パソコン版では見えて、スマホ版では見えないのですが、きのうも「1455IP」「10796PV」いただいています。但し、残り9営業日となった、第196回通常国会ですが、盛り上がりに欠けるようです。衆議院では「カジノ」「タバコ」という賛否両論が分かれたまま溝が埋まらなそうな議題になりましたが、結論そのものは変わらないでしょう。やはり、2015年の延長国会で、平和安全法制と労働者派遣法改悪法が成立したことで、「ポイント・オブ・ノーリターン」、歴史の後戻りできない峠を越えてしまったのでしょう。
【衆議院本会議 平成30年2018年6月8日(金)】
上がり法案はありません。安倍晋三首相は日米首脳会談で外遊中ですが、登壇案件の法案の審議入りが1本。
「受動喫煙防止などの健康増進法改正案」(196閣法47号)を加藤勝信厚労相が趣旨説明。野党議員は代表質問で「きょねん、与党がすったもんだの議論ののち、ことしの会期末に野党に審議しろとは国会軽視もはなはだしい」と批判しました。
【衆議院内閣委員会 同日】
「IRカジノ施設実施法案」(196閣法64号)。きょうは2時間強だけ審議されました。
特定貸金事業というものが入っていることに批判が出ていますが、石井啓一・担当大臣の答弁は、責任逃れなものが目立ちました。採決観測もあったことも含めて、野党のテンションは高く、省令・規則委任が多いことの指摘では、野党各党議員がいっせいに拍手し、賛同しました。共産党の塩川鉄也さんが「カジノ事業者がカジノ管理委員会の職員に出向できるのではないか」と指摘し、政府側が認めると、大きな驚きが広がりました。石井大臣が法成立後に「キャラバン」で理解につとめると答弁したことを踏まえて、自由党の玉城デニー幹事長は「公明党の遠山清彦さんから長崎もIRをめざしているという話があった。長崎で地方公聴会をやりましょう。横浜ではやるという声とやらないという声がある。ならば、横浜で地方公聴会をやって、両論を聞いた方が良い。キャラバンよりも、採決前の地方公聴会」と語ると、大きく野党が盛り上がりました。山際大志郎委員長は、きょうの質疑の終わりと、次回は公報で知らせるとだけ語って、散会しました。あさっての新潟県知事選挙で、与党系の前官僚の男性新人候補と、野党系の前県議の女性新人候補の情勢が拮抗していることから、カジノの採決を見送ったとの見立てもあります。
【参議院本会議 同日】
まず、「卸売市場法など改正案」(196閣法40号)の趣旨説明が斎藤健農相からあり、代表質問がありました。
あがり議案の採決。「改正災害救助法」(196閣法65号)は投票総数232、賛成232、反対0の全会一致で可決し、成立しました。来年4月1日施行。今国会で「閣法65号」は閣法として最も遅い議案番号でした。
「改正消費者契約法」(196閣法31号)は投票総数232、賛成232、反対0の全会一致で可決し、成立しました。公布から1年後に施行。
「改正文部科学省・文化庁設置法」(196閣法26号)は投票総数231、賛成217、反対14の賛成多数で可決し、成立しました。今年10月1日の文化庁の京都移転日に施行。
「改正農薬取締法」(196閣法50号)が投票総数232、賛成232、反対0の全会一致で可決し、成立しました。
続いて、平成25年度から28年度までのNHK決算の承認がありました。25年度は投票総数232、賛成218、反対14の賛成多数で承認すべしと決まりました。衆議院はまだ審議されていません。26年度から28年度までは「籾井会長だったから」という理由で反対に回る会派が増え、投票総数232、賛成164、反対68となり、賛成多数で承認されました。
なおたまたまNHKの話なので、この段落に書きますが、昨日のNHKニュースで、南海トラフ地震があると20年間でおびただしい経済被害がありその総額は一般会計予算の「14倍」だという表現がありました。予算というのは回転ですから、例えば、公務員の年間所得にも所得税はかかり、その年度と次年度の歳入となります。ですからストックとして金額とフローである金額を比べて「倍」というのは不適切に思え、私は「予算14年分という巨額」とすべきだと考えますので、けさ、NHKふれあいセンターに電話して、意見を述べました。
国会では、この後、3つの調査会の中間報告がありました。国際経済・外交に関する調査会は、理事が中間報告。国民生活・経済に関する調査会は、増子輝彦会長が「ひきこもり支援の中間就労制度が必要だ」などと中間報告しました。資源エネルギーに関する調査会は、鶴保庸介会長が中間報告しました。
【衆議院地方創生に関する特別委員会 同日】
「地方分権第8次一括法案」(196閣法54号参先議)が趣旨説明されました。今国会は、梶山弘志大臣が答弁する法案が多くなっています。この法案は参議院先議ですが、先日の参議院可決の翌朝の日経新聞に成立したとするベタ記事が載りました。明らかな間違いですが、べた記事でも気づいた人がいるということで、書いた記者は喜んで取材を続けてほしいものです。審議は次回。
【衆議院環境委員会 同日】
「海岸漂着物処理推進法改正案」(196衆法 号)が起草されました。趣旨説明は、元環境副大臣で親も環境庁長官だった、自民党の北川知克さん。「法施行から9年経った」とし、漂流ごみの定義規定や、微細な廃プラスティックである「微細プラスティック」の規定を盛り込む、などと説明しました。質疑の後、採決。全会一致で起草すべしとなりました。次回の本会議に上程へ。
【衆議院法務委員会 同日】
「民法総続編を改正して配偶者居住権を設ける法案」(196閣法58号)と「法務局における遺言書の保管に関する法律案」(196閣法59号)の質疑が続きました。次回の13日(水)9時30分から参考人質疑をすることも議決しました。最終盤に審議入りした隠れた重要法案で、与党国対は今国会での成立をめざすのか、衆議院に留め置いて(閉会中審査処理)秋の臨時国会で成立をめざすのか。よく分かりませんが、ある程度の延長になれば、答弁が安定している上川陽子大臣がつとめる今国会での成立をはかると思われます。審議の中では、野党の1期生が、改め文の中の「共有財産」の定義について聞いていましたが、もともと民法の基本的な用語の話です。どんな社会でもルーキーの質問にはやさしくあるべきだと思うとともに、比例で初当選とはいえ、前職よりも新人が新鮮だという気持ちで国政選挙に臨んでいると、現場では経緯をよく知らない政治家が質問するという弊害もあると思います。きょうの議員は好感が持てました。
【衆議院厚生労働委員会 同日】
まずは一般質疑から。
今週は5歳の女の子が、20歳年上の母と、母と再婚した父親から虐待死させられた事件がありました。世論となっていますが、私は過去にも繰り返した事案だと思うのですが、一人の人生のライフステージが違いますから、定期的に関心を呼ぶことになります。
最後に、きょうの本会議で審議入りしたばかりの「健康増進法改正案」(196閣法47号)が即日付託され、加藤勝信・厚生労働大臣が説明しました。
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Miyazaki Nobuyuki