【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

立憲、展望無いまま最終盤国会へ、参でTPP11条約・法案審議り、衆では1か月半たなざたしだった参議院先議HACCP審議入り

2018年06月01日 23時53分25秒 | 第196回通常国会(2018年1月召集)働き方 カジノ

[写真]国会議事堂、きょねん2017年5月、宮崎信行撮影。

 一応、タイトルに「立憲、展望無し」と書いてみましたが、最大野党ですから、健闘してほしいところです。自治労・日教組の応援を受けて、抵抗野党として院外闘争をやればいいと思います。TPP11国内法案が参議院で審議入りし、カジノが衆議院で大詰めを迎えて、「内閣委員会マター」が残り2週半の争点として、組み立てなおすことになりそうです。

【参議院本会議 平成30年2018年6月1日(金)】

 「TPP11国内実施法案」(196閣法62号)と「TPP11条約承認案」(196条約11号)が、各々、審議入り。両案とも、茂木敏充大臣が答弁しました。

 但し、何度も言っていますが、TPP11の法案は、TPP12条約の国内実施法の施行日を前倒すだけの内容です。ISDS条項などルール分野が凍結されているのに、国内実施が前倒されることは、私も釈然としていません。私が自由貿易論者だから言うのでしょうが、自由貿易で新自由主義的に我が国の経済が破壊されるというのはまったくの筋違いであり、「陰謀論」に近いものです。例えば、世界でモンサントは年1・4兆円の売上高を挙げていますが、日本国内でもサカタのタネ、タキイ種苗、カネコ種苗の3大メーカーだけで総額2000億円近くになります。そもそも、種子は年1回しか売れないから稼ぎにならない。だから、モンサントは農薬とセットにするのでしょう。なので、陰謀論者は、経営面でもややセンスを疑う主張が紛れていることがあります。参議院の抵抗野党が、自由貿易の弊害を煽っても、それは、情報弱者(情弱)を煽っているだけの構図に見えなくもありません。

 採決。

 「改正独立行政法人郵便貯金・簡易年金保険管理機構法」(196衆法24号)は、投票総数227、賛成227、反対0の全会一致で可決し、成立しました。2001年以降の小泉純一郎自民党による行き過ぎた規制緩和を少しずつ手直しする動きが与野党の議員立法として、顕在化し、与野党から野田聖子大臣の長年の主張に賛同が広がったように思います。郵便配達が黒字になるわけがなく、金融事業の黒字を流してユニバーサルサービスを実現するのが、本来の資本主義経済のあり方だと思います。東宝が不動産事業に特化していたら、副業の映画事業でも大復活して大独走になっている「東宝商法」の現状をもっと研究したらいいと思います。

 「生活保護法、生活困窮者自立支援法、児童扶養手当法を改正する法律」(196閣法20号)は投票総数228、賛成207、反対21の賛成多数で可決し、成立しました。児童扶養手当が年6回支給になるのが主。2月9日の提出から100日以上経過しての成立となりました。10月施行。

 「地方分権第8次一括法案」(196閣法54号参先議)は、投票総数227、賛成210、反対17で可決し、衆議院に送られました。

 「文化財保護法及び地方教育行政組織法を改正する法律」(196閣法35号)は、投票総数228、賛成214、反対14で可決し、成立しました。来年4月施行。統一地方選以降に改選を迎える首長さんは、この改正法律で、市教委のつくる地域学習用の文化財パンフレットを、市長部局の商業サービス観光課のパンフレットと統合して、行革を実現したとアピールすることも可能になりそうです。

 「改正土地改良法」(196閣法50号)は、投票総数229、賛成229、反対0の全会一致で可決し、成立しました。4月施行。前日の委員会では、委員長が不在の理由が説明されましたが、きょうは説明なく、与党理事が報告し、審議が終わりました。

●対決法案が通過した衆議院では4月中旬からたなざらしされてきた参先議法案が続々と審議入り。

【衆議院厚生労働委員会 同日】

 「HACCP(ハサップ)を法制化する食品衛生法改正案」(196閣法61号参先議)が審議入りしました。先議の参議院からは4月13日に送られてきていました。

【衆議院文部科学委員会 同日】

 「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律案」(196参法7号)が、公明党の山本博司さんから説明されました。全会一致で可決しました。

 松沢成文さんが説明した「国際文化交流の祭典の実施の推進に関する法律案」(196参法8号)は共反対、自公立国維の賛成多数で可決しました。

 ともに、4月18日に参議院から送られてきていました。次の衆・本で可決し、成立。

【衆議院内閣委員会 同日】

 「IRカジノ実施法案」(196閣法64号)

 首相入り質疑も含めた質疑がありました。自由党の玉城デニー幹事長は、少数会派にも多い時間を配分されていることに感謝しながらも、本則だけでも251条もある新法の法案なので、時間をかけて審議してほしいと語りました。

 自民党からは、元みんなの党神奈川県連の議員が賛成の立場から質疑。野党からは、元みんなの党神奈川県連の江田憲司さんが、特命での現地視察の経験もふまえて、絶対反対の立場から質疑しました。

 私はどちらかと言えば賛成だし、世論もあまり盛り上がっていないように感じますが、賛否がはっきり分かれる法案なので、審議時間は必要だと思います。

【衆議院外務委員会 同日】

 今国会最後の議案になる「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書の改正の承認案」(196条約3号)が河野太郎外相から趣旨説明されました。岡田克也さんから、外遊予定を理事会に明かすのが遅いと指摘された、河野外相ですが、きょうは参議院本会議場でのTPPの答弁を終えてから、かなり遅刻して、委員会に登場しました。

【衆議院法務委員会 同日】

 一般質疑。

【参議院沖縄及び北方問題に関する特別委員会 同日】

 大臣所信に対する一般質疑がありました。

このエントリーの本文記事は以上です。

(C)2018年、宮崎信行。

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