[写真]かつて民主党本部があった、永田町1丁目11番の住所表示板、宮崎信行撮影。
【両院・国家基本政策委員会 平成30年2018年6月27日(水)】
党首討論。今国会2度目の開催で、前回は立憲に2分、国民に1分、時間を貸した岡田克也代表も登場しました。参議院第一委員会室で開催。立憲入りした鉢呂吉雄さんが会長。鉢呂さんは冒頭「前回の党首討論の後、両院の幹事(理事)から、首相も野党党首も、それぞれ、発言は簡潔すべきだとの意見が出た」としました。立憲の枝野代表は、森友・加計問題などを追求しましたが、途中で立憲の立ち位置を長時間演説し、安倍晋三首相(自民党総裁)から「党首討論は歴史的使命を終えた」と語りました。参議院議員である大塚耕平さんは「外国人労働者の問題」「私が日銀勤務時代にあった、財革法(橋本内閣が提出し小渕内閣が廃止した財政構造改革法)をやりたい」と語りましたが、安倍首相は自分の過去の答弁を国会議事録からひもとくとして長時間朗読し、時間を空費しました。志位和夫委員長は、もり・かけをきっちり追及。参議院議員である、維新の片山虎之助代表は「幹事会でも、委員会でも言わないようにしようと思っていたが、党首討論の方法を改革しないといけない」としました。
この後、岡田克也代表が登場。昨年来の官僚による公文書改竄・虚偽答弁は、首相を守ろうとしてやっていると語りました。安倍首相は官僚を切り捨てながら、自らの正当性を示そうと、過去の議事録を朗読。もう秘書官もそのくらいしか準備してのぞんでいない印象でした。鉢呂会長は安倍首相に時間切れだと再三再四指摘。岡田さんはもう一度発言を求めると、さすがに鉢呂会長はゆるしました。岡田さんは「良心の呵責を感じないのか」と総理に迫りましたが、総理は終わった後、「岡田さん、ルールは守りましょうよ」と語るシーンがテレビ中継されました。
岡田克也さんは、あす、28日(木)午後6時半から早稲田大学大隈講堂(大講堂)で、学生サークル「早稲田大学鵬志会」主催の講演会があります。
過去の議事録には出てきませんが、安倍さんは第1次内閣のときに、民主党次の内閣を、「NC(エヌシー)」と呼んで答弁していました。英国と違って、先例・規則・予算・会議場の位置づけがない日本の、最大野党の、次の内閣を、NCと呼んで土俵に引き寄せたのは安倍首相でした。しかし、下野後には、NCとは呼びません。そもそも、野党分裂でNCは現実的でない。また、衆参が入り混じったNCは、顔をそろえることがありませんから、現実的にリアル政権のイメージをわかせることができません。
ちなみに、私はきょう、街で、次のポスターを見ました。これは、私も法人として参加している警視庁の協力団体の会長さんのビルの前。ポスター3枚張ってあって、すべて防衛省・自衛隊の支分部局のポスターでした。この中には、女性の人材派遣会社の営業ラウンダーの人が、年間5日間の(限定)で、予備自衛官に早変わり、ということで、自衛官・予備自衛官・即応予備自衛官を募集していました。
[写真]防衛省自衛隊の地方支分部局のポスター、2018年6月、筆者・宮崎信行撮影。
2015年改革労働者派遣法、2015年ガイドライン安保法で、合法的に、中低所得の女性を引き込もうとしているように思えます。前日、高校卒業とともに、2015年4月に自衛官となり(9月平和安保法制成立)、退職し、予備自衛官となり、今年4月からは即応予備自営官となっていた若者が、富山県警の警察官から拳銃を奪い、警察官と、警備員を殺害し、自らも重体という事件が起きました。
安倍さんの言う通り、改悪労働者派遣法・安保法も、「悪法も法」ですから、ルールを守っているし、異次元の金融緩和による「この道しかない経済政策」、野党の分裂による組織的な政権担当能力のある野党の壊滅で、歴史的な使命を終えたのは間違いないだろうと私も思うところです。さはさりながら、私は楽観的ではあります。
【衆議院厚生労働委員会 同日】
延長国会5営業日で、衆議院も審議復帰。「水道法改正案」(196閣法48号)が3月9日(金)の提出から、100日前後経って、初めて委員会で審議されました。きょうは趣旨説明のみで散会しました。
延長国会で、水道法が審議入りしそうなので、全国の自治体の水道事業会計や下水道事業会計をよく見ました。水道というものは、24時間365日間つながっていて、蛇口を開けば水が出る、経常的な売り上げが期待できますが、外資が参入して、しばらくして、料金を2倍にしても、さほど利益は出ないのではないか。まず、会計で見ると、トイレの水洗化など下水道の敷設の費用はいまだに、重く残っています。上水道に関しては、地方部でも現在はやれていますが、今後の更新の費用が少ないのは事実。そもそも、水道事業は、水道料金収入の独立採算制に頼り過ぎていやしないか。もっと、国または市町村の一般会計から税金を投入してきてもよかった分野なのではないかと感じました。奈良市などは別勘定の地域があったり、神奈川県庁は「同県箱根地区」だけ限定で県営だったり、いろいろと地域の特色があるのが、上水道・下水道だということが分かりました。「切り捨て法案」であることは間違いないですが、外資に売り払うということではないのではないか。持続可能性のためには、ごく一部の行き詰った自治体には、国の一般財源を直接投入できるようなスキームも含めた議論が必要に感じました。
【参議院本会議 同日】
「加藤勝信厚生労働大臣問責決議(案)」は、投票総数234、賛成69、反対165で否決されました。「前年同期比」というものさしでいけば、まあ、ずいぶん野党的勢力の議席も減ったのだな、と実感。討論では、「本来の会期なら既に廃案。延長したのだから長時間審議をしよう」との演説がありました。
[画像]加藤勝信厚生労働大臣問責決議(案)で投票を終えた共産党参議院議員ら、2018年6月27日、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。
「平成28年度決算(案)」。二之湯智委員長が登壇し、報告などをしました。
まず、採決は、「決算そのもの」は、投票総数235、賛成151、反対84で是認されました。
「政府に対する警告決議」は、投票総数235、賛成232、反対3で是認されました。例年は全会一致ですが、希望の党の3人が反対しました。
「国有財産増減・現在額総計算書」は、投票総数234、賛成151、反対83で是認。
「国有財産無償貸し付け状況計算書」は、投票総数235、賛成171、反対64で是認。
中身は、警告決議については、防衛省の南スーダンPKO日報問題などについて盛り込まれました。また、会計検査院がんばれという趣旨の決議も。私としては一納税者として、参議院決算委員会というものが会計検査院と「談合」するのは困りますが、とはいえ、検査院の強化とホワイト化は必須。委員長報告に対する野党議員の討論では「財政ファイナンスだから反対」「中期防による再軍備の動きにくぎを刺す」といった意見が演説されました。
この後、浜野喜文・経済産業委員長が報告。「オゾン層保護法を改正してモントリオール議定書の改定を国内実施する法律」(196閣法41号)が、採決されました。その結果、投票総数233、賛成233、反対0の全会一致で可決し、成立しました。法律の中身は、温室効果のフロンガスとのたたかいの中で、「代替フロン」が考案されましたが、この、代替フロンも今後は規制する法律の縛りとなっています。
参議院も「カジノ」「たばこ」という法案が来ていますが、なかなか、イメージで煽って感情的に参議院への関心を集める、ということは、2018年国会ではなかなか難しいかもしれません。平成が終わります。
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(C)2018年、宮崎信行。
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Miyazaki Nobuyuki