宮崎信行の「新・夕刊フジ」

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

【意見】第196回通常国会の「会期延長1か月間」を絶対に許すな、「国家戦略特区法改正案」(196閣法57号)と「水道法改正案」(196閣法48号)は審議未了廃案に追い込め

2018年06月18日 21時28分17秒 | 第196回通常国会(2018年1月召集)働き方 カジノ

 第196回通常国会は、与党・衆議院第1会派の自民党の安倍晋三総裁(首相)が二階幹事長に、会期の延長幅のすり合わせを指示。公明党や参議院自民党との意見交換のうえ、あさっての、当初会期末当日に、連立与党党首会談で延長幅を決定する見通しになりました。

 きょうになって、比較的与党に近いとされ、手薄になりがちな参議院にも政治部記者を配置できる、読売新聞とNHKから、「1か月前後の大幅延長」との情報が浮上しました。

 私としては、衆議院本会議に上程中の、「IRカジノ施設整備法実施法案」(196閣法64号)は、さすがに、与党にとって、秋の臨時国会に継続審議(閉会中審査)にしても、何一つ得がありませんから、参議院での審議時間を確保するという思惑については、与党の立場に立てば理解できるところです。

 しかし、「1か月間延長」となると、私が懸念することがあります。

 それは、3月9日(金)の定例閣議で決定した「水道法改正案」(196閣法48号)と、3月13日(火)の定例閣議で決定した「国家戦略特区法改正案」(196閣法57号)が、いまだに衆議院で審議入りしていないのに、延長国会で、衆参で可決・成立してしまうのかもしれないとの懸念です。

 森友「小学校特区」、加計「獣医学部特区」。きょねんの構造改革特区法及び国家戦略特区法を改正する法律は、衆議院本会議に上程後、「本会議での採決の延期動議」で、3本会議採決が延長される異例のはこびとなりました。そして、今国会では、衆議院内閣委員会で審議入りできない状態が続いています。

 今次改正法案には、「自動運転特区」が盛り込まれています。自動車メーカーが、自社の敷地内のテストコースを飛び出して、公道で自動運転ができる特区です。イノベーションは大いに応援したいところですが、道路交通法や、道路運送車両法の特例措置を一部地域で認めるということになります。私は、道路交通法を、一部地域だけ緩和することには反対です。

 もう一つの「水道法改正案」(196閣法48号)。昨年の通常国会でも審議入りできずに、新聞用語でいう「継続審議」、衆議院用語でいう「閉会中審査」、当ブログ用語では「審議未了廃案」となりました。継続した秋の臨時国会では、初日に衆議院解散となりましたので、廃案となりました。そして、ことし3月9日(金)に同じ文面のまま提出されました。

 自治体などの地方公共団体の上水道・下水道事業に、指定管理者の参入を認める法案。私は自治体の、水道事業会計、下水道事業会計予算を見てみました。そこで見えてきたのは、まず、トイレの水洗化など下水道の整備にかかったお金が、いまだに自治体の下水道事業会計を大きく悩ませている。そして、上水道に関しては、一部の自治体では、合併前の自治体の会計を別勘定にしているところもあり、あたかも「自治体内の僻地切り捨てののりしろ」のようにも見えなくもないこと。水道料金頼みで、水道事業会計は国費はあまり多くは投入されていません。発行済みの企業債が大きく財務を下押ししています。指定管理者の可能にする「水道法改正案」ですが、これは外資が参入して儲けるのではなく、指定管理の美名のもとに、上下水道事業を切り捨てる法案だと、私はとらえます。しかし、一部の自治体がかなり追い込まれている実態はあるようです。自治体の水道事業会計の状態に応じて、濃淡をつけた、国費のかさ上げの法律・予算措置をとるべきであって、今次改正法案を成立させることは、ごく一部の自治体で、水道事業を切り捨てることにつながる、ように私には感じられます。

 このような考え方から、私は「国家戦略特区法改正案」(196閣法57号)と「水道法改正案」(196閣法48号)の審議入りに反対したいところです。

 ですから、会期延長は2週間程度にして、1か月間の延長には絶対反対します。

このエントリーの本文記事は以上です。

(C)2018年、宮崎信行。

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参議院決算委員会、アメリカ国防総省からの武器輸入の「FMS調達」で、会計検査院に監査を要求

2018年06月18日 17時49分58秒 | 第196回通常国会(2018年1月召集)働き方 カジノ

 参議院決算委員会(委員長=自民党の二之湯智さん)は、平成30年2018年6月18日(月)の委員会で、アメリカ国防総省から日本防衛省への有償での武器調達である、「FMS調達」の実態について、会計検査院に検査させることを、自民党も含んだ全会一致で議決しました。

 アメリカとの集団的自衛権を行使する、平和安保法制がおととしに成立して以降、攻撃型迎撃ミサイル調達や、F15の後継とされるF35などで、割高で非国産のFMS調達の増額傾向が高まっており、今年2018年年末に閣議決定される「次期・中期防=中期防衛力整備計画」をめぐっては、自民党内で「毎年のGDP比1%」という首相答弁をもとにした目安を、「毎年のGDP比2%」とする案が部会で提示され、防衛族ベテランが削除するなど、増額圧力が高まっています。

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大阪で震度6弱の地震、宮澤解散から25年のきょう参議院選挙区で持ち込みビデオ方式の公職選挙法改正案可決、参議院平成28年度決算締めくくり総括質疑

2018年06月18日 17時44分18秒 | 第196回通常国会(2018年1月召集)働き方 カジノ

 大阪府大阪市北区などで、震度6弱の地震がありました。

 第196回通常国会は、今週で会期末。

 きょうは来夏の参院選選挙区での政見放送で、政党のビデオ持ち込みを解禁する法案が衆議院委員会で可決。参議院では平成28年度決算が締めくくり総括質疑で、当初会期内最後のテレビ入り。

【衆議院政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 平成30年2018年6月18日(月)】

 きょうで、宮澤解散から25年、四半世紀となりました。ミスター政治改革こと、岡田克也さんも委員として出席しました。まあ25年間で、選挙による政権交代がありましたので、当分、のんびりやればいいのではないでしょうか。自民党安定独裁政権のもと、経済の立て直しが急務です。

 「公職選挙法改正案」(196参法16号参先議)が議題となり、共産党の反対、自民党、公明党、立憲、国民民主党、無所属の会、維新の賛成多数で可決すべしと決まりました。あす本会議が開かれれば成立となります。

【参議院決算委員会 同日】

 「平成28年度決算」が採決され、立国共社の反対、自公などの賛成多数で是認されました。あさっての本会議に上程の見通し。「平成28年度国有財産増減及び現在額計算書」「平成28年度国有財産無償貸し付け状況計算書」は立国反対、自公共社の賛成多数で是認されました。共産党は毎年、国立大学法人への国有地無償貸し付けを評価して、賛成しています。学校法人と国有地の問題に関しては、それだけ昔から敏感であるべき問題だと私は共産党の態度表明から前々から感じていました。「政府に対する警告決議」は全会一致で可決されました。

 政府に対する警告決議案では、(1)法務省松山刑務所の開放的な造船刑務所からの脱獄(2)学校法人森友学園に関する会計検査院の検査の財務省の不適切な対応(3)商工中金のずさんな融資ーーなどが自民党も含めて警告されました。

 これに先立つ、質疑は、NHKの第2チャンネル「eテレ」と、NHKFM放送で中継されました。当初会期内最後の国会中継でしょう。

 「平成28年度決算」は順調に審議が進み、締めくくり総括質疑。

 維新の清水貴之さんは、獣医学科の卒業生の進路を示して、人的需給が引き締まっており、定員増が必要ではないかと指摘。文科相と農相が、判断を押し付け合う格好となりました。私の場合は、系列大学に獣医学科があり、理系でそこそこの成績の男女が進学していますが、いずれも獣医師にはなっておらず、文系の社長さんですし、また、動物病院経営者の子は、会社員なので、そこまで人的需給が引き締まっているとは思えません。1年先輩の女性は、まったく地縁がないと思われる関東北部で、開業したようで、一度お目にかかりたいものです。

 松沢成文さんは、先日、東海道新幹線で人命救助で返り血を浴びて亡くなった男性の表彰を首相に要求。てっきりしこんでいるのかと思いきや、首相は一般論を繰り返して、拒みました。男性は、SNSによると、東京大学卒業で、国会議員の友人も多い方だったそうです。

 平山佐知子さんは、子ども子育ての決算に不用額が多いと指摘。松山政司・男女共同参画局担当大臣が、平謝りをするという場面がありました。これなんかは、参議院と弱小官庁との良い関係という感じで、松山大臣は、概算要求と予算執行にがんばってほしいと心底感じました。

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