残り2週間となりましたが、世論の盛り上がりは欠ける展開。「民法18歳成年」「PFI」などが審議されました。
【衆議院本会議 平成30年2018年6月7日(木)】
まず、日程第五として、食品工場の衛生管理の国際規格ハサップ「HACCP」を法制化する法律が成立しました。私、この一連の動きでやや勘違いを含む書き方をしていたきらいがありますが、HACCPの認証作業を、国がやるのではなく、HACCPの基準を、全工場に義務付ける動きです。なので、一部では大変な動きがあるかも。私は経済記者として、HACCPを取り入れて市内の別の工業団地に、大規模な借り入れで工場移転。大手スーパーへの供給を一手に引き受けながらも、突然の放射能検査義務付けで倒産してしまった会社をしっています。信用情報会社も「気の毒だ」というニュアンスが含まれた倒産速報を書いていました。また、今グーグルアースで見ると、そこには「関西製菓関東工場」というような趣旨の看板が立っており、資金繰りで倒産した工場に居ぬきで、関西製菓関東支店とは、また、十数年前までありがちだった商慣行をみた思いです。要するに、資金繰りなどが追加で必要になる会社があれば、経営判断が求められるかもしれません。
本会議のはじめ、日程第一に巻き戻して書きます。
参議院先議の
「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律」(196参法7号)は、全会一致で可決し、成立しました。
「国際文化交流の祭典の実施推進法」(196参法8号)は、共反対、自公立などの賛成多数で可決し成立しました。この2つは、4月18日に参議院を通過し、6月1日に衆議院で審議入りしていました。
「オゾン層破壊物質に関するモントリオール議定書の改正の承認案」(196条約3号)は、全会一致で承認し、参議院に送りました。
「オゾン層保護法を改正するモントリオール議定書の改正の国内実施法案」(196閣法41号)も、全会一致で可決し、参議院に送りました。
「HACCPの全体への拡大義務化を法制化する、改正食品衛生法」(196閣法61号参先議)は、全会一致で可決し、成立しました。2年以内に施行。4月13日に参議院から送られ、6月1日から衆議院で審議入りしていました。例年以上に、参議院先議の議案の衆議院での審議入りが遅れています。ある一定の時期に、与党内で参議院国体から衆議院国体に圧力がかかったかもしれません。
【衆議院農林水産委員会 同日】
「生産緑地など都市農地の貸借円滑化法案」(196閣法43号参先議)が趣旨説明されました。
【参議院厚生労働委員会 同日】
「パワーハラスメント防止法案」(196参法9号)が審議入りし、立憲民主党の石橋通宏さんが趣旨説明しました。この法案は、4月27日に石橋さんが筆頭発議者として提出されていました。労安衛法(労働安全衛生法)を改正してパワハラを防止したり、粘着クレーマー対策をする会社員を保護したりする内容です。
「働き方改革関連法案」(196閣法63号衆修正)と「パワハラ防止法案」(196参法9号)が一括して議題になりました。最後に、6月12日(火)に中央公聴会、13日(水)に地方公聴会を埼玉県で開くことを決めました。13日は本会議の定例日なので、午後にやるのではないかと思います。最終盤国会での重要法案の参議院の地方公聴会は、埼玉県で開くことが増えています。2010年以降、埼玉県のほとんどのところには、参議院議員会館の地下から鉄路で行けるようになっています。
【参議院総務委員会 同日】
「平成25年度NHK決算」「平成26年度NHK決算」「平成27年度NHK決算」「平成28年度NHK決算」を審議しました。
討論では、国民民主党で、自動車総連(日産労連)組織内の磯崎哲司さんが「25年度は、記者の過労死があったけど賛成」「26年度から28年度までは籾井会長だったので反対」という趣旨の発言をしていました。たしかに、新聞・放送業界で機械に挟まれて亡くなる労働災害は寡聞にして聞きませんが、自動車総連とは命の重さについて、少し感覚の違いがあるように感じました。
採決では、25年度NHK決算は、共産党反対、自公立国維の賛成多数で是認。
26年度から28年度までは、立国共反対、自公維賛成多数で是認。
【参議院農林水産委員会 同日】
「農薬取締法改正案」(196閣法50号)が全会一致で可決すべきと決まりました。
これに先立つ質疑では、田名部匡代さんが「最近はいろいろと規制緩和の法案が出てくるので、この法案ももしかして、と思っていろいろ聞いたが、良いところもが多い法案のようだ」として、気になる点を質疑。各会派の質疑も合計2時間で議了しました。
【参議院内閣委員会 同日】
「PFI法改正案」(196閣法18号)は与党質疑だけありました。
自民党の質疑者は「私は市長だ」「私も市長だ」と、市長経験者が連続して質問し、事の本質は、自治体の財政難を、指定管理者を使って歳出削減する一連の流れの延長線だと裏付けられた、感がしました。水道法の成立も見越して、水道事業者の繰り上げ償還の利払いを免除する今次改正法案内の改正項目について、政府参考人は「財投資金が減る中で、先駆的な取り組みをする水道事業者の取り組みを他自治体に横展開する考えで、15億円程度だ」と特例を強調しました。公明党は「きょうは70分間も質問時間をいただいた」と述べ、野党が質疑しない中、与党だけでも質疑時間を積み重ねたい参議院国対の意向が透けて見えました。
【参議院文教科学委員会 同日】
「文部科学省・文化庁設置法改正案」(196閣法26号)。きのうの本会議で審議入りし、きょうの委員会で趣旨説明。質疑終局し、採決まで行きました。共反対、自公立などの賛成多数で可決すべきだ、と決まりました。
【参議院法務委員会 同日】
「民法18歳成年法案」(196閣法55号)で2度目の参考人質疑がありました。
【参議院国土交通委員会 同日】
「船舶シップリサイクルの香港条約の国内実施法案」(196閣法53号)が趣旨説明されました。
●参議院外交防衛委員会はありませんでした。「TPP11承認案」(196条約11号)がありますが、河野太郎外相が日米首脳会談に同行しているから、開かれなかったとみられます。
●参議院財政金融委員会はありませんでした。
●参議院環境委員会はありませんでした。
●衆議院憲法審査会はありませんでした。定例は木曜日で、幹事の間で開催の機運があったようですが、国民投票法改正案(未提出)の審議をめぐって思惑が一致せず、きょうは開催されなかったようです。
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