ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

【10/30】あら不思議、参議院本会議の傍聴券から議員が消えたコロナ反知性主義吊し上げられる首相の狼狽のもとに

2020年10月30日 17時49分39秒 | 第203回臨時国会(2020年10月下旬)菅首相初答弁
 菅義偉首相のもとでの衆参本会議が終わり、週明け月曜日8時55分から衆議院予算委員会となります。

【参議院本会議 令和2年2020年10月30日(金)】

 代表質問2日目。

 午後1時半から午後2時半近くまで、先着順公衆傍聴券で、傍聴しました。前回がいつか確認したら2016年5月2日以来ということで、岡田克也代表が落とし穴に落とされ、私が実父の介護で携帯電話を切れない状況が続いたためか、4年5か月ぶりの参議院本会議現地傍聴となりました。

 その間に、傍聴券の半券に変化が。少なくとも2010年10月1日から2016年5月2日までの半券の写真には、議場に議員がいるのですが、きょう持ち帰った半券には、一人も議員がおらず空席。反知性主義の嵐の中で、組織の用心棒のような各党参議院議員に愛想をつかし、もう参議院はAI議員やネット投票で十分だという皮肉が込められているのかもしれません。第一委員会室関係の傍聴券半券はそれ以前から空席だったようです。

 公明党の山口那津男さんは「新たな連立政権合意をかわした」と切り出し「6月に成立した改正社会福祉法による、引きこもり・介護などの複合的リスクに対応する、包括的な、断らない相談支援を含む支援体制整備事業の来年4月の本格スタートにむけて、縦割り打破で全区市町村で行うべきだ」と語りました。

 日曜日の「大阪都・大阪市廃止4特別区新設」住民投票については、当日のうちに開票特番が確定できなさそうな接戦となっている」(反対派の野党筋)そうです。ただし、維新の片山虎之助さんは、「コロナ対策では経済との両立をはかる政権の取り組みを評価したい」と述べ、永田町での対決はさけました。

 国民民主党の小林正夫さんは「労働は国力の源だ」との独自の国家観を示しながらも、AIによる労働災害軽減を働きかけました。私は首相の答弁を議場で直接見ましたが、この後、4人の職員が消毒し、厚労大臣が答弁。そのまま経産大臣が答弁。この後、また消毒がありました。この消毒をする答弁時間のなんらかの基準があるようです。コロナ禍は総力戦ですので、これに関する余計な野次を飛ばす議員は与野党ともいませんでした。

 共産党の小池晃さんは、日本学術会議を追求。これに対する首相の答弁では、議長席から見て最も左側にすわる共産党と、最も右側にすわる国民民主党など野党が野次で応酬。自席に帰った小池さんが維新の石井章さんに「黙っててくださいよ」と野党同士の野次の応酬もあり騒然としました。議長席から見て、真ん中に座る自民党と公明党はだまるだけで、時々いっせいに拍手を送るだけ。またコロナ対策のために、参議院本会議場は最前列まで使って議員同士のソーシャルディスタンスをとっています。そのため、首相から見ると、目の前の席から180度の角度で野次を浴びる格好となります。首相は180度吊し上げに面食らったようで、一瞬だけ後ろを向いて事務総長の方向に手を上げました。小川敏夫副議長と事務総長がお互いの顔を見ましたが、注意はなし。首相はこらえきれなくなったようで、もう一度、事務総長の方角に手を上げると、小川副議長が静粛にするよう注意しました。自民党席はいっせいに拍手をする行為以上のことはしないよう、国対から命じられているようでした。

 小池さんの「国連事務総長は日本は石炭中毒だと言っている」とする問いに、首相は所信表明演説の2050年二酸化炭素ゼロ目標について「石炭火力発電所については、カーボンニュートラルに貢献する技術革新を推進する」と述べ、石炭火力の新増設は認める方針と軌道修正しました。沖縄の基地負担軽減について、官房長官として実績をあげたとして「北部訓練場の返還」を上げましたが、小池さんは自席から「使ってなかっただけだよ」と野次。

 水岡俊一さんは質問の冒頭で、宮内秀樹副大臣(福岡4区、自民党二階派)が旧高速道路公団「ネクスコ」職員を議員会館の自室に呼び、国交省職員同席のもと、「手抜き工事」と報じられた建設会社に対して、パワハラがあったと認めさせ、ネクスコが担当者を異動させた、とする事案について取り上げました。

 自民党の磯崎仁彦さんは「大平首相の楕円の哲学」にもとづき、違う考え方の者を楕円のように包括する政治が理想だと説きました。

【衆議院予算委員会 同日】

 脳こうそくを克服して、法相をつとめた金田勝年さん(自民党二階派)が新しい予算委員長としてあいさつ。理事の人事。週明け月曜日午前8時55分から委員会を開くことを発表しました。

【参議院懲罰委員会 同日】
【参議院国家基本政策委員会 同日】

 理事の選任。

【閣議 同日】

 「被害者生活再建支援法改正案」(203閣法 号)「郵便法及び信書法改正案」(203閣法 号)「特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律案」(203閣法 号)の3法案を決定し、国会に提出。

【枝野幸男立憲民主党代表定例記者会見 同日】

 正午から開かれました。JR東海のリニア新幹線建設について「静岡県知事が反対していることは尊重する」とし「リニアに限らず、長距離大規模な運送事業者はコロナ禍でいったん立ち止まって、再検討すべきだ」と語りました。先週はANAの社長が自民党本部の二階俊博幹事長に呼び出されたようで、空運・陸運の苦境が続きます。枝野代表は、「43の県連が立ち上がった」との指摘に対して「正直言って、9月15日の想定よりも何倍もうまくいっている」と頬をゆるませました。

●来週の予定

 衆参予算委員会一色です。念のために書いておきますが、今国会では補正予算はありません。菅首相が追加経済対策をどのタイミングで明言し、とりまとめを指示するかがポイント。政治とカネのスキャンダルもくすぶっており、月曜日午後2時12分の江田憲司・立憲代表代行の質問以降ははいつでも荒れる局面となります。

 与野党内では、生殖補助医療で生まれた子の親に関する民法特例法案の起草の検討や、税制改正、イージス・アショア代替策の新中期防などの閣議決定に向けた議論が中心となります。

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インターネット版官報

Ⓒ2020年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki
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