【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

平成27年度NHK予算案が審議入りも、異例の日またぎ審議、平成27年度税制改正は年度内成立条件整う

2015年03月24日 19時00分48秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

【平成27年2015年3月24日(火)衆議院総務委員会】

 午前中は、「一般質疑、とくに公共放送に関する件」をしました。

 その後、参・総務委の散会を待って、午後5時から、平成27年度NHK予算案が審議入りしました。

 野党が反対に回った昨年も含めて、一日に6時間ほど審議してきました。ことしは珍しく、与党の5名のみが質疑をして、散会。異例の「日またぎ審査」となりました。今夜の放送はどうなるんでしょうか。

 与党・自民党からも一部厳しい意見が出て、海部元首相の後継者である自民党2期の長坂康正さんは「公私混同を避けるためにハイヤーを予約したというのは、民間の感覚からして分からなくもない。ただ、籾井勝人会長は、NHKが受信料で運営されているということをもっと意識すべきだ」とやんわり釘をさしました。

 民主党の奥野総一郎筆頭理事らは、放送法改正法案を同日、提出。次の審議日程は未定となっています。

【同日 衆議院本会議】

 7つの日切れ法案がすべて発声による全会一致で可決し、参議院に送られました。

 「山村振興法の10年延長法案」(189衆法6号)

 「沖縄県における駐留軍用地跡地の県庁による先行取得の特別措置法の改正法案」(189閣法10号)

 「戦後70年にあたり戦没者の遺族への特別弔慰金支援法の5年延長法案」(189閣法22号)

 「地震防災対策における財特法5年延長法案」(189衆法7号)

 「東日本大震災被災者のための法テラス3年延長法案」(189衆法8号)=注・政府が提出する法テラス法案とは別=

 「半島振興法を改正して10年延長する法律案」(189衆法9号)

 が4月1日施行をめざして、参議院に送られました。

 「高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法の廃止法案」(189閣法10号)

 は、3月31日の失効を期に廃止する法律案ということになります。

【同日 参議院財政金融委員会】

 所信に対する質疑として、麻生太郎・財務大臣(兼)金融担当大臣が答弁。議員から「副総理として答えてほしい」という骨太な質問に大胆に答弁しました。これを受けて、民主党は、与党と協力し、平成27年度税制改正法案を、予算よりも早く、2015年3月31日(火)に参議院本会議を立てて緊急上程し、年度内に成立させる方針を決定。あすの本会議で趣旨説明を受けることにしました。税制改正法、改正関税法の年度内成立は確定的。

 質疑では、私が今国会でイチバン興味を持っている民法債権編抜本改正法案(未提出)について、前川清成さん(議運委筆頭理事兼務)が質問。

 「民主党政権の平成22年2010年に、金融庁のガイドラインを変更して、経営者でない者の第三者保証をなるべくとらないようにしたはずだ」とし、「公正証書をつくらなければ第三者保証(連帯保証含む)ができないという民法改正をしてしまったら、後戻りしてなんにもならない」と指摘。麻生金融相は「金融庁としては経営者以外の第三者の連帯保証は認めない。法制審議会での民法改正大綱の動きは知っているが、引き続き、原則としては認めない方針だ」と頼もしい答弁。しかし「原則として、」がついたことから、前川さんは「じゃっかん噛み合っていない」とし、今後も目を光らせる姿勢を明確にしました。この後の質疑で、大塚耕平さんが「内閣府副大臣のときに公正取引委員会を担当したときに、JA農協を改革しようとしていた」と発言しました。

 きょうは質疑だけで終局。あすの本会議を受けて、木曜日にも審議をはじめ、スピード審査で税制改正を仕上げる見通し。

【同日 参議院総務委員会】

 所信に対する質疑。ただ、NHK会長への質疑が多くなりました。質疑が一巡して、「店開き」となり、木曜日に、地方税法案の審議に入り、年度内に成立させる方針。

【同日 衆議院安全保障委員会】

 所信に対する質疑の野党編。トップバッターは大串博志筆頭理事。今国会終盤戦の主戦場となる安保分野(特別委設置の見通し)だけに、骨太の議論がされました。大串さんは防衛省設置法第12条改正案(189閣法33号)について、「シビリアンコントロール(文民統制)の前提として、内部部局が大臣を支える文官統制を定めた条文だ、という答弁は議事録にない」と指摘。 中谷防衛相は「佐藤栄作元首相や、大橋元国務大臣の答弁からして、文官統制を定めたといえる」と返しました。

 大串さんは副大臣、政務官に担務を問いました。左藤副大臣は「役所に行ったりいかなかったり」と答弁。原田憲治政務官は「私はほぼ毎日午前10時ぐらいには防衛省に出勤しており、できるだけ政務官室にいる。衆議院の国会対策を担当している」とし、石川博崇政務官も「参議院の国会対策を担当している。大臣への決裁文書もなるべく目を通しているし、役所になるべくいるようにしているが、大臣のかわりに各駐屯地の行事に出席している場合もある」としました。大串さんはもともと得意分野とする農林水産省の例を挙げ、「西川大臣が辞めた時に、いろいろなことがあって、副大臣は午後6時に退庁していたり、政務官の一人は政務で登庁していなかったりしたので聞いてみたかった」としました。

 小川淳也さんは自治省入省と同時に沖縄県庁に出向しており、米兵による沖縄女児レイプ事件を、沖縄で見聞きしていた、と話しました。

【同日 衆議院環境委員会】

 所信に対する質疑が与党だけ行われました。

【同日 参議院環境委員会】

 民主党の森本真治さんが理事に就任。その後、大臣の所信や、田中・原子力規制委員会委員長(政府特別補佐人)の説明を聞いて、散会しました。

【同日 参議院内閣委員会】

 担当する全閣僚の所信を聞きました。

【同日 参議院外交防衛委員会】

 所信に対する質疑で、小西洋之さんが横畠内閣法制局長官に迫る場面がありました。

【同日 参議院厚生労働委員会】

 塩崎厚労相が所信を述べました。「月100時間を超える労働への行政指導」「すべての派遣事業者を許可制にする労働者派遣法改正案の提出」「公的年金改革は社会保障制度改革プログラム法にとづいて進める」「昨年国会でつくっていただいた危険ドラッグ禁止法を使って、危険ドラッグを撲滅しつつある」などと演説し、とりあえずは静かな幕開けとなりました。津田弥太郎野党側筆頭理事が委員派遣の報告をして、散会。

【同日 参議院経済産業委員会】

 宮沢洋一経産相と山口俊一国務大臣(公正取引委員会担当)が所信。

 この後、平将明・内閣府副大臣が公取担当としてあいさつしましたが、吉川沙織委員長を「古川委員長」と間違えて呼び、平謝りする場面がありました。担務が多い内閣府副大臣はエース格が起用されていますが、好事魔多し。

【同日 参議院国土交通委員会】

 太田昭宏大臣が所信。「コンパクト、プラス、ネットワークの国土づくり」「交通政策基本法にもとづき2月に交通政策計画を決定した」「改正土砂災害防止法で浸水被害を防ぐ」「今国会で水防法の改正をお願いしたい」などと演説しました。この後、広田一委員長(民主党)の地元でもある、高知県への水防法改正の視察も兼ねた委員派遣について、増子輝彦さんが報告して、散会。

【同日 参議院予算委員会】

 一般的質疑4日目。きのう月曜日と2日間で時間を回したため、次世代の党から社民党を経て、自民党に回る格好となりました。福島みずほさんは、今国会の法案を先取りして、質問し、「刑事訴訟法改正で可視化は何パーセントぐらいになるのか」などと聞きました。「盗聴法はどうなるのか」との問いに、上川陽子法相は表現にふれずに「通信傍受法は」と答弁。「民法の最高裁判決を前に、公明党幹部が言うように、選択的夫婦別姓を認めたらどうか」との問いに上川法相は「選択的夫婦別氏(べつうじ)についての最高裁判決には注目している」と答弁しました。

 次回はあさって26日(木)午前9時から公聴会が開かれ、予算審査は最終局面に向かいます。下村博文大臣問題とNHK籾井勝人会長問題がどうなるか。不発を恐れずに、公金の使い手の資質をただしていくべきでしょう。