【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

参議院災害対策特別委員会が閉会中審査 長野県北部神城断層地震で「激甚災害指定を」

2014年11月28日 23時59分59秒 | 第187臨時国会2014年地方創生国会

(このエントリーの初投稿日時は2014年11月29日午前8時20分)

[写真]参議院西通用門、2013年8月、筆者(宮崎信行)撮影。

【2014年11月28日(金)参議院災害対策特別委員会】

 日曜日に起きた、長野県北部神城断層地震に関する、閉会中審査が行われました。

 解散直前の参議院本会議で、この委員会だけ、閉会中審査要求の議長一任を許可していました。

 防災担当大臣の山谷えり子さんは、「46名の負傷者を出しながらも、幸いにして死者はゼロだった」として、「消防・警察は救急救命活動を、自衛隊は給水活動を行った」としました。

 この後の質疑では、政務三役はすべて参議院議員が答弁しました。

 質疑者トップバッターの、自民党(全国比例)の小坂憲次さんは「今回の被災自治体は財政力の低い村が多い」として、激甚災害法にもとづく、激甚災害指定、いわゆる「局激」か「本激」に指定するよう、大臣に迫りました。小坂さんは「白馬村といっしょくたに言うが、被災地はスキー場からは離れている。スキーのレジャーにはまったく問題ない」と風評被害がないようアピールもしました。

 とはいえ、質問の冒頭から、激甚災害指定を求める。これは私は、きょうの日本の国と自治体の関係でいえば当然に近いとは感じます。しかし、世知辛さを感じざるをえません。

 いずれにせよ、犠牲者ゼロは良かったです。

 参議院の存在意義を示した審議でした。 


これでは第三の矢はできない 安倍晋三さんへの日本医師会からの資金提供が3倍に 自民党への法人献金4割増

2014年11月28日 17時49分32秒 | 第47回衆院選2014年12月アベノミクス解散

総務省は、2004年11月28日(金)午後5時過ぎ、平成25年(2013年)の政治資金収支報告書(中央届け出分)を発表し、インターネットで公開しました。

 安倍晋三・衆議院議員の資金管理団体「晋和会」に対する、日本医師会からの資金提供が、前年比3倍以上になったことが分かりました。

  晋和会の2012年分(野党議員、9月に野党総裁に就任)では、日本医師会の政治団体「日本医師連盟」は160万円を提供。政治資金パーティーの券を1回30万円ずつ購入していましたが、総裁就任後は1回100万円購入しました。

 晋和会の2013年分(首相)はでは、日本医師連盟は700万円を提供。パーティー券は引き続き1回100万円で、このほか、前年分に記載がない寄付金が500万円ありました。

 安倍首相が党首をつとめる自民党の、政治資金管理団体(受け皿)である、国民政治協会は、2012年に法人から13・7億円の献金を受けていましたが、与党に返り咲いた2013年には19・5億円へと4割増しになりました。一方個人の献金は微減となりました。

  安倍さんは、この間の2012年11・12月の自民党重点政策2012に「国民皆保険を守ることを基本に、処遇改善などを通じて、医師などの人材や高度医療機器などの医療資源を確保するとともに、その適正配置を図り、地域で必要な医療を確保します」と打ち出しています。これが、地域における医療・介護総合推進法(平成26年法律83号)などによる、大病院から、地域内の個人医院へという流れを進めた可能性もあります。

 日本医師会からの献金が増えたことと、第三の矢(規制緩和による成長戦略)の整合性について、安倍晋三衆議院議員事務所、西山猛・政策担当秘書(元毎日新聞記者)は「文書でないとお答えできない」 と話しました。

総理大臣になったら、控えるもんでしょう。総理就任3か月前という、急な総裁就任で、何か資金的な必要性でもあったのかと勘繰りたくなります。そうとう脇が甘いと言わざるを得ません。脇が甘いというよりも、訳が分からないという感じです。この露骨で、能天気ぶりはいったい何なんだ。

 アベノミクス第三の矢は「できない」のではなく、「やらない」のだろうと、私は考えます。


岡田克也「外交をひらく」出版、政治家として核軍縮、外相時代の核密約 仏外相、中国外相との顛末も

2014年11月28日 12時50分47秒 | 岡田克也、旅の途中

(このエントリーの初投稿日時は2014年11月28日午後12時30分)

 岡田克也さんが3冊目の著書

 「外交をひらくーー核軍縮・密約問題の現場で」

 を出しました。

 2014年11月27日発行。 

 実質選挙戦となりましたが、もちろんもともとの予定で、外相時代(2009年9月~2010年9月)までの記者会見録を基にして、岡田さんが記憶も交えて書き綴ったものです。岩波書店、ハードカバー、およそ300ページ(年表含む)の、1900円+税というものです。

 実質選挙戦中の今としては、第2次内閣の安倍晋三首相の外交密約の取り扱いに対する姿勢への批判がありますが、領域(領海)警備法の話などはありません(尖閣諸島についての日中外交は岡田外相退任の直後)。それと記者会見のオープン姿勢。これ以外は、12月14日の投票日までの争点はないので、ぜひ、岡田ファンは、14日以降でも、図書館に行ったときに、どんどんリクエストを出すというのがいいかと思います。

 拾い読みしてみます。

 まず、「核軍縮・核不拡散の問題は、私の政治家としてのライフワークの一つだ。その原体験となっているのは、1991年9月、渡米した際の出来事だった」として、国務省で、「ウクライナ、ベラルーシ、カザフスタンに存在する核兵器の扱いをめぐって協議していた」と聞き、仮にソ連が崩壊すると、核保有国が5か国(当時)からさらに3か国増えることを知ったからだそうです。(3ページ、5ページ)。

 「こういう問題意識から、2000年4月に、民主党政調会長代理を務めていた私が中心となって文書にまとめたのが、民主党核政策だ」(8ページ)、「2008年8月に議連の成果として、長崎で北東アジア非核兵器地帯条約案を発表した」(10ページ)。

 日米同盟では、「日本の安全保障を確保するために、どうこれらの核兵器を位置付けるべきかなどといった議論すら、ほとんどなかったのではないか」(17ページ)。

 そして、やはり外務大臣としての密約調査です。

 「外務大臣就任は数日前に正式に内示されていたので、薮中次官には、事前に命令を行うことを通告してあった。わざわざ法律の根拠を示し、仰々しく文書により調査命令を行ったのには理由があった。密約問題には関係者が多く、有力政治家や外務省OBから外務省幹部に圧力がかかるのを防ぐためにも、明確な形で大臣命令を出したほうがいいと考えたためだ」(28ページ)

 このあとは、密約調査の経緯についても書かれているし、さらに「密約がなぜ結ばれ、隠されたのか」もかなり書いています。

 さて、岡田克也元外務大臣にも国家公務員法第100条の守秘義務が終生かかります。

  岡田さんは記者会見のオープン化についての、霞クラブ(外務省記者クラブで、全国紙、通信社、NHK、民放などが加盟)とのやりとりについても書いています。その後、「会見は基本的に時間制限なしで、通常1時間弱」(118ページ)、「このオープン化と時間制限なしの会見は、私にとっても様々な観点からの質問に答えることで、多様な見方を知るいい機会だった。まだ、この場で可能な限り丁寧に説明するよう心掛けてきたことが、情報開示につながった。今回この本の中で、私が大臣時代の守秘義務があるにもかかわらず率直に語ることができるのも、記者会見でかなりのやり取りがなされ、守秘すべきものが少なくなっていたことによるところが大きい」(119ページ)。つくづく、岡田というのは、頭が良いというよりも、むしろ、異次元の発想を持つ男だと驚嘆せざるを得ません。

 もう一つ、面白かったのは、各国外相とのやりとり。このうち、2010年3月31日のG8外相の軍縮不拡散会合で、岡田外相と、フランスのクシュネール外相が激論になったことは当時から報道されていました。これについて、「私は、G8は核を持つ米露英仏と核を持たない日加独伊とが参加しており、まさしく核の問題を議論するにふさわしいと指摘した。そのうえで、核兵器のない世界実現のためG8の強い決意を対外的に示すべきであり、また、核兵器の役割の低減をG8の大きな目標として掲げるべきだと主張した」「クシュネール外相はこれに強く反論した」(201ページ)。

 で、このやりとりですが、岡田外相は合計8回発言し、クシュネール外相は合計5回発言したそうです。岡田さんは「他の外相に強い印象を与えたのではないかと思っている。それがよかったかどうかについては様々な意見があるとしても、である。」(202ページ)と書いています。

 それと2010年5月15日に韓国で開かれた、日中2国間の外相会談で、岡田外相は、中国の「楊外相に対して核保有国5か国の中で、中国のみが核兵器を増加させていると指摘」したところ、楊外相は「淡々とした冷静な、しかし私の指摘にはまったく応えることのない対応だった」(207ページ)としています。ところが、会場を移動し、日中韓3か国外相会議となったら、「突然、楊外相が顔色を変えて立ち上がり、激しく発言を始めた」(208ページ)という、顛末は、これは、政党、政治家を超えて、日本の外交当局者すべてが共有すべき貴重な体験談と言えそうです。

 岡田克也さんは、野党時代の2008年6月18日発行で、宮澤うそつき解散15周年の当日に、

 「政権交代 この国を変える」
 
 、政権交代ある政治への思い、政治改革の思い出、生い立ち、政治家を志したきっかけ、民主党改革などについて、書いています。講談社。1429円(税別)。

 与党になった直後の2010年6月23日発行で、

 「岡田語り。」

 を出しています。本人のブログを選り抜き再編集しており、一部語りおろしもあります。武田ランダムハウスジャパン、1429円(税別)。

 そして、2014年11月27日発行で、

 「外交をひらく 核軍縮・密約問題の現場で」

 。これが、ISBNコードは、
 978-4-00-061004-9
 になります。岩波書店、1900円(税別)。

  


宮崎信行が週刊金曜日巻頭「解散選挙で蠢く与野党」に書きました【追記有】

2014年11月28日 12時01分22秒 | その他

 きょう発売の「週刊金曜日」(2014年11月28日号/1018号)の冒頭で、私宮崎信行が記事を書きました。

 4ページ、5ページ、

 「今週の巻頭トピック 金曜アンテナ」の

 「解散選挙で蠢く与野党」。

 見開きに、3本立てで、「問われる脱原発の行方」(ジャーナリストの横田一さん)、「いまも未整備の秘密保護法」(編集部の成澤宗男さん)の素晴らしい記事の、道案内役として、不肖私が、解散の概要、第47回総選挙のやり方、展望、安倍政権の2年間、第47回衆院選の歴史的意義を書きました。
 なかなかの出来栄えだと自負しております。

 日本の民主主義で最も重い、衆議院解散総選挙について、私が巻頭を飾らせていただき、光栄です。

 これからも頑張っていきます。ぜひ、お読みください。 

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【追記 2014年12月5日 午後10時】

 次の号が出たので、著作権者の私・宮崎信行の判断で、記事を公開してもいいそうなので、公開しますね。



【追記おわり】