宮崎信行の「新・夕刊フジ」

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

参議院委員会で「TPP条約」「PFI法改正案」「民法18歳成年法案」が可決し、あす成立

2018年06月12日 16時09分04秒 | 第196回通常国会(2018年1月召集)働き方 カジノ

 歴史的な米朝首脳会談の裏で、参議院の委員会では、TPP条約、PFI法改正案、民法18歳成年法案が可決。あす成立のはこびとなりました。第196回通常国会の、参議院委員会定例日はきょうを入れて残り3回でしたから、別に陰謀というわけではありません。自由貿易や新自由主義的な色彩を帯びた議案ですが、あまり参議院議員のもとに懸念は寄せられていなかったようにも感じます。

【参議院法務委員会 平成30年2018年6月12日(火)】

 「民法18歳成年法案」(196閣法55号)が可決しました。

 経過としては、最後の質疑者に対して、上川陽子法相が「明治9年の太政官布告以来の大改正。きょうが最後の議論ではなく、2022年4月1日の施行日までの4年間、大人とはなにか?という基本的な問いかけをしていきたい」と締めの答弁。どんなに長い審議でも、採決を見越した答弁というのは大臣はしないものなのですが、「自民党・こころ」衆参単独過半数の余裕でしょうか。

 ところが採決には、共産党の仁比聡平さんが反対の発言をしました。このため、委員長が質疑終局をはかりました。共産党の反対、自公立などの賛成多数で質疑終局。ここで、討論には立憲の小川敏夫さんが登場し、反対。国民、共産、沖縄の風も反対しました。法案の採決では、立憲、国民、共産、沖縄の風の反対、自公などの賛成多数で可決すべしと決まりました。この後、附帯決議は立憲の議員が朗読。

 つまり、立憲は、質疑終局に賛成、法案に反対、附帯決議に賛成。1年前、小川敏夫・最大野党参議院議員会長は、この時期に「当初会期の延長」に言及。私も含めた野党的国民としては、その場合は、ひたすら衆議院解散を願うしか術がないのですが、10月の解散後は、立憲と希望の党が選挙後に合併するという趣旨の発信をし、枝野幸男代表に否定されました。小川敏夫さんは立派な議員だと思いますが、こと、参議院議員としての政局センスはハチャメチャと言わざるを得ないでしょう。

 一方、「ハラスメント」「ジェンダー」とは一線を画して、仕事をこなす上川大臣ですが、「18歳成人はわが国としてパラダイムシフトを行う絶好の機会だ」と語りましたが、成人年齢が20歳から18歳になって、そんなに国にあかりがさしはしないでしょう。アメリカのティーンエイジャー(13歳から19歳)のように、「未成年だけど社会人」として、地域の他の年少者にも一定の指導ができるような仕組みが日本社会にあっていいと感じます。

【参議院外交防衛委員会 同日】

 「TPP11の条約の承認案」(196条約11号)が、立国共反対、自公など賛成多数で、承認すべしと決まりました。質疑では、きょうの米朝首脳会談や、沖縄の辺野古の埋め立てなどにも展開し、あまり反対派の働きかけというのはなかった風情です。いつも時間オーバーする伊波洋一さんも「きょうは時間になりましたので終わります」と語って質疑終局となり、すんなり採決されました。

【参議院内閣委員会 同日】

 「PFI法改正案」(196閣法18号)が共由反対、自公立国賛成多数で可決すべしと決まりました。あす成立のはこび。

 自由党の山本太郎さんは「上下水道事業に、(TPP11で凍結された)TPP(12)の第15章のISDS条項で、外資や大資本が地元から吸い上げて、訴えられないことになるかもしれない」と懸念し、「自民党も保守ならコンセッション方式ではなく、水道版ニューディールをすればどうか」と財政出動を呼びかけました。

 セットになる「水道法改正案」(196閣法48号)はまだ衆議院で審議入りしておらず、延長がなればみたび審議未了廃案が確実。内閣委では条約があす承認される、「TPP11国内実施法案」(196閣法62号)と、カジノ法案の前さばきとなる「ギャンブル依存症対策基本法案」(196衆法20号)がありますが、きょうはいずれも審議入りしないまま、散会しました。

【参議院国土交通委員会 同日】

 「船舶シップリサイクル香港条約実施法案」(196閣法51号)が全会一致で可決すべしと決まりました。

【参議院農林水産委員会 同日】

 「卸売市場法など改正案」(196閣法40号)が趣旨説明され、審議入りしました。田名部匡代さんは「関係者から衆議院での審議時間が短かったと言われている」とし、昨年来の新自由主義的な農政改革を「官邸農政だ」と批判しました。質疑の中では、「卸売市場という言葉は一般名詞であり、法律で規制されない」とし、民間でも使えることを認めました。参考人質疑では、「新自由主義だ」と批判する参考人もいて、なかなか収まりがつかない雰囲気が出てきました。

【参議院厚生労働委員会 同日】

 「働き方改革関連法案」(196閣法63号衆修正)と「パワハラ防止法案」(196参法9号)の参考人質疑などがありました。

【参議院文教科学委員会 同日】

 「ドーピング防止推進法案」(196衆法26号)「オリパラ特措法改正案」(196衆法27号)「スポーツ基本法改正案」(196衆法28号)「祝日法改正案」(196衆法29号)が、全会一致や賛成多数で可決しました。あす成立のはこび。

【衆議院本会議 同日】

 「海岸漂着物処理推進法改正案」(196衆法24号)が全会一致で可決。これだけで散会しました。

【衆議院総務委員会 同日】

 「NHK平成24年度決算」が全会一致で、「NHK平成25年度決算」が共産党の除く賛成多数で、「異議が無いもの」と決まりました。

【衆議院懲罰委員会 同日】

 篠原孝委員長が就任あいさつをしました。

【衆議院国土交通委員会 同日】

 石井啓一大臣が、森友国有地の大阪航空局側の報告書をまとめ、「1・5億円の値引きは、聞いた者と聞いていない者がいる」という趣旨のことを報告しました。参議院先議の「建築基準法など改正案」(196閣法44号参先議)は、4月11日(水)に参議院から送付。

●参議院総務委員会、参議院財政金融委員会、参議院経済産業委員会、参議院環境委員会はありませんでした。とくだんの当初会期内の重要法案、対決法案は見当たりません。

このエントリーの本文記事は以上です。

(C)2018年、宮崎信行。

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Miyazaki Nobuyuki

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