維新の党の代表に松野頼久さんが就任しました。任期は、自民党総裁とおなじ、ことし9月末まで。これで、衆議院の本会議・第1委員室で質問できる「五大政党」(自公民維共)のうち、3党首が新進党出身者(松野さんは総理経験者秘書・党職員の立場で参画)となりました。松野ファミリーの党首就任もこれがはじめて。おとといの東京都足立区議会議員選挙で、10候補だけ落選する大選挙区で、公明党現職が落選しました。戦争立法(平和安全法制)の影響があったことは確実。公明党の山口代表はこのチャンスをいかせるのでしょうか。
戦争立法が始まってから、ツイキャスラジオでも、フェイストゥーフェイスでも最後に必ず言われるのが「この間にも重大法案がありますよね」ということでそこに配慮して、ブログを書いていきます。
【平成27年2015年5月19日(火)衆議院本会議】
「我が国および国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」(45人)の設置が、自公の賛成多数で決まりました。
ただし、午後5時現在、特別委が開かれておらず、委員長の互選がずれ込んでいます。
本会議では、
「改正独立行政法人国立大学法人・学位授与機構法」(189閣法39号)が自公民維の賛成多数で可決。参議院先議なので、成立しました。来年4月施行。国立大学に関する独法を合併させる法律です。学位というのは、「規制」ですから、需要と供給をしっかり見極めて、ある一定の付加価値を保ち、国費を投じて、厚い環境によりある一定以上の学力を持つ学生に限って国立大学で学び、学位を取れるように整備することは、「国家」の存立基盤といえます。
これに先立ち、
「裁判員法改正案」(189閣法41号)が、修正議決しました。委員会では共産党の修正案が否決され、自公民維提出の修正案が全会一致(共含む)で採用され、政府原案が自公民維の賛成(共反対)で可決していました。 なお、金曜付エントリー記事で委員会採決のもようが漏れていましたので、追記し、補いました。
「JR九州株式を売却するJR法改正案」(189閣法25号)が自公民維の賛成多数で可決し、参議院に送られました。
「金融商品取引法改正案」(189閣法56号)は全会一致で可決し、参議院に送られました。
この後、
「刑事訴訟法改正案」(189閣法42号)が上川法相から趣旨説明され、代表質問が行われました。
「村木法案」 と呼ぶと村木さんは嫌がるでしょうが、例えば、石川知裕さんが立件された、検察独自事件や、裁判員裁判対象事件で、「可視化」する法案。刑事事件全体では3%にとどまるようです。この法案には、通信傍受の拡大や、司法取引の創設なども入っています。共産党の清水忠史さんは「我が党の緒方靖夫国際部長(のちに参議院議員になり、引退)の盗聴事件について」経緯を問いただし、通信傍受の改正に疑問点を示しました。冒頭に触れたように、戦争立法の陰で、このような重大な法案も審査されます。各委員会の議員の奮闘や、興味のある人が報道に流されず、主体的に情報を取り、早めに自ら意見を発信することが、例年以上に求められる、梅雨時の終盤国会となります。
【同日 衆議院農林水産委員会】
6分遅れで開議し、一般質疑が行われましたが、なんと途中で、「与党議員がJA全中主催のTPP反対集会に出席するから」という理由で休憩になりました。これには、野党側筆頭理事の民主党の玉木雄一郎さんが反発し、「呼ばれていない」とし、与党やJA全中の姿勢を批判しました。おそらくきょうは農協法改正案の審議入りが争点だったと考えられますが、与党自民党自ら遅らせたことになり、会期末にかけてさざ波が立ちました。
なお、一般質疑の中で、林農相によると、労働金庫法では政治的中立条項があるものの、それ以外の金融機関の設置法には政治的中立条項がないという趣旨の答弁をして、驚いてしまいました。
この後、政府案の「農協法・農地法・農業委員会法改正案」(189閣法71号)が午後6時過ぎに審議入りしました。
一方、民主党対案である「農協法改正案」(189衆法21号)も趣旨説明されました。本会議では玉木筆頭理事が趣旨説明しましたが、委員会では、小山展弘さんが趣旨説明しました。
[画像]民主党対案を趣旨説明する、小山展弘さん、2015年5月19日、衆議院農林水産委員会、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。
小山さんの法案趣旨説明は2009年の初当選以来、これが初めて。「真に地域のためになる農協をめざす」としました。昨年に続き、自民党、民主党両案が同時に審議されることになります。
【同日 衆議院総務委員会】
金曜日の本会議で趣旨説明と代表質問がされた、官民ファンド「海外通信・放送・郵便事業支援機構法案」(189閣法27号)が審議入りしました。
【同日 参議院国土交通委員会】
「LRT地域公共交通の官民ファンド法案」(189閣法19号)が共の反対、自公民維社の賛成多数で可決しました。次の本会議で成立。
【同日 参議院経済産業委員会】
「商工中金の完全民営化を先送りする法案」(189閣法17号)が、共産党と日本を元気にする会の反対、自公民維の賛成多数で可決しました。共産党は「商工中金は必要だ」、日本を元気にする会は「(完全民営化の)期限を明記すべきだ」とまったく逆の方向から、法案に反対しました。次の本会議で成立。公布日に施行。
【同日 参議院農林水産委員会】
「農林水産省設置法改正案」(189閣法24号)が審議入りしました。
【同日 参議院文教科学委員会】
「東京オリンピック・パラリンピック特別措置法改正案」(189閣法15号)と「ラグビーワールドカップ特別措置法改正案」(189閣法16号)が審議入りしました。
【同日 参議院内閣委員会】
上記、「オリ・パラ法案」について、内閣委員会・文教科学委員会連合審査会を開くことを決めました。日時は後日決定します。衆議院段階ではこのプロセスはありませんでした。
【同日 参議院外交防衛委員会】
「水銀に関する水俣条約の承認を求める件」(189条約4号)が審議入りしました。
【同日 衆議院環境委員会】
「水銀による環境汚染防止法案」(189閣法36号)、「大気汚染防止法改正案」(189閣法37号)の参考人質疑がありました。
【同日 衆議院地方創生に関する特別委員会】
「第5次地方分権一括法案」(189閣法51号)、
「地域再生法改正法案」(189閣法53号)、
「特区法改正案」(189閣法65号)が審査されました。
【同日 衆議院科学技術・イノベーション推進特別委員会】
山口俊一科技相に対する一般質疑がありました。民主党の長島昭久さんは、技術のデュアルユース(軍民共用)について質問しました。民主党政権で、科技担当の政府官をした議員が、民主党の第1次与党期における、川内博史・特別委員長が、与党でありながら、福島原発事故に対して、政府に厳しく情報提供を迫ったことを同じ党内とはいえ、国会審議のなかでたたえました。川内さんにとっては、後輩の松野さんがきょう党首になるなか、本人の民主党暫定総支部長任期は今月末に切れますが、反省すべきは反省しながら、心をまっすぐに持ち続けてほしいです。
【同日 参議院財政金融委員会】
一般質疑、とくに過去に税金投入を受けた金融機関の経営状況に関する報告とそれに対する質疑がありました。
【同日 参議院厚生労働委員会】
「持続可能な国民健康保険法改正案」(189閣法28号)が審査されました。
サラリーマンの後期高齢者支援料の、3年後の全面総報酬割りについて問われた塩崎厚労相は「負担は上がるが、被用者側にご理解をいただきたい」と語りました。まあ、サラリーマン自身も、経団連も、連合も怒っているように聞きませんので、このまま成案となるんでしょう。
以上
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