【平成28年2016年2月3日 衆議院予算委員会】
召集31日目。平成28年度2016年度本予算案の基本的質疑が始まりました。
野党は極めて低調な出だしとなりました。1年前は、西川農相が辞任しておらず、いらいらした安倍首相(自民党総裁)が「日教組どうすんだよ、日教組」という意味不明な野次を飛ばしたことがマスコミで話題になりました。1年後、与党トップバッターの稲田政調会長が自ら言及した通り、甘利明大臣が既に辞任。安倍首相自ら「多士済々の自民党」と語る、石原大臣が踏み込みながら手堅い答弁を続けました。前年の民主党は黄川田徹さんが東日本大震災復興について質問しましたが、今回は復興や原発に関する質問はありませんでした。
民主党の岡田克也代表の質問に対して、安倍首相は「週刊誌に書かれたようなことがTPPに影響はない」と予算の執行機関である大臣の資質について無責任な答弁をしました。岡田さんは「もっと危機感を持ってほしい。TPPは5品目をのぞいてほとんどの関税が撤廃されるのだから、農家にとっては死活問題だ」と語りました。
給付つき税額控除は麻生財務相が「メリットもデメリットもある」と語り、軽減税率の方が良いとしました。岡田さんが「保育の質向上の財源不足0・4兆円と、軽減税率の財源不足0・6兆円のどちらを優先的するのか」との問いに塩崎厚労相は「どちらとも言えない」と語りました。この後、平和安全法制における内閣法制局の文書作成体制について、「公文書管理法違反だ」と岡田代表は指摘しました。
大西健介さんに続いて、玉木雄一郎さんが質疑を求めると、竹下亘予算委員長は「この際、玉木雄一郎君から関連質疑の申し出があります。岡田克也君の持ち時間の範囲内でこれを許します」と話しました。この中で、日本銀行金融政策決定会合の発表の15分前にマイナス金利が日本経済新聞電子版で報じられた経緯について、日銀が調査していることが明らかになりました。
●辻元役員室長の記者会見30分制限発言が影響か、召集1か月の朝日、毎日の「民主党」報道が激減、産経は激増ーー
「民主党」を見出しにとった報道で変化が出ています。
昨年の第189回通常国会の召集1カ月間での報道と、ことしの第190回通常国会の召集1カ月間での報道を比べてみました。
昨年の序盤国会1カ月間(2015年1月26日から2月25日まで)に「民主党」をタイトルに入れた記事は、多い順に、
毎日新聞が20件、朝日新聞が9件、読売新聞が7件、共同通信が5件、産経新聞が2件、NHKが1件
でした。今年の序盤国会1カ月間(2016年1月4日から2月3日まで)では、
毎日新聞が14件、朝日新聞が4件、読売新聞が9件、共同通信が4件、産経新聞が12件、NHKが9件
となっています。朝日が半減、毎日が3割減の一方、産経が6倍増となっています。
このように民主党の記事を書いていたメディアの報道量が減った理由として、召集2日目の、1月5日の辻元民主党役員室長の記者会見30分制限発言が影響しているとの見方があります。辻元役員室長は、今年冒頭の記者会見で、「会見の進め方なのですが、今年から30分めどで、もちろん大事な問題があればいろいろお答えしていきたいと思うのですが、「めど」ということでスケジューリングさせていただいて、コンパクトに、意味のある、有意義な会見にしてまいりたいと思っております」と、根回しなく発言しました。
閉会後に参議院通常選挙を控えながらも対決法案がない通常国会の召集2日目に、記者会見での発信の機会を自ら制限する野党がかつてあったでしょうか。私は18年前の通常国会で、尊敬する中野寛成・新党友愛代表の記者会見に出ていましたが、毎日新聞記者の「橋本2兆円減税構想をどう思うか」の問いに、中野代表が「2兆円では景気刺激策にならない。10兆円ぐらいやらないと意味がない」との答えに、毎日記者の「10兆円の税目は何か」とのさら問いに、中野代表が「そういうことではなくて、10兆円ぐらいのインパクトが必要だという意味だ」との答えに顔を見合わせてしまったことがあります。政調会長経験が長く、NHK日曜討論の常連の中野代表が政策に疎いわけが無く、現にその10年後の民主党第1次与党期では、税制調査会では、まさに余人をもって代えがたい存在となりました。
このように野党の党首記者会見で政策の問答ができるのは、岡田克也さんしかいません。それ以外では、野党の党首の記者会見は、国対と選対だけに決まっています。これの発言については、辻元役員室長の一存での発言だと周辺は話しています。辻元役員室長は軽挙妄動な認識を改めて、反省してほしい。
【同日 参議院】
審議はありませんでした。
【同日 法律公布】
「改正公職選挙法」(平成28年2月3日法律8号)が公布されました。6月19日施行。第190衆法2号として、全会一致で成立。
このエントリー記事の本文は以上です。
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