渡辺恒雄の後継者、宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

平成27年度税制改正法案で、民主党対案も審議入り 衆・財務金融委員会

2015年03月04日 16時32分49秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

[画像]平成27年度税制改正の民主党対案を趣旨説明する、古川元久・党税調会長、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

【平成27年2015年3月4日(水)衆議院財務金融委員会】

 大臣所信に対する一般質疑を4時間やった後、平成27年度税制改正法案で、政府原案(189閣法3号)民主党対案(189衆法4号)が同時に審議入りしました。

 自民党国対が民主党対案の同時審議入りに応じたことで、税制改正法そのものは当初予算から遅れずに、成立・施行する可能性が高まりました。
 地方税改正法案(189閣法5号)はあすの衆議院総務委員会の一般質疑後にも審議入りするとみられます。

 民主党が第2次野党期で、年次税制改正で包括的な対案を議員立法として提出したのはこれが初めてで、憲政史上においても、二大政党それぞれの年次税制改正法案が同日に審議入りしたのは、初めてではないかと思われます。

 民主党対案のタイトルは「格差是正および経済成長のために講ずべき税制上の措置などに関する法律案」。昨夕提出されましたが、即時付託されていました。

 麻生太郎財務相に続いて、趣旨説明に立った、古川元久・民主党税制調査会長は、「社会保障の大事は変わらず、国民との約束である定数削減が必要だ」としました。

 民主党対案の情報は民主党ウェブサイトに入っています。 

  民主党対案は、安倍首相が決断した、消費税10%の再来年4月への先送りを認めたうえで、景気判断条項の維持と、それまでの2年間の間に議員定数削減と行革に取り組むことを明記しました。社会保障目的税であることも、改めて強調。消費税の逆進性対策として、給付つき税額控除と複数税率(軽減税率)の検討を盛り込みました。古川税調会長は、先週の予算委員会で複数税率に反対しましたが、法案には給付つき税額控除と同様に、検討事項だとしました。車体課税は自動車取得税の廃止などを盛り込みました。格差是正の観点から、所得税の累進税率や資産課税(相続税・贈与税)の見直しを法律案に盛り込みましたが、年次税制改正としての具体的な数字などは検討事項にとどまっています。法人税などでは、繰越欠損金控除の縮小と外形標準課税強化を財源とする実効税率の引き下げは「成長戦略に反する」と断じて、繰欠や税率を維持する方向性を示しました。医療費の控除対象外消費税については検討するとしました。

 閣法の分量は660ページ、民主党対案の分量は15ページ。小さな一歩ですが、偉大な一歩です。

 議員立法は、予算見込み額をつけなければいけないことになっていますが、民主党対案は「平成27年度の減収見込みは2兆0371億円、28年度が4兆0743億円である」と具体的に明示しました。

 法案審査は、自民党議員が2時間して、閣法のみで、民主党対案への質疑はありませんでした。

 自民党は2期生4人が質疑。法人税に関する質問が多かったように感じました。資産課税については、田野瀬太道さん(40歳)が質問。「結婚、出産、子育てのために親から子への贈与を年間1500万円まで非課税とするのは非常に良い制度で、継続と充実を求めたい、まだ成立していませんが」としました。これに対して、たたき上げの菅原一秀財務副大臣が「田野瀬(太道)先生が(父で元自民党総務会長の)田野瀬良太郎先生からどのような贈与を受けたか分かりませんが」と応じ、自民党内にひそむ、たたき上げと世襲との対立をうかがわせるシーンもありました。

 ちなみに、信託銀行が日本にいくつあるのかな、と思ったら、wikipediaによると、17法人しかないようです。信託銀行は第2次以降の安倍政権で年間の新規顧客が倍増しているようで、信託協会から自民党への熱心な働きかけがあるのだろうと推測せざるを得ない面があります。基本的には幹部サラリーマンやそのOBが活用するものと思われます。

 民主党対案の骨組みは少なくとも8年以上変わらぬ、「控除から手当へ」 の思想が貫かれています。ハッキリ言って、平成27年度税制改正では、政府原案通り可決成立するのはほぼ間違いなく、焦点は時期だけです。しかし、民主党対案も近い将来の税法となるでしょう。たった15ページですから、ぜひ目を通しておかれることをお勧めします。

 

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[訃報]中野智美さん享年72 元国務大臣夫人、中野寛成さんの奥様

2015年03月04日 04時31分19秒 | その他

 元衆議院議員、中野寛成(なかの・かんせい)さん=旭日大綬章、衆議院永年在職議員=の奥さん、中野智美(なかの・ともみ)さんがきのう、平成27年2015年3月3日(火)、亡くなりました。4日付新聞朝刊が報じました。享年72。智美さんは難病の「脊髄小脳変性症」を患っておられました。寛成さんが2012年11月に、衆議院議員を引退して、大阪府豊中市のご自宅で介護をされていました。

 智美さんのお父さんは元大阪府議会議員で税理士の奥村肇さん。民社党結党時の大阪府連で、関西大学の学生だった寛成さん=長崎県出身=と知り合い、寛成さんは、豊中市議から、あたかも奥村府議を飛び越すかのうように、「中野」姓で、衆議院議員になりました。

 衆院選初挑戦の後、まるまる4年間浪人した際に、「子供の頃からの夢を投げ出してはいけない」とさとされた、と寛成さんは引退記者会見で語りました。 衆議院副議長退任直後の2度目の浪人の際にも、「衆議院に当選してからも、しばらくはオヤジの名前の方が有名だったよ(笑)」と語っています

通算11期、民社党書記長、新進党国会対策委員長、新党友愛代表、民主党初代代表代行、民主党幹事長、衆議院副議長をつとめたとはいっても与党経験は2回4年半のみなので、けっして経済的に恵まれていたわけではないと思います。しかし、庶民でも政策通ならば必要とされるわけで、最後の1期は、与党として、党税制調査会長、党両院議員総会長、衆議院社会保障と税の一体改革特別委員長、そしてなによりも、あの国難、東日本大震災発生時の国務大臣国家公安委員長として、治安について、一部窃盗行為などはありましたが、おおむね秩序を平常に保つ、世界から賞賛されました。

 私は今から17年前に一度だけ智美さんにお会いしたことがあります。番記者として議員宿舎で待ち構えていたところ、上京中の智美さんと2人で帰って来て、中野先生は私を紹介してくださいました。その際に、若輩者の私は、中野先生の「僕はこの人に朝から晩まで追いかけられて新聞に悪口を書かれて困っているんだよ」との冗談を真に受けてしまいました。今から思えば、困っている人を奥さんに紹介するわけがありません。そういった日々の中で、政治の何たるかを職人のように体に染み込ませていった日々の思い出と感謝は私の中で永遠に残ります。

 智美様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

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