渡辺恒雄の後継者、宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【10/28】菅首相「学術会議任命は私が判断した」「さらに言えば、民間・若手・出身・大学に偏りがあり国の予算を投じる存在か」、菅政権は忖度ではなく相互監視型か「男性の育休とったか上司を人事評価」

2020年10月28日 17時06分12秒 | 第203回臨時国会(2020年10月下旬)菅首相初答弁
(初公開は28日14時35分ごろで、17時に速報版の趣旨はそのままに追記、手直しして内容は最終更新、タイムスタンプは17時で更新)

[写真]日本学術会議の庁舎、東京・港、先週2020年10月22日、宮崎信行撮影。

 朝日新聞デジタルも、当ニュースサイトの速報版を見て、「識者もツイート」と過去記事を修正するのならば、一度くらい、私の名前も使ってほしいものです。当面、お金は要らないので、名誉が欲しいです。それでなければ株式会社朝日新聞社は私やドワンゴの送信を営利的に妨害するのが正しい世界観だと、私は思います。

 なお、午前中の記事で、「予防接種法改正案」(203閣法1号)に、国民の努力義務規定が入っていないのではないか、と書きましたが、厚生労働省が午後、取材に応じて、入っていることが分かりました。その旨は追記しました。また内外の副作用情報による世論に対応した柔軟な政令の決定についても条文が書き込まれていることが分かりました。審議の状況に合わせて、ストレートニュースの中にまぜて今後、ご説明します。

 国会は、代表質問が始まりました。

 反知性主義の流れを見て、菅首相は日本学術会議の問題で「私が任命(漏れも含めて)した」と強調し、杉田和博官房副長官ではなく自分の考えであることを強調。「国の予算を投じるにふさわしい存在」ではなく、「民間・若手が少なく、出身・大学に偏りがある」とのおとといのNHKでの発言を踏襲し、「専門分野にとらわれずに、多様性を確保した」とさらに踏み込みました。もともと、枝野代表も世論を見たのか大きく言及しませんでしたが、インテリが多い野党議員からはもっとも大きな野次が飛びました。

【衆議院本会議 きょう令和2年2020年10月28日(水)】

 皇嗣殿下(秋篠宮文仁さま)の立皇嗣の礼をまじかにひかえて、天皇陛下(令和の徳仁さま)と殿下の双方に対する賀詞が採択されました。陛下に対しては「皇嗣の宣明を国民を代表して慶祝いたします」とし、殿下には「立皇嗣の礼をあげることを慶祝しました。続いて、裁判官弾劾裁判所の人事。

 この後、おとといの菅首相の所信表明演説に対する代表質問がありました。

 枝野幸男・立憲民主党代表は「政治に私たちは見えていますか。緊急事態宣言中のオンライン会議での学生の言葉だ」とし「これから年末年始に向けて、耐えきれない人がでてくる」「この国会をコロナ禍から国民の命とくらしを守る国会にしなければならない」と語りました。枝野さんは雇用調整助成金の少なくとも来年3月までの延長や、日米地位協定の改定などに言及しました。

 事前の報道では、野党は日本学術会議を中心にせめるとされていましたが、新聞記者もやはりインテリなのか。通常国会ではもり・かけ・桜を公選法違反の観点から切り出した枝野代表ですが、学術会議6学者任命漏れを真正面から切り出すことはしませんでした。

 しかし、菅首相の答弁では、インテリが多い野党席から最も大きな野次がでました。

 菅首相は東大の加藤、宇野教授ら6名任命漏れで「総合的、俯瞰的な観点から、専門分野にとらわれず広い視野に立って活動をおこない、国の予算を投じる機関として国民に理解される存在でなければならない」とし、「さらに言えば」とアクセスをふかしながら「民間出身者や若手が少なく、出身や大学に偏りがみられることから、多様性の確保を念頭に、私が任命権者として判断した」と答弁しました。

 雇用調整助成金の延長については「12月末まで」で、延長は「検討する」にとどまりました。雇用に関しては「卒業後3年まで新卒扱いにするよう要請したほか、新卒ハローワークを設けた」と語りました。

●透けて見えた首相の霞が関人事、忖度から相互監視へ

 野田聖子さんは、亡くなった宮川典子さんらの名を上げながら、女性の政治など各方面への参画を質問。「人口減少という国難のなか、生まれてきた大切な命をこの国は守り切れているとはいえない」としました。

 菅首相は「今年度から男性国家公務員には、一カ月以上の育休取得を求めています。この促進をはかるため、直属の上司等の取り組みを人事評価に反映します」と淡々と答弁しました。柔軟な働き方を認めているように見えて、「上司の人事評価に反映する」と何気なく語りました。安倍内閣は幹部官僚が優遇されましたが、菅内閣では、父になった男性の上司である課長は、そのとりくみを人事評価されるわけで、忖度から相互監視へという見方もできます。日本の同質社会では、息苦しさが消えることはなさそうです。この菅さんの物の言い方は、議論をして、菅さんが変わるというものではないと思います。団塊の世代だから、という言い方だと私もしっくりこないし、差別的だからやめますが、総理とはいえ一人の人間が、霞が関全体の人事評価ができるのでしょうか。カギになるかもしれません。

 立憲民主党政調会長の泉健太さんは「コロナ対策では官邸の独断が失敗につながっています。官邸内で決めるより、各省庁、そして与野党が集う国会での議論を踏まえる方が国益にかないます」と切り出しました。私も同感で「見えない官邸」が今井さんから和泉さんに代わっただけで縦割り打破ではなく縦割りに戻った方が民主的に感じます。 

 泉さんは「菅政権が前例踏襲を打破するのなら、森友・加計・桜を見る会の公文書改竄問題で調査委員会を設置すべきだ」としました。

 イージス・アショア停止では「本来、防衛大綱にも中期防にも載っていなかった大型防衛装備品で、まさに安倍政権の爆買いの一つでした。運用も陸自か海自かで混乱し、配備撤回後は代替案がどれも付け焼刃だ」と批判しました。首相は、自衛隊の予算や情勢の厳しさをあげて、必要性を強調しました。しかし、安倍さんのように、アメリカの政権のある一定の勢力から初期費用が高い装備を押し付けられる人脈とは一線を画していると推測されますので、改善がありうるかもしれません。 

【衆議院議院運営委員会 同日】

 理事会などで、枝野代表らの質問ではマスクを外していいことになりました。マイク、演壇を消毒し、水差しを交換。閣僚陣が答弁。再度消毒して、次の質問者が質問することになりました。出席については半分ずつですが、枝野代表らの時間は立憲民主党議員全員が着席していいかたちを柔軟に合意しました。あすからまた変わるかもしれません。
 
【参議院 きょう】

 きょうはありません。きのうは予算委員会の筆頭間協議があり「2日間ではなく3日間」を野党が要求しました。

●あすの予定

 参議院本会議は午前10時から、衆議院本会議は午後2時から。各党代表質問。

このエントリーの本文記事は以上です。
国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読ください。 
このブログは以下のウェブサイトを活用しエントリー(記事)を作成しています。
インターネット版官報

(C)2020年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

菅内閣2法案「取り下げ」でさらに縮小戦、人事院「月給据え置き」第2弾勧告で検察官と裁判官の給与法案2本不要に、稲田朋美さん筆頭理事の法務委員会は法案付託ゼロの公算【追記有】

2020年10月28日 10時50分13秒 | 第203回臨時国会(2020年10月下旬)菅首相初答弁
[写真]稲田朋美さん、きょねん2019年、自民党大会ホテルで、宮崎信行撮影。

 菅義偉内閣が提出すると議運に報告していた10議案のうち2議案を取り下げることになりました。

 人事院はけさ、令和2年人事院勧告で、異例の第二弾を出しました。第一弾の期末手当0・05か月分下げと違い、第二弾では月例給は据え置きが相当だとしました。

 これにより、「検察官俸給法改正案」と「裁判官報酬法改正案」の提出が不要となりました。検事総長から高検検事長、最高裁長官から高裁長官までの数十人だけは特別職給与法、それ以外の検事や判事は一般職給与法を使うことが規定されており、期末手当だけの改定ならば法案が不要になります。

 「一般職給与法改正案」(203閣法 号未提出)「特別職給与法改正案」(203閣法 号未提出)「防衛省自衛隊給与法改正案」(203閣法  号未提出)だけとなりそうです。

 政府が提出する議案は10本ではなく、8本になりそうです。

 議運委が起草する「国会議員歳費法改正案」も不要になりそうです。「国会議員秘書給与法」は「期末手当の額は、期末手当基礎額に一般職公務員の例により一定の割合を乗じて得た額 」となっており、「例」ですから一般職給与法改正案が成立すれば、不要かもしれません。

 衆議院法務委員会では、筆頭理事に、稲田朋美・前自民党幹事長代行が就任する方向だと、報道されています。来年は少年法改正、刑法の「不定期刑初導入」「性犯罪3年後見直し規定による量刑も含めた再検討」と大ぶり議案が目白押し。ところが、今国会は一転して法案が付託されない見通しとなりました。そのため、高鳥修一・自民党議員が主宰する「コロナ患者差別禁止法案」(仮称)が提出されるかもしれません。しかし、自民党内の極右議連で、自分の将来を見通して中道右派に転じた稲田さんに不満を募らせた高鳥さんが新・極右議連で分裂しましたので、そのしこりが国会運営に微妙な影を落とすかもしれません。

 今国会は「種苗法改正案」(201閣法37号)と「水産漁獲物の流通の証明に関する法律案」(203閣法 号=未提出)が集中する衆参農林水産委員会での、野上浩太郎農相の答弁が左右するかもしれません。201閣法37号の一部の条文は早期成立が必要だと農水省はこれまで主張してきました。

 なお、これとは別に、きのう27日、政府が提出した「コロナワクチン接種の全額国費と賠償肩代わりの予防接種法などの改正案」(203おそらく1号)に、事前報道・大臣会見・副大臣答弁で「検討」されていた、「国民が接種を受ける努力義務規定」が入っていないことが分かりました。経緯などについては、厚生労働省に取材をしていますが、コールバック待ちとなっています。後で改めて記事化することになるかもしれません。

【追記 16時40分】

 最後の段落の「国民が接種を受ける努力義務規定」は入っていることが分かりました。厚生労働省が筆者の取材に答えました。

【追記おわり】

このエントリーの本文記事は以上です。
国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読ください。 
このブログは以下のウェブサイトを活用しエントリー(記事)を作成しています。
インターネット版官報

Ⓒ2020年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする