【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

参議院政治倫理審査会が開催され「心ならずも巻き込まれてしまった」議員の出席弁明を申し立て

2024年02月27日 18時41分30秒 | 第213回通常国会 令和6年2024年1月召集
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 政治倫理審査会は参議院で史上初めて開催され、吉川さおり筆頭幹事が立維国共教社を代表して「審査の申立ての趣旨説明」をしました。衆議院では、あすの審査会で、武田良太、西村康稔の両閣僚経験者が公開を拒み、開催が先送りとなりました。

 また、政治倫理綱領が衆議院ホームページに載っていないという、呆れた実態がきょうまでに明らかになりました。

 政治倫理綱領は

(1)政治腐敗の根絶と政治倫理の向上に努める
(2)不断に任務を果たす義務を有する
(3)全体の利益の実現を目指して行動する
(4)疑惑に対して、みずから解明し、責任を明らかにするよう努める
(5)使命達成のため積極的に活動し、高い識見を養う

 このうち(3)については、自民党全体の利益を考えない閣僚経験者と物言えない陣笠議員で、孫子の兵法のように自民党が崩れています。

【参議院政治倫理審査会 きょう令和6年2024年2月27日(火)】
 答弁が不安定な農相から1年ぶりに院に戻った野村哲郎さんが会長。議院運営委筆頭理事の吉川さおりさんが、この審査会の筆頭幹事として、「申し立ての趣旨説明」をして散会しました。
 会長は「赤池誠章君外31名」と「大野泰正君」に対する審査申し立ての2件が「去る21日、吉川沙織くん外4名から、本審査会規程第1条及び第2条の規程に基づき、審査の申し立てがあった」として、一括して議題とし、「申立委員吉川沙織君」から各件の説明を聴取する、というかなり長文の読み原稿を読みました。
 吉川さんは立憲・維新・国民・共産・教育・社民を代表して申し立てたとして、裏金作りは組織的なので「心ならずも巻き込まれてしまった」議員も出席して弁明すべきだとしました。これは、全文紹介した方がよさそうですので、ほぼ全文に近い内容を書きます。

 「ただいま議題となりました議員、赤池誠章君外30名に対する審査申し立ての件および議員・大野泰正君に対する審査申し立ての件につきまして、立憲民主・社民、日本維新の会・教育無償化を実現する会、国民民主党・新緑風会、日本共産党の申立委員を代表して、その趣旨をご説明申し上げます。我々は、去る2月21日、参議院政治倫理審査会規程第1条および第2条の規程に基づき、32名の議員について、議長が定める法令に著しく違反する旨の文書を添えて申し立てを行いました。自由民主党が2月13日に公表した派閥による政治資金パーティーに関する全議員調査結果等によれば、今回、申し立て対象となった議員は、派閥から政治資金パーティー収入の還付金等を受けながら、自らの支部関係政治団体の政治資金収支報告書に収入として記載していなかった。または、記載すべき項目に正確に記載していなかったことが判明しています。政治資金規正法は政治団体に一定の届け出義務を課し、その会計処理に一定の定めを設け、収支に関する報告を求め、政治資金の授受に関する一定の制限を課しており、政治資金収支報告書への不記載等は、法に反する行為です。この事実は、同党が所属議員に対して行った調査結果等として公にされたものであり、いわば公党として、裏金の存在を認めたことにほかなりません。政治資金規正法はその第1条で、この法律は、議会制民主政治のもとにおける政党その他の政治団体の機能の重要性及び公職の候補者の責務の重要性に鑑み、政治団体および公職の候補者により行われる政治活動は、国民の不断の監視と批判のもとに行われるようにするため、政治団体の届け出政治団体に係る政治資金の収支の公開並びに政治団体および公職の候補者に係る政治資金の授受の規制、その他の措置を講ずることにより、政治活動の公明と公正を確保し、もって民主政治の健全な発達に寄与することを目的とする、と規定しており、政治資金収支報告書の適正な作成は、同法の目的を達成する上での大前提です。ゆえに、一連の不記載等は、金額の多寡を問わず、政治資金の収支の状況を明らかにすることを旨とする同法の基本理念に反し、国民の政治への信頼を損ね、国会の権威をおとしめる行為であるのみならず、複数年にわたり、かつ集団的組織的に行われていることは極めて悪質であり、政治資金規正法に違反していることは明白です。よって今回申し立て対象の議員は政治倫理綱領にある我々は政治倫理に反する事実があるとの疑惑を持たれた場合には、自ら真摯な態度を持って疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならないとの理念に則り進んで政治倫理審査会に出席し、不記載等の経緯とその使途等についてつまびらかに説明したうえで立法に携わる一員として、政治的、道義的責任を明らかにすることを要求するものです。最後に、本院において、ともに活動している議員について、こうした申し立てを行うことは必ずしも本意ではありません。しかし、今回の一連の不記載等の事態が明るみとなり、しかも一定期間継続し、集団的組織的に行われていたこともあって、国民の政治に対する信頼を毀損している今、実態の解明は政治への信頼回復のためにも必要です。今回申し立て対象とせざるを得なかった議員の中には、心ならずも巻き込まれてしまった方もいらっしゃるのではないか。政治資金規正法に抵触するのではないかと考えたものの、立場上、抗えなかった方もいらっしゃるのではないかと推察いたします。本院において、今回が初めての実質的な審査のための政治倫理審査会の開会となりますが、この場において、個々人についてあげつらうのではなく、冷静な審査を行うことで、今回の問題の構造を明らかにし、二度とこうした事態を発生させないことに繋げたいと考えております。そのためには、今回、申し立て対象となった議員の皆様に出席をいただきたく、本審査会として、ただいま議題となっております各件、特に議員赤池誠章君外30名に対する審査申し立ての件は一体として審査に入ることについてすみやかに委員各位のご賛同を賜りますようお願いいたします」。

【衆議院予算委員会 同日】
 「令和6年度予算案」は15日目。手元の計算では69時間(趣旨説明と地方公聴会除く)となっています。
 分科会の1日目がありました。
 第八分科会は国土交通省所管で、斉藤鉄夫国交相に対して質疑がありました。4月1日施行の改正障害者差別解消法(内閣府所管)の運輸事業者の「努力義務から合理的配慮規定への一括引き上げ」については、JRなど民間業者任せとも思える答弁が目立ちました。どうも予算がついていないようです。旧統一教会問題で窮地だった石橋林太郎議員(1期、比例近畿、広島市事務所、旧宏池会)に対して、高木啓議員(比例=東京12区公認)が「同じ路面電車が走る街の選出」だとして石橋国交政務官に軌道内緑化について答弁を求める場面がありました。このほか、タクシーアプリ業者は運輸事業者なのか、離島航路の運賃補助金が減っているのではないかなど多岐にわたる議題が与野党から出ました。
 総選挙後3回目の予算審議ですので、入閣より倍率が高いテレビ入り予算審議で出番がなかった超重鎮の大ベテランが唐突に登場することはありませんでした。あすも分科会。

【衆議院財務金融委員会 同日】
 「所得税法など改正案」(213閣法1号)は対政府質疑2巡目の前半で与党のみ。次回はあす9時から。ことしも重要広範議案ではないので、対総理質疑はなく、早ければ3月1日(金)にも質疑終局か。

 なお、213閣法1号についての今年の当サイト記事にやや不確かな点があり、きょねん首相が明言した公益信託の改正について、213閣法1号にも税制措置が盛り込まれていますが、これとは別に、内閣府本府が「公益信託法改正案」(213閣法 号参先=未提出)を来月上旬に提出します。

【衆議院政治倫理審査会幹事会 同日】
 あすの審査会設定は見送られました。さらに幹事会そのものが流会しました。あすの午前11時15分に幹事会が再設定されました。

【衆参の与野党の国会対策委員長 今日まで】
 今国会の参議院先議4閣法を、「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の一部を改正する法律案」(213閣法 号参先議=来月上旬提出)「公益信託法改正案」(213閣法 号参先議=来月上旬)、「総合法律支援法(法テラス法)改正案」(213閣法 号参先議=今週提出)、「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律等の一部を改正する法律案」(213閣法 号参先議=来月上旬提出)の4法案が参議院先議と決まりました。この決定を受けて、政府が参議院に提出します。

【立憲民主党常任幹事会 同日】
 来年7月後半の第27回参院選の大分選挙区(改選定数1)に元職の吉田忠智さんを公認することを決定しました。比例代表の元職の白真勲さんに続き合計2人目。

●あすの予定 参議院の本会議・憲法審査会などの開催はありません。衆議院では分科会と財務金融委という今日とほぼ同じタイムテーブルとなります。

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「衆議院の政治倫理綱領、行為規範、政治倫理審査会規程」がウェブサイトに載っていないことを認める、問い合わせ多数

2024年02月27日 17時39分33秒 | 第213回通常国会 令和6年2024年1月召集
[写真]衆議院事務局の「衆議院第二別館」、左は内閣府、右は衆議院第一議員会館、きょねん7月、宮崎信行撮影。

 衆議院事務局は、きょう27日、衆議院の「政治倫理綱領」「行為規範」「政治倫理審査会規程」が衆議院ウェブサイトに載っておらず、そのことで問い合わせが多数来ていることを明かしました。

 別の役所である「国立国会図書館」が所管する「国会会議録検索システム」の「第102回国会 衆議院 議院運営委員会 第40号 昭和60年6月25日」を見てほしいとしました。

 国会会議録検索システムのうち、「政治倫理綱領」「行為規範」「政治倫理審査会規程」はおおむね次の通り(引用元)で、不完全な部分があります。

 「政治倫理綱領」
 「政治倫理の確立は、議会政治の根幹であり、国会の権威と名誉を守り、議会制民主主義の発展に資するため」
 一、政治腐敗の根絶と政治倫理の向上に努める
 一、不断に任務を果たす義務を有する
 一、全体の利益の実現を目指して行動する
 一、疑惑に対して、みずから解明し、責任を明らかにするよう努める
 一、使命達成のため積極的に活動し、高い識見を養う

 「行為規範」
 第一、職務に関しては廉潔を保持し、公正を疑わせるような行為をしてはならない、
 第二、議員は、自己の事業に係る報酬等を除き、報酬を得ている企業、団体の名称、役職等を届け出ること、
 第三、議長、副議長、常任委員長及び特別委員長は一定の職を兼ねてはならない
 第四、所得の金額等が、前年一年間に得た歳費相当額の半額を超える場合は、これを届け出ること、
 第五、申し合わせ事項を遵守すること


 「衆議院政治倫理審査会規程」
 第一、審査会は、委員の三分の一以上の申し立てに基づき、議員が行為規範に著しく違反し、政治的道義的に責任があると認められるかどうかについて、これを審査する。
 第二、審査会は、審査の申し立てをされた議員につき、政治的道義的に責任があると認めたときは、当該議員に対し、行為規範遵守の勧告、一定期間の登院の自粛の勧告または役員もしくは特別委員長の辞任の勧告を行うものとし、これらの勧告をするには、委員の三分の二以上の多数による議決を要する。
 第三、審査会は、十一人の委員で組織し、委員は、所属議員十人以上を有する各会派の所属議員数の比率により選任すること。

 なお、委員の割り当てのない会派に対して、審査に参加できる方策を講じる。

 以上のほか、審査会の権限及び運営、審査結果の報告、会議録の作成、議員の傍聴等所要の事項につきまして規定する。