【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

次期首相候補で10分「運航ダイヤ」遅れも正常化、上川陽子外相「がんばりましょう」不誠実答弁で10分中断、田島麻衣子さんの「麻生元総理の容姿発言」で 参本は田村智子さん、木村英子さんも登場

2024年02月02日 17時42分24秒 | 第213回通常国会 令和6年2024年1月召集
[写真]立憲民主党の両院議員総会会場に入る田島麻衣子同党参院議員=左、おととし2022年4月20日、参議院別館「講堂」で、宮崎信行撮影。

 参議院本会議で代表質問が終わり、衆参の予算委員会で趣旨説明を聞きました。元日から猛スパートの「黄金の3年間の半ば」の2024年国会は、週明け2月5日(月)8時35分の理事会から、当初予算審議がスタートします。

【参議院本会議 きょう令和6年2024年2月2日(金)】
 公明党の山口那津男さんは、代表が9月で任期切れとなりますが、後継者の6歳下の石井啓一さんの人気が上がらず、池田大作さん逝去後の最初の国政選挙をひかえて続投の可能性は、五分五分といったところでしょうか。
 犬猿の仲の北側一雄副代表の悪口も話せる「4人会」の親友、岡田克也・立憲民主党政治改革実行本部長から、政治改革法案で呼び水がありますが、「衆議院で過半数を持つ自民党が政治改革を主導すべきだ」とゼロ回答を野党につきつけました。

 共産党のタムトモこと田村智子・新幹部会委員長は白いジャケットで、日米安保からASEANとの友好関係に軸足を移すべきだと語りました。

 2019年の参院選では旧立憲が県連主導の擁立を促したため、北海道出身者が大阪府から出たり、石川県出身者が兵庫県から出たりとちぐはぐなリクルートとなりました。田島麻衣子さんは、おそらく研究したうえで、愛知県全4人区から立候補し当選しました。来年夏の改選となりますが、同県内の団体の動きが注目されます。

 皇室の継承について、衆議院の額賀福志郎議長が機関をつくろうとしています。

 田島さんは「先日喜ばしい報道がありました。それは天皇皇后両陛下のご長女、愛子さまが大学卒業後就職されるというニュースです。能登半島の震災被害に心を痛める中で、愛子さまに励まされ、希望を取り戻す国民も少なくないのではないでしょうか。2017年に国会が付帯決議を通じて政府に要請したのは、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等でした。しかし、2021年の有識者会議報告書ではそれが皇族数の確保に変わりました。総理に伺います。政府の報告書では、女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持する一方で、配偶者の男は一般国民のままとする案が示されました。国民統合の象徴であり、国政上の権能を有しない天皇、皇室の憲法上の地位と、その皇室を構成する女性皇族が参政権も含め国民としての自由、権利を保障される配偶者および子と一つの世帯を営む制度は、果たして整合性を持ち得るのか、見解を伺います」と問いました。

 首相は「安定的な皇位継承に関する政府の報告の内容についてお尋ねがありました。女性皇族の婚姻後の配偶者と子については、有識者会議において、ご指摘のような点も踏まえつつ皇族とする考え方も含めて比較検討が行われた上で、皇族という特別の身分を有しないこととする考え方が示されたものと承知をしています。政府としては、こうした有識者会議の報告書を尊重しているところであります」と答弁しました。

 これは愛子内親王殿下や、佳子内親王殿下が、仮にご結婚なさったあとも、ご本人おひとりは皇室の一員として、例えば「皇女」といった肩書で残れる道筋へとつながるやりとりとなります。

 さて、当ニュースサイトで再び検索が増えている記事が15年前に書いた記事(伏兵「上川陽子総裁」に要注意だ!  - ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記)です。事実は小説より奇なりで、麻生太郎さんと上川陽子さんのつばぜり合いが初めて表面化しました。報道では、麻生さんは2024年1月28日の福岡・芦屋町での講演で「そんなに美しい方とは言わない」といいつつ、英語力や手際をほめ、「あんなことができた外務大臣は今までいない。新しいスターがそこそこ育ちつつある」と9月の総裁選に前後した観測気球を上げました。

 この発言について、田島さんが取り上げました。田島さんは「女性活躍に関連して伺います。麻生元総理が上川外務大臣について俺たちから見ても、このおばさんやるね。そんなに美しい方とは言わんけれども年齢や容姿に関連するコメントを行いました。上川外務大臣に伺います。大臣は、日本外交のトップとして、ジェンダー主流化や女性平和安全保障、いわゆるWPSを推進する立場にあります。私は以前、貧困撲滅や人道支援のために、アジア、アフリカ、ヨーロッパの国際機関で働いてまいりました。職場では、容姿や年齢に関するコメントはタブーとされ、そうしたコメントを耳にしたことは一切ありませんでした。上川大臣大臣はおばさんと年齢を揶揄するかのような発言および要旨を揶揄するかのような発言を公の場でされたことをどのようにお感じになっていますか。こうしたコメントについて大臣は、ありがたく受けとめると返されていますが、この同調圧力の強い日本社会で、同じ境遇にある女性たちも、大臣と同じような対応をしなければならないと感じてしまうリスクはないでしょうか。上川大臣問題があるとすればそれぞれ何がそれは何であるか、そしてなぜ大臣は抗議をされないのかお答えください」と述べました。

 これに対する答弁で、まず首相は「年齢や容姿に関する発言についてお尋ねがありました。性別や立場を問わず、年齢や容姿を揶揄し、相手を不快にさせるような発言をすることを進むべきである。このことは当然のことであります」と語りました。

 このあとがいけません。上川外相は「私に関する麻生元総理の発言についてお尋ねがございました。私は初当選以来信念に基づきまして、政治家としての職責を果たす活動をしてきました。今、女性平和安全保障のWPS、この新しい動きを主流化すべく、この根づかせるための取り組みに全力を注いでいるところでございます。世の中には様々なご意見や、また考え方があるということについては承知をしております。しかし使命感を持って、緒方貞子さんのように、脇目も振らず、着実に努力を重ねていく考えであります。田島議員ぜひ、WPS一緒に頑張りましょう」と不誠実な答弁をしました。緒方さんの名前ですが、広い意味での国連経社理ファミリーで田島さんの職歴とは直接重なっていないようです。

 私も「上川擁立論」を念頭に、外務委員会を傍聴しましたが、米軍オスプレイ墜落を受けて防衛省から来た宮澤博行副大臣が熱弁をふるう間も、委員が「私は野党ですが上川大臣就任を祝い協力できるところは協力したい」とおだてる間も、ちょっと首をかしげるだけで無反応。私や与党女性議員も指摘する長時間審議でも姿勢一つ崩さないところは変わらないのですが、国会対策に不慣れな外務省でなく自分で書いたと思われる本会議答弁で、このような政治センスの感じられない発言をしたのは、残念な気がします。

 このため、議場内交渉係がおよそ10分近く協議しました。再答弁はありませんでした。
 れいわ新選組の木村英子さんも来夏改選となります。議長席向かって左側のスロープ。多様性やバリアフリーはいつもそうですが、ずっと前からあったように感じますが、その触媒を与えたのは4年半前の木村さんらの初当選です。木村さんは秘書と介助役の2人に挟まれながら、マイクを使って質問。「私たちのことを私たち抜きで決めないでという国連のインクルーシブ防災」の考え方を紹介し、首相から前向きな答弁。拍手に包まれました。

 浅尾慶一郎議院運営委員長が裁判官弾劾裁判所裁判員を辞任し、赤池誠章さんが選出されました。

【衆議院予算委員会 同日】
【参議院予算委員会 同日】

 「令和6年度の当初の総予算3案」(213予算1・2・3号)が財務大臣から趣旨説明されました。

 「歴史的な転換点の中、時代の変化に応じた先送りできない課題に挑戦し、変化の流れを掴み取るための予算」と位置付けました。

 そのうえで「防衛関係費につきましては、防衛力整備計画に基づき、防衛力の計強化を着実に進めるとともに、引き続き防衛力を安定的に維持するための財源を確保することとしております。これらの結果、7兆9172億円を計上しております」、「公共事業関係費につきましては、ハード面の整備とソフト面の対策との一体的な取り組みにより、防災減災国土強靱化を推進するとともに、持続的な生産性の向上に向けたインフラ整備等についても重点的に取り組んでいくこととしております。これらの結果、6兆0828億円を計上しております」と語りました。

 戦後政治で初めて、一般会計内に限れば、防衛費が7・9兆円、公共事業費が6・1兆円と「コンクリートから防衛へ」の構図が生まれました。とにもかくにも賃上げと日銀の政策変更への対応が問われることになり、経済政策をめぐっても世論は流動的な2024年となりそうです。

【参議院国家基本政策委員会 同日】
 開かれ、室井邦彦前委員長の黙祷の後、浅田均委員長が牧野京夫さんを理事に選任し、衆側に合同審査会を要求するてはずを整え、散会しました。

●来週の予定 立憲民主党は党大会について、YouTubeアドレスを各種SNSなどで周知し、党員・協力党員・パートナーズ以外の有権者にも広く見てほしいと強調。地方議員も2回生が増えて、党職員も大幅に増えたことから、政党支持率をしのぐ好調ぶりを淡々と示す大会になりそうです。月曜日は午前8時55分から国会中継ですが、自民党が作成中の「裏金議員リスト」によっては多少スタートがずれ込むこともありそうです。

国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読くださり、ご寄付をお願いします。 
このニュースサイトは以下のウェブサイトを活用しています。
Ⓒ2024年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki、宮崎機械株式会社。

【岡田克也】30年後の政治改革国会の週明けの本予算案の基本的質疑一番機で岡田克也さん登場へ 山口那津男さんは「政治改革は自民」と呼び水を全面拒否

2024年02月02日 12時54分41秒 | 岡田克也、旅の途中
 しあさって、週明け月曜日の令和6年度予算案の基本的質疑で、岡田克也さんが登場することが分かりました。

 岡田さんの基本的質疑登板は、下野後の12回の通常国会のうち10回目だと思います。蓮舫代表当時は出番がありませんでした。

 午後2時12分から2時57分までの45分間。なお、国対委員長は同日朝8時35分の理事会で自民党が「裏金議員リスト」を提出しなければ審議に応じないかまえもとっています。しかし、森山裕総務会長ら6人の衆参党幹部が3グループで弁護士を交えた聴取を始めており、完全版でなくても審議の定刻スタートそのものには応じる公算が高いと考えられます。

 平成6年政治改革4法からちょうど30年後の令和6年国会。当ニュースサイトは「ミスター政治改革・普通の言葉が伝わる政治の羽田孜の弟子は岡田克也だ」という当初の設定を、多少無理がありつつも、15年守り続けて、継続できています。

 当サイト内の「4人会」の検索が増えています。東大法学部同級生の村上誠一郎、山口那津男、岡田克也、小野次郎の各国会議員経験者による「もともと憲法観が近い4人の気のおけない憲法論争」。この場では山口さんが平和安全法制に当時から否定的な考えを示していたとの驚くべき事実も明らかになっています。

 しかし、山口さんはきょう午前中の参議院本会議で「まずは震災対応に政府一丸となって取り組まなければなりません。そのうえで、昨年発覚した自民党の政治資金問題によって失墜した政治への信頼をどう取り戻すことができるのか。今国会における最も重要な課題です」と頭出しをしました。

 ところが「衆議院で過半数を持つ自民党が政治改革を主導すべきだ」と明言しました。岡田さんが政治改革をめぐり、与党・公明党の分断を誘う呼び水発言をしていることも頭に入れたうえで、全面拒否を示したとみてとれそうです。

 岡田さんは、あすは島根1区補選にのぞむ亀井亜紀子さんや石橋通宏県連代表らの応援、あさっては党大会、しあさっては予算委員会の「お忙し氏」となります。

 岡田さんの質問通告6項目は「政治改革に対する総理の基本姿勢」「岸田派の不記載」「安倍派幹部の責任」「政策活動費及び旧文通費」「政治資金の透明性確保」「政治家本人の処罰強化」となりました。

 一方、先週金曜日に党議最終決定した政治改革実行本部の最終とりまとめの
「パーティー全面禁止」で、岡田後援会が毎年5会場で0・6億円の収入を得ている足元を見透かした動きがすでに出始めており、岡田さんの度胸も試されます。

 以上です。

[マスコミ批評]長野県内の朝日新聞はすべて信濃毎日新聞社が印刷「2025年春から」と説明

2024年02月02日 09時43分11秒 | マスコミ批評
[写真]信濃毎日新聞社のJRもよりの長野駅、今から5年前の2019年9月、宮崎信行撮影。

 長野県内の、朝日新聞のすべてを、信濃毎日新聞社が印刷することになったと、きょうの朝日新聞が報じました。

 ほぼ1年後の、2025年春に、日刊スポーツPRESS社の群馬県藤岡工場が閉鎖するとの仮定の下、長野県全域で「信毎」社が印刷するとして、既に契約したとしました。長野市工場、塩尻工場に加えて、「信毎」社が設備投資で新設する予定だと説明する松本工場が主力となるとしています。

 朝日新聞の記事では、長野県内の先月時点の朝刊発行部数は27、000部だと説明しています。直近の国勢調査では、884、246世帯なので32世帯に1世帯が朝日新聞を購読している計算になります。

 正直、そのぐらいだろうなという感じがします。

 以上です。