【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

民主党・西村智奈美、山尾志桜里、鈴木貴子、阿部知子、金子美恵さんら、衆予算委、中盤を越える

2015年03月02日 18時58分21秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

(このエントリーの初投稿日時は、2015年3月2日午前10時半で、仕立て直して午後7時に再投稿)

[画像]西村智奈美さん。

【平成27年2015年3月2日(月)衆議院予算委員会】

 一般的質疑3日目。

 国政復帰した民主党の元厚生労働副大臣、西村智奈美さんは、労働者派遣法改悪法案(未提出)について質疑。自民党政府は、昨年の通常国会、昨秋の臨時国会で2度審議未了廃案に追い込まれながらも、今国会で、「ことし10月1日施行」に文章を書き替えて、3たび提出しようとしています。

 西村さんは、厚労省の課長、おそらく厚生労働省職業安定局需給調整課長だろうと思われますが、厚労省の課長が、ことし1月27日(火)の一般社団法人人材派遣協会の新年会で、
 「これまで派遣労働は期間がくれば使い捨てという物扱いだった」と発言していたことを明かしました。

 塩崎恭久厚労相は、「知らない」としてうえで、調査することを確約しました。

 西村さんは、「テープもあります」として、平成27年度予算案の派遣労働者へのキャリアアップ助成金などを認められない、との考えを示しました。

 また、LGBT(性的少数者、レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスレンダー)について、アメリカは人口の3~5% と推測されるが、日本では調査が無いとしました。学校現場での面的な調査を求めたところ、下村博文文科相は、「語意の問題もあるが、関係省庁と協議して検討したい」と答弁しました。

 西村さんは、1週間前に辞任した西川公也前農相の、衆議院議員として所得等報告書の雑所得で、共済・厚生年金と顧問料と講演料の総額が記載されていることから、その内訳、とくに講演料の内訳を明らかにするよう、予算委員長に求め、理事会で議論することになりました。

 山尾志桜里(山尾しおり)さんは、自民党憲法改正草案の第24条の柱書後段、「家族は、互いに助け合わなければならない」 について質疑。山尾さんは「自民党憲法改正草案の家族には、事実婚や同性婚も含むのか」と家族のあり方に迫りました。自民党閣僚からは明確な答弁はありませんでした。これに先立ち、保育所の充実について、社会保障と税の一体改革法で児童福祉法24条の「保育に欠ける子」が「保育が必要な子」に改正されたことについて、塩崎恭久・厚労相から「子ども子育て新制度は、自公民3党合意による一体改革でお決めいただいたことで、保育の必要性のある子に対して、夜間保育などを含めた保育の質の向上を図ります」との答弁を引き出しました。


[画像]山尾志桜里さん。

 鈴木貴子さんは、冒頭、岸田外相に「日本の領土問題は何か」と問いました。外相は「北方領土問題と竹島問題だ」と答弁。つまり、尖閣諸島は領土問題でないことになります。鈴木さんは重ねて「北方問題担当大臣は置かれているのに、なぜ竹島問題を担当する閣僚は置かれていないのか」と問いましたが、答弁でその経緯は明らかになりませんでした。取り調べを可視化する刑事訴訟法改正法案(今国会提出予定)について、上川法相は「抜本改正だ」として「裁判員裁判対象事件と検察による独自捜査事件が対象になる」と答弁。鈴木さんが刑事事件全体の割合を問うと、上川法相は「数%」と答え、鈴木さんが重ねて問うと、「3%だ」と答弁。鈴木さんは「それで抜本改正なのか」と切り返しました。


[画像]鈴木貴子さん。

 阿部知子さんは「民主党としては最初の質問だ」としたうえで、東京五輪招致時の安倍首相の「汚染水はアンダーコントロールされている」との発言について、菅義偉・官房長官に問いました。菅さんが「総理は汚染水が低濃度でアンダーコントロールされているという意味で発言した」と語ると、阿部さんは「官房長官は国民との対話の窓口だ」として、官房長官のあり方を説きました。


[画像]阿部知子さん。

 金子恵美さんは「福島原発について、多くの憤りを覚えている」と切り出し、「阪神・淡路大震災では5~6年後に心労のピークを迎えた人が多いらしい。心のケアの予算は来年度の予算は前年度より削減されている。これは執行率が低かったからだろうが専門職を増やして、長期メンタルヘルスケアの体制を構築すべきだ」としました。竹下復興相は「役場の人ができるかというと、正直出来ず、NPOなどに委託している」としながらも善処を確約しました。金子さんが被災地の公務員の健康状態について聞いたいところ、竹下復興相は「役所の人はよくやっているが、被災直後は気が張っているが、しばらくして辞める人がいないわけではない。職員のメンタルヘルスも大事だし、業務の負担を減らすことを考えていく時期だ」 と応じました。


[画像]金子恵美さん。


[画像]答弁する竹下復興大臣。

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 大島理森・予算委員長は、一般質疑終了後の午後5時すぐに、平成27年度予算案の中央公聴会の開催を諮り、とくだんの混乱もなく「異議無し」と一任をとりつけました。3月9日(月)に開催する、と語りました。

 あすは集中審議2日目で、あさっては地方公聴会、来週月曜日は中央公聴会ということになり、予算審議は、衆院で早くも中盤を過ぎようとしています。


偽りのアベノミクス 倒産件数は実は2倍だった 日本共産党の真島省三さん暴く

2015年03月02日 18時19分30秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

 アベノミクスの偽りが明らかになりました。

 平成27年度予算案審議の一般質疑3日目は、先に投稿した民主党質疑のエントリーに続き、 維新の党、日本共産党が質問しました。

 日本共産党の1期生で北九州を地盤とする、真島省三さんは、先月4日の予算委での安倍首相の答弁について質疑。

 安倍首相は2月4日、「倒産件数においては二十四年ぶりに一万件を切ったわけでございまして、そういう意味におきましては、大企業だけではなくて、中小・小規模事業者の事業環境はよくなりつつある、こう思っているわけでございます」 と、アベノミクスは中小・小規模事業者にも及んでいると強調しました。

 これについて、真島さんは、民間の信用調査会社、東京商工リサーチ(TSR)の数字として、

 1990年は523万社中6461件の倒産、

 2014年は386万社中9731件の倒産

 なので、24年間で2倍以上に増えていると指摘しました。

 これに先立ち、真島さんは、2014年の休廃業・解散件数について質問しました。

 答弁に立った経済産業省の外局、中小企業庁長官は「TSRの調べで、2万6999件、帝国データバンク(TDB)の調べで、2万4106件だ」と答弁しました。

 これを受けて、真島さんは「この3年間の休廃業・解散件数は過去最高水準だ」と語りました。

 宮澤洋一・経産相は「事実だ。経営者の高齢化が進み、体調や事業の先行きが不安、不透明で休廃業・解散したようだ」と語りました。

 まあ、これはおそらく、異次元の金融緩和を活用して、後始末のお金を借りて清算した会社が多いと考えられ、融資返済も完了した、「勝ち逃げ」の経営者も少なからずいると考えられます。わが国金融市場の実態と、アベノミクスの本質があらわれているのだろう、と考えます。

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 これに先立ち、維新の党の重徳和彦さんが「なぜ自殺対策予算を、本予算ではなく、平成26年度第1次補正予算案に前倒して計上したのか」と質問したのに対して、有村治子・内閣府担当大臣は、「昨年秋から3カ月連続で、前年同月比の自殺者数が増えていたので、補正予算に入れた」と答弁しました。