首相は「どの条項から憲法を改正するかは国民の判断になる」として、教条主義的な96条改正論から、国民的な憲法全面改正への機運の盛り上がりでの二大政党党首の歩み寄りが感じられました。

 安倍首相の「積極的平和主義」とのアピールに対して、海江田さんはインドでの調査で日本のイメージは1位のハイテクに次いで、2位が平和大国だとして、「アフガニスタンでのPKOやソマリア・アデン湾での海賊対処」を例に挙げ、これまでの国際平和貢献路線を継続するよう促しました。

 農業者戸別所得補償の法制化について、安倍首相は「旧農業者戸別所得補償」と呼んだうえで、「畜産業には経営所得安定対策が有効な政策となっている」と強調しながらも、コメ作などに関しては、検討に応じる余地に含みを持たせました。

 財政法6条の前年度の決算剰余金の2分の1は翌年度、赤字国債の償還に回すべしとの規定について、安倍首相は「別途の法律によらなければ」と定められていると前置きし「適切に判断したい」と答弁しました。これは税収の上振れが期待できる今年度の決算剰余金を赤字国債減らしではなく、一部を次の予算編成に回す意向があるとの考えが念頭にあると思われます。この場合、特例法案を出す必要がありますが、予算関連法案になるので、予算案の陰であまり関心を呼ばないまま、強行採決されてしまう可能性があります。

 消費税増税分について、安倍首相はすべて社会保障に充てるとの答弁を繰り返し、今後、整合性が問われる場面もありそうです。

 水俣条約会議で、自民党政府の施策により、水銀被害でいまだに苦しんでいる方がいるにもかかわらず、ぬけぬけと「日本は水銀被害を克服した」との誤ったビデオメッセージで、参加外交官を唖然茫然させたことに関しては答弁しませんでした。情報公開法と公文書管理法について、海江田さんが「民主党は国民に開かれた政府をめざしてきた」と強調したうえで、総理の考えをただしたことについても、明快な答弁がなく、二大政党の考え方について、立党以来のスタンスに大きな違いがあることを浮き彫りにする場面もありました。

 やはり、民主党は、社会保障の党、水銀被害者ら生活者の党、情報公開の党であるというスタンスを貫けば、いずれ、ネクスト首相がリアル首相に戻る日も来そうです。


岡田克也さん「公明党席の拍手が非常に少ないな」安倍首相黄金の3年間スタート所信表明演説で

2013年10月16日 06時40分27秒 | 岡田克也、旅の途中

 岡田克也さんは、衆参ねじれが解消し「黄金の3年間」最初の国会となった2013年10月15日(火)の衆・本会議の安倍首相の所信表明演説について、「公明党席も拍手は非常に少ないという印象を受けました」と語りました。同日付ブログなどで情報発信しました。

 私はきのうは所要で国会に直接傍聴に行けませんでしたが、衆に限れば、昨年末から構成は変わらないので、だいたいそういう雰囲気だろうな、と推測しました。

 岡田さんは昨年末までの副総理時代に、閣議・閣僚懇談会の議事録づくりに関する勉強会をつくり、イギリス政府からの知見を得るなどして、取りまとめましたが、下野に伴いやり残しました。

 これについて、政治改革や統治機構改革に強い、公明党の大口善徳さんが、特定秘密保護法案の与党内修正論議で、「閣議・閣僚懇談会の議事録作成に関する公文書管理法改正法案の提出」を、自民党政府に対して要求しています。

 大口さんといえば、1997年12月の新進党最後の両院議員総会で、草川昭三さんとともに、岡田克也さんの1つ前の席に座り、岡田さんの「新進党と書いてくださった有権者に対する裏切りだ」と、小沢一郎氏に対する批判を腕組みしながら耳を傾けたこと議員です。

この辺の動向も踏まえながらの、公明党に対するメッセージとなったのかもしれません。

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 なお、国会提出法案のトップを切って、厚生労働省が「社会保障制度改革プログラム法案」の全文を同省ホームページに掲載しました。(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/185.html