[画像]民主党の前原誠司・衆議院予算委員会筆頭理事=民主党ウェブサイトから。
国会新時代の幕開けです。
NHK国会中継は、本予算(当初予算)案の審議では、基本的質疑(全閣僚)の1日目、2日目と、集中審議(首相・財務相と要求大臣)だけが放送されてきました。
一般的質疑(財務相と要求大臣)、中央公聴会、分科会などは中継の対象外。さらには、採決前の、しめくくり質疑は全閣僚出席ながら、放送されてきませんでした。
そこで、民主党の前原誠司予算委筆頭理事や、党の高木義明国対委員長、維新の党の今井雅人理事、共産党の高橋千鶴子理事らの尽力で、
「集中的しめくくり質疑」として、あす平成27年2015年3月13日(金)午前9時からNHKテレビ・ラジオで放送されることになりました。民主党からは大西健介さんも質疑する予定。
NHKによると、残念ながら、討論・採決は放送しない予定。
これまでしめくくり質疑が放送されなかったのは、野党が採決日程をかけひきで決めていたため、開始時刻が直前まで設定されないことが多かったことが影響していたとみられます。これに対して、前原理事らは、テレビ中継をしてもらい、民維共3党の力をテレビを通じて国民にアピールすることを優先したものと考えるのが妥当でしょう。
これに先立ち、きょう12日(木)の午後3時半、私はこのことを知らずに民主党代表代行の長妻昭さんに質問。ここで、「理事会で議論することになると思うが、しめくくり質疑が無いという局面にはならないという局面になる。できればNHKにも中継してほしい。いろいろ話し合いの中で議論すべきだと思う」と語り、筆頭理事や国対が協議していることを明らかにしていました。
NHKでのしめくくり質疑の中継は、おととしの臨時国会で、参議院国家安全保障に関する特別委員会の特定秘密保護法案のしめくくり質疑を、「NHKニュース」として放送して以来とおもわれます。
テレビ戦術では、2008年秋の臨時国会で予算委理事になった枝野幸男さんが要求して、第1委員室の記者傍聴席の1階と2階のほかに、テレビ画面向かって左奥、右奥の副大臣席の両隣に、合計2台のカメラを入れたことがあります。これにより、これまで衆議院第1委員室で死角になっていた、野党席の後ろの議員傍聴席がテレビ画面に映るようになり、民主党の閣僚経験者が傍聴する姿が映り、民主党の信頼感が高まり、政権交代に成功したことがあります。
長妻さんは記者会見で、政治資金規正法の改正について、「国民の多くの声がないと自民党は変わらない。大きなうねりをおこさないといけない」と語りましたが、これはNHK国会中継にも言えそうです。政局ウォッチNOWさんのツイキャスでも、「なぜきょうはNHK国会中継がないのか」とNHKに問い合わせたとの声が多く寄せられました。実際には、平成27年度予算審議では、基本的質疑1・2日目、集中審議はすべて放送されており、例年と変わらない対応でした。ただ、しめくくり質疑が、「集中的しめくくり質疑」として「NHK国会中継」として放送されることになりました。できれば討論・採決を「NHKニュース」として、放送してくれれば、国民が自民党一党支配による「数の力」を見せつけられ、政治を国民の手に取り戻そうという機運が高まるでしょう。
とはいえ、大きな一方で、国会新時代の幕開けです。
NHKに問い合わせた視聴者1人1人の声が、政治を前に進めました。政治は国民の手で変えられることが、ハッキリと証明されました。
[写真]衆議院予算委員会の後に、定例(隔週木曜日)記者会見にのぞむ民主党代表代行の長妻昭さん、2015年3月12日、民主党本部、筆者(宮崎信行)撮影。
【平成27年2015年3月12日(木)衆議院予算委員会】
平成27年度予算案審議も大詰め。
午前は一般質疑5日目、午後は集中審議4日目「社会保障と格差社会等」がひらかれました。
午前は、泉健太さん、岸本周平さん、大串博志さんら民維共3党が質疑。この中で林農相は農協法改正案(未提出)に関連して、「これまで農水省は、JAの准組合員の把握をしてこなかった」と答弁しました。防衛省設置法改正案(189閣法33号)について、大串さんが「現行法12条だけが文官統制を定めているという大臣の答弁は、保安庁の設置の審議過程(プロセス)からすると、違うのではないか」 と掘り下げて質問しました。
午後は、民主党から長妻昭さん、細野豪志さん、大西健介さん、維新の党の江田憲司代表、共産党は穀田恵二さんが質問しました。
長妻さんは、「きょうのテーマは格差社会だが、献金力という格差もある」と指摘しました。
政治とカネの問題では、自民党の政治資金団体である「一般財団法人国民政治協会」(代表者・塩川正十郎元財務大臣=清和会)への企業献金のうち、経済産業省、国土交通省、農林水産省から補助金を受けている企業数をおのおのの大臣にたずねたところ、「21社」、「17社」、「7社」と答弁しました。
これを受けて、政治資金規正法22条の3第1項に違反していると指摘しました。
政規法22条の3第1項は次のように定めています。
「国から補助金、負担金、利子補給金その他の給付金(試験研究、調査又は災害復旧に係るものその他性質上利益を伴わないもの及び政党助成法 (平成六年法律第五号)第三条第一項 の規定による政党交付金(同法第二十七条第一項 の規定による特定交付金を含む。)を除く。第四項において同じ。)の交付の決定(利子補給金に係る契約の承諾の決定を含む。第四項において同じ。)を受けた会社その他の法人は、当該給付金の交付の決定の通知を受けた日から同日後一年を経過する日(当該給付金の交付の決定の全部の取消しがあつたときは、当該取消しの通知を受けた日)までの間、政治活動に関する寄附をしてはならない。」
これに対して、安倍晋三首相(自民党総裁=清和会)は「自民党と国民政治協会は別組織だ」として答弁を拒みましたが、「規正法の22条の3第1項に抵触すると知りながら受けた献金は無い」として、違法性は無いと強調しました。
法律改正を迫る長妻さんに対して、安倍首相は「現行法制の中でどうできるか洗い出す。企業・団体献金を禁止するという考えはとっていない。(企業献金を国民政治協会を通じて自民党が受けたからといって)政策を捻じ曲げてはいけない」と答弁しました。この前日、自民党と公明党の幹事長は、政規法を改正しない考えで一致しています。
長妻さんはこの後の、定例(隔週木曜日)記者会見で、「安倍首相の答弁ははじめ前向きに思えたが、法律改正の必要があるということを言わなかった」とし、「宙に浮いた献金と言えるのではないか」としました。
衆議院予算委員会はあす3月13日(金)、 集中的しめくくり質疑を開催。これはNHK国会中継される見通し。しめくくり質疑の国会中継はまれで、前原誠司・筆頭理事や、高木義明党国会対策委員長の強い働きかけのたまものとみられます。この後、討論・採決の中継はない見通し。
このほかにも税制改正法案が、衆・財金委や、衆・総務委で可決し、午後5時からの衆議院本会議に緊急上程される見通し。
参議院予算委員会は月曜日午前9時から基本的質疑に入る予定。
【同日 衆議院総務委員会】
地方税法改正案(189閣法5号)と地方交付税法改正案(189閣法6号)の野党の3巡目の質疑がありました。あす採決へ。
【同日 衆議院災害対策に関する特別委員会】
山谷えり子防災相の所信表明がありました。
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