【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

改正北朝鮮拉致被害者「年金」支援法と統一地方選法はあさって成立へ 解散へ参院4特別委

2014年11月17日 20時37分25秒 | 第187臨時国会2014年地方創生国会

[画像]第18回統一地方選を2015年4月12日と26日に行う臨時特例法案の可決を宣言する委員長の牧山弘恵さん(民主党)と総務大臣の高市早苗さん(自民党)=参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 安倍晋三首相は2014年11月17日(月)午後4時半帰国しました。1週間前、読売新聞の1面トップ「解散へ」をうけて羽田空港で自ら発言していないと答えて、中国、ミャンマー、豪州という国会会期中としては異例の7泊8日間の外遊でした。その間に、国会議事堂は様相が一変しました。

 きょう月曜日は、午前10時開議も含めて、参議院の4つの特別委員会が開かれました。今週解散される証左です。

【参議院北朝鮮による拉致問題などに関する特別委員会 2014年11月17日(月)】

 北朝鮮当局による拉致被害者救済支援法改正案(187衆法8号)が衆議院側委員長の平沢勝栄さんから趣旨説明されました。全会一致で可決。あさって水曜日の本会議で可決し、成立します。「年金」を10年から15年に延長する内容。

【参議院政治倫理の確立および選挙制度改革に関する特別委員会 同日】

 第18回統一地方選を2015年4月12日と26日に行う臨時特例法案(187閣法17号)の法案審査が始まりそのまま終局。全会一致で可決しました。あさっての本会議で成立し、施行。

【参議院消費者問題に関する特別委員会 同日】

 景品表示法改正法案(187閣法25号)が趣旨説明されました。あす午後1時から法案審査。ただ、これは課徴金を課すので、歳入法案なので参考人質疑がいるように思うのですが、会期内成立はいかに。

【参議院東日本大震災復興特別委員会 同日】

 一般質疑が行われ、被災者の生の声が国会に届きました。毎月の補償金よりも一括の補償金で違う都市で新生活を始めたいという人もちらほら出だした3年目の冬です。
  


民主党マニフェスト2014の論点 [私見]

2014年11月17日 07時03分24秒 | 第47回衆院選2014年12月アベノミクス解散

[私見]

●特別会計はいっさい認められないのか? 農業者戸別所得補償は特別会計化が必要だ。

 民主党は2008年ガソリン値下げ隊のターゲットになった社会資本整備特別会計など特別会計の原則廃止を法制化しました。ただ、農業者戸別所得補償をいずれ復活させたとして、一般会計では毎年度の歳出額のブレが大きくなります。農林水産省も財務省も望むところではないでしょう。自民党と公明党は2017年度に「収入保険」を創設することを、先の通常国会で法律附則に盛り込みました。しかし、そのような農業者に新たな負担を求めるのではなく、コメは生産数量目標に参加した場合、販売価格と生産価格の差額分は全額国費で補てんすべし。このため、いっさいの特別会計新設を認めないのではなく「農業者戸別所得補償特別会計」が必要です。特別会計法の改正で、毎年、一般会計から特別会計に1兆円を繰り入れ、足りなくなったら増額補正。仮に余ったら、翌年度に繰り越せるようにすべきです。

●租税特別措置はいっさい認められないのか? 研究開発、雇用促進は減税の方が補助金よりもお金の流れが良い。

 租特透明化法は、民主党政権の最初の通常国会で、野党・自民党の賛成も得て、成立・施行しました。総務省行政評価局が詳細な租税特別措置の適用状況の報告書をまとめています。ただ、いっさいの租税特別措置すなわち政策減税が認められないのでしょうか。法人税を納める企業では、例えば製薬会社が新しい特許を取ったら、社長が中期的な事業計画をぶち上げ、研究開発減税を枠組みにして、株の増資と銀行の融資を巻き込めば、補助金以上のマネーを回せます。人も集まります。増収増益基調のときに、雇用促進税制を活用すれば、将来不安をはねのけ新規採用につながります。

●労働者保護の最大の政策は、「労働法制の再整備、シンプル化」だ。

 民主党は製造業への日雇いスポット派遣の禁止や、最低賃金の引き上げを実現しました。そもそも、労働法制とは、4月1日に採用されたのに初任給が4月25日であることに代表されるように、労働者と使用者は対等な立場ではありません。労働法制は本来、労働者を守るためにあらねばなりません。 しかし、例えば、試用期間の定めは法律にないのに、管理職も新規採用社員も法律だと勘違いしています。解雇権の乱用禁止も120年前から改正されたことがない民法1条3項が根拠です。「労働法制の再整備」が必要です。マニフェストのみならず、弁護士、労働組合幹部出身者がいながら、労働法制に詳しい弁護士の国会議員は一人もいないので、人材の発掘、育成も必要になります。