ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

岡田克也がいれば日本は救われる、安保特別委がスタート、18歳19歳選挙権法案が審議入り

2015年05月27日 21時59分21秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

 きょうは安保関連2法案の審議で、岡田克也さんが野党の先陣を切ったので、それを中心にします。それと同時に、参議院本会議で、サラリーマンの負担が今年度から3年間上がり続けるプログラム規定を盛り込んだ改正国民健康保険法が成立したので、そこも書いておこうと思います。

●岡田さん、自衛隊員のリスク、米国の戦争巻き込まれ論、他国の領土領海領空、アメリカの先制攻撃への対応で首相に質す

【平成27年2015年5月27日(水) 衆議院我が国および国際社会の平和安全法制に関する特別委員会】

 安保法制2法案(189閣法72号、189閣法73号)の実質審議が始まりました。自民維共が質疑し、公明党の質問も聞きたかったですね。

 岡田克也さんは「国民に分かりやすい議論が必要で、私も心がけていく」と宣言しました。

 

 岡田さんは、安倍首相の「自衛隊員のリスクはこの法案で高まらない」との答弁を追及。「現在の日米同盟もリスクはまったくないわけではないが、岸信介首相による60年安保で、そのリスクを上回る抑止力を得たのではないか」と語りました。これについて、安倍首相は「1952年旧安保条約と1960年安保条約との比較でリスクが高まったということはない」というまったくすれ違った答弁をしました。

 このようにきょう一日、安倍首相はすれ違った答弁を繰り返し、「議論が深まったかどうか」で言えば、まったく深まらなかったでしょう。NHK国会中継を視聴した人も、難しい言葉ばかりで訳が分からなかっただろうと推測します。どうも首相は安保2法案を理解できていないようです。

 安倍首相は、昨年7月1日の閣議決定の、新武力行使の3要件を満たさないと自衛隊を海外派兵しないと言明。これについて、岡田さんが「アメリカは先制攻撃を認めている国だが、アメリカが先制攻撃をしたら日本は支援するのか」と問いました。岸田外相は「国際法上、先制攻撃も予防攻撃も認められていない」と答弁しました。ここで、岡田さんが「アメリカが先制攻撃に参加するよう日本に求めてきた場合は巻き込まれないのか」とさらに問うと、安倍首相はひたすら3要件を繰り返すだけの意味の分からない答弁を繰り返しました。

 岡田さんは、このほか、他国の領土領海領空に行く海外派兵の可能性と、後方支援地域が「非戦闘地域」から「現に戦闘行為が行われている現場」以外で、答弁を引き出し、今後の材料になりそうです。7月1日の閣議決定から昨日まで私は「現に戦闘行為が行われていない現場」としてきましたが、中谷防衛相の答弁を聞くとより広いイメージに感じたので、今後は「現に戦闘行為が行われていない現場以外」が後方支援地域だ、ととらえていこうと考えます。

 大串博志さんは、例示として、大量破壊兵器が後になかったと分かった、イラク戦争で開戦時に新ガイドラインにもとづきアメリカから日本に参加を呼びかけられた場合に国連憲章違反だと異議を唱えることができただろうか、と質問しました。ところが安倍首相はまったく質問の意味を理解していない答弁を繰り返しました。

 長妻昭さんも分かりやすい議論をすることが大事だとしました、

 維新の党の松野頼久代表につづき、柿沢未途幹事長の質疑では、首相がついに、おそらく意図的に答弁書を長時間朗読し続ける場面があり、議場が騒然としました。


 共産党も志位和夫委員長が質問し、民維共とも党首が登場しました。

 ところで、きょうの衆議院インターネット審議中継に、浜田靖一委員長がボールペンをカチカチする音がずっと入っていて、聞き苦しかったです。昼休みもご覧のようにボールペンをカチカチするのが癖なのでしょうが、自民党が緩んでいる気がします。



 あすも午前9時からNHK入りで審議です。長島昭久さん、後藤祐一さんも登場します。

●民維共同提出の同一労働同一賃金法案が審議入り

【同日 衆議院厚生労働委員会】

 「労働者派遣法改正案」(189閣法43号)の審査が続きました。この後、

  「同一労働同一賃金推進法案」(189衆法22号)が審議入り。民主党・維新の党共同提出です。



  筆頭発議者はおなじみの維新の党の井坂信彦さん。

 趣旨説明では

 「我が国ではバブル経済崩壊後、経済の長期低迷で非正規雇用が多くなっている。現在、役員を除く雇用者の3分の1が非正規で、賃金は正規の6割にとどまっている。景気低迷期には雇用の調整に使われ、キャリアアップの機会が少ない。このような賃金格差が社会の格差の固定につながっている。労働者がその雇用形態にかかわらず、充実した職業生活が営めるようにこの法律案を出しました。雇用形態にかかわらず、職務に応じた賃金を受け取れるようにします」とし、このほか、国の責務、国の実態調査・研究、企業の制度の共通化の推進、派遣労働者の派遣元、派遣先に待遇の規制を強化し、均等待遇を実現するための法律案を1年以内につくる」としています。

 同一賃金同一労働推進法案の全文は次の民主党ニュースで読むことができます。

●サラリーマンよ、これでいいのか!?

【平成27年2015年5月27日(水)参議院本会議】

 「持続可能な医療保険制度のための改正国民健康保険法」(189閣法28号)が投票総数228、賛成146、反対82で成立しました。民共は反対しました。これにより、今年度から3年間にわたり、組合健保の後期高齢者支援料の報酬割が3分の1、3分の2、総報酬割と引き上がるプログラムが法制化されたので、高所得サラリーマンの負担が増します。ただ、成立にいたるプロセスで、サラリーマンの声が届いたという気はしませんでした。長時間労働・短時間インターバルが民主主義の最大の敵かもしれません。市町村国保が都道府県国保になります。年間3000億円の赤字の国保ですが、私はフリーランスなので国保ですし、我が基礎自治体は知らぬ前に広域自治体内有数の高齢化自治体になりましたが、これは広域自治体が運営した公営住宅によるものと考えられるので、なんとも、ごちそう様ですという印象です。

 参本では、これに先立ち、

 「改正金融商品取引法」(189閣法56号)が全会一致で、

 「改正オリパラ特措法」(189閣法15号)が投票総数229、賛成217、反対12の賛成多数で、

 「改正ラグビーワールドカップ特措法」(189閣法16号)が全会一致で成立しました。

【同日 衆議院経済産業委員会】

 「特許法改正案」(189閣法44号)の質疑が行われました。なお、先週の金曜日にすでに趣旨説明がされていましたが、ブログに入れ忘れていたので、先週金曜日付で付記して補足しました。

●18歳19歳選挙権法案が審議入り、各党提出の政規法改正案も

【同日 衆議院政治倫理の確立および公職選挙法改正特別委員会(倫選特)】

 総務大臣の所信や第47回衆院選報告、それに対する質疑がありました。

 この後、合計5法案が審議入りしました。

 全党派が共同提出した「18歳19歳に投票権を与える公職選挙法改正案」(189衆法5号)、民主党提出の「企業献金の例外規定を分かりやすくする政治資金規正法改正案」(189衆法18号)、維新の党提出の「企業献金を禁じる、政治資金規正法改正案」(189衆法3号)、共産党提出の「政党助成法廃止法案」(189衆法1号)、共産党提出の「政治資金規正法改正案」(189衆法17号)。このうち、今国会で、維新の党単独提案、共産党単独提案の議員立法が審議入りするのはこれが初めて。

 あくまでも「18歳19歳に投票権を与える公職選挙法改正案」が最優先になります。

 次に民主党の企業献金の補助金企業例外規定の整理の法案。

 その次に、近く提出される「参院区割り改定の公選法改正案」(近く提出)は参院先議ですが、すぐに審議できるよう交通整理されるでしょう。

 なお、きょうの委員会では、次の5法案は審議入りせず、事実上廃案になるものと見られます。前会から継続審査になっていた維新の党提出の「公選法と区割り審設置法改正案」(188衆法1号)、維新の党提出の「歳費法改正案」(188衆法2号)、同じく維新の党提出の「歳費法改正案」(188衆法3号)、維新の党が今国会に提出した「歳費法改正案」(189衆法2号)の5本は議題になりませんでした。維新の党創業者の橋下徹さんが「県議の政治活動費不正事件」を「国会議員の文書交通滞在費廃止論争」へと論理のすりかえをしたのですが、統一地方選が終わり、橋下さんの政界引退表明により、時代が変わったということでしょう。繰り返しますが、この段落に書いた法律案は議題になりませんでした。


●あれだけ署名運動があった、ダンスホール規制除外法案、閣法として審議入り後はあっさり可決

【同日 衆議院内閣委員会】

 「ダンスホール規制を外し、他の店の規制を強化する風俗営業法改正案」(189閣法26号)が可決しました。あれだけ提出まで時間がかかったのに、審議入りしたらあっと言う間です。これについて、共産党の池内沙織さんの反対討論にはかなり賛同できるところがありました。「ダンスホール除外はいいが、その署名運動を逆手にとって、警察庁が(ダンスホール以外の風営法規制を強化して)自らの権力を強化するやり方を断罪したい」。

【同日 衆議院法務委員会】

 「刑事訴訟法改正案」(189閣法42号)の与党審議が行われました。次回は未定。

【同日 衆議院農林水産委員会】

 「農協法改正案」(189閣法71号)と「その民主党対案」(189衆法21号)の参考人質疑が、午前の部、午後の部2本立てで行われました。

【同日 衆議院地方創生に関する特別委員会】


 「第5次地方分権一括法案」(189閣法51号)、「地域再生法改正案」(189閣法53号)、「特区法改正案」(189閣法65号)の審査が続きました。参考人質疑の日程が決まったので、採決はもうしばらく先になりそうです。「外国人の家事従業者の入国を簡単にする特区」について、論点が集まりつつあり、ここも注目です。

【同日 衆議院文部科学委員会】

 「小中一貫教育学校を実現する学校教育法改正案」(189閣法49号)の参考人質疑などで審議を深めました。

【同日 参議院政府開発援助などに関する特別委員会】

 一般質疑がありました。

【同日 参議院国民経済・外交に関する調査会】

 柳田稔会長が参考人からの意見聴取などの議事をすすめました。

【同日 参議院憲法審査会】

 今後の運営について、議員同士の議論がありました。

【同日 法律公布】

 前日、東京都慰霊堂を訪れた天皇陛下。3つの法律を公布されました。

 「文部科学省独立行政法人改革法」(平成27年5月27日法律27号、189閣法39号)で、来年4月1日施行。

 「LRTなど地域公共交通官民ファンド法」(平成27年5月27日法律28号、189閣法19号)で、公布の日から3か月以内の政令で定める日に施行。

 「商工中金完全民営化先送り法」(平成27年5月27日法律29号、189閣法17号)はただちに施行されました。

以上

(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 2007-2015

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