【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【岡田克也】いつもは「要求大臣総理のみ」が美学なのに「きょうは法務省刑事局長に来てもらいました」と本性が出る「令和の伊東正義」になれるか

2024年02月05日 18時39分16秒 | 岡田克也、旅の途中
[写真]「政権交代を実現しよう」と所属現職議員と衆議院総支部長の215名に話しかける岡田克也さん、きのう2024年2月4日(日)、東京プリンスホテルで、宮崎信行撮影。

 岡田克也さんが当初予算案の基本的質疑で質問するのは、私の計算が正しければ、下野後の12回の通常国会のうち10回目だと思います。やや不思議な話で総理経験者ら先輩議員もいるのにヘビーローテーションです。この現象の本当の理由は、実は私も分かりません。きょうの質疑では異変がありました。岡田さんは全閣僚出席でも質問通告で「要求大臣 総理」とだけ書きます。彼なりの美学だと思いますが、きょうは法務省刑事局長を呼び、4回質問しました。世の中でいう実は本当に怖い人です。

 30年前、意識高い系政治少年だった私は小沢一郎「日本改造計画」ばかり読んでいました。実は初めてですが、1993年7月発行の佐々木毅・CP研究会編著の「日本政治の再生に賭ける超党派国会議員16名の政治改革宣言」を読みました。





 比較政治制度研究会「CP研」の16名は、岡田克也さん、塩谷立さん、岩屋毅さん、簗瀬進元議員、石原伸晃前議員、故・住博司さん、公明党の石田祝稔前議員ら多士済々です。かいつまんで言うと、30年間、同じでやれてきて、新進党時代の人間不信を除けば岡田という人は幸せな人であり、人間というものは仕事が充実していれば、それを続けるということがなにより幸せなんだという当たり前の原則でした。

 昔話はこれくらいにして、きょうの第一委員室に戻ります。

 岡田さんは「立憲民主党の政治改革実行本部長として政治改革に絞って質問します」とトップバッター起用の理由を明かしました。そのうえで、今朝の理事会に自民党が提出した裏金リストについて「なぜ3年間か。前々回の参院選が入るから、5年以上にすべきだ」と首相にうながしました。首相は党幹部6人による聞き取りは週内に終わり、全議員アンケートも来週早々にまとまるとしました。

 岡田さんは、前日のNHK日曜討論の浜田靖一国対委員長の発言を念頭に「政治倫理審査会の出席について、国対委員長は議員の責任として説明すべきだと言っており、当たり前だ」とし、派閥幹部らの政倫審出席を求めました。

 そして、「きょうは法務省刑事局長を呼んでいます」とし、松下裕子局長(平成3年司法修習生)として、安倍晋三さんが裏金に怒ったということは違法性の認識があったのではないかとの趣旨の質問をしました。ところで松下局長は早稲田大学法学部で、「桜」以降の国会では内閣府、人事院、総務省など、早大卒局長の政治的答弁が続く気がします。

 それはさておき、局長は「お尋ねは、個別事件における証拠の内容や評価に関わる事柄についてでございまして、具体的なお答えは差し控えたいと存じますけれども、あくまでも一般論として申し上げれば、検察当局におきましては当該事案の真相を明らかにするために必要な事項について捜査を尽くした上で、その結果収集された証拠に基づきまして、また法律に照らしまして、刑事事件として取り上げるべきもの、取り上げて対処しているものと、承知をしております。そして今のお尋ねの件に関してでございますけれども具体的なことをそのものをお答えすることは差し控えたいと存じますが、検察当局はご指摘の事案に関しては、証拠上、各会派の収支報告書の作成は、代表者兼会計責任者を含む会派事務局がもっぱら行っており、派閥の幹部において収支報告書の作成自体への関与をもとより、記載内容をどのように記載していたかまで把握していたと認められず、虚偽記入の共謀があったと認めるのは困難であると判断したこと、また現時点で処理すべきものは処理したことなどを表明したと承知しております」と述べました。

 安倍さんの「共謀」はないとしました。刑事局長が「派閥」という言葉を使ったことは、ちょっと驚きました。

 最後に、岡田さんは「立憲民主党幹事長として」政策活動費はきょねん廃止したとしました。自民党も政策活動費の使い道を解明するよう岸田さんに求めました。

 前夜、岡田さんの後輩の松井孝治さんが京都市長に初当選しました。なお、前夜は岡田事務所がある川越町で久しぶりの町長選があり現職が再選しました。

 内閣人事局、検察庁法、桜を見る会、森・加計で充満した霞が関の自民党に対する手のひら返しが始まったように感じました。良し悪し別として、日本人とはそんなものです。

 以上です。

悲報・首相「自民党変わらなければ」と政治とカネは自民党単独と認めてしまう「裏金リスト」は3年分の議員名だけで「連絡協議会」協議で金曜日に締め切り延期で基本的質疑1時間前後遅れでスタート

2024年02月05日 18時04分20秒 | 第213回通常国会 令和6年2024年1月召集
[写真]自見はなこ地方創生相と橋本岳・予算委理事の結婚の式に参列した加藤勝信・筆頭理事、おととし12月、都内の神社境内から宮崎信行撮影。

 裏金国会スタートで、岡田克也さんの30年前は超党派だった政治改革について問われ、首相は「政治刷新本部長として自民党が変わらなければならない」と今回の政治とカネは自民党特有の問題だと認めてしまう、圧倒的に与党圧倒的不利から予算審議がスタートしました。但し、特捜部でなく国会審議における「政治とカネ」は再生回数が上がらない話。国対と選対を同時に考えられる幹部議員の指導に左右されそうです。

【連絡協議会(野党国会対策委員長会談)きょう令和6年2024年2月5日(月)】
【与野党国対委員長会談】


 自民党は、8時35分の理事会にむけて、裏金リストとして、収支報告書を訂正した政治団体と代表者である議員名を紐づけたペーパーを出しました。これに対して、「連絡協議会」(「立憲・社民」「維新・教育」「共産」「国民」の4会派6党)を開き、国対委員長らは、過去3年分でなく、過去5年分を出すべきだとしました。これを自民・立憲国対委員長会談で伝え、金曜日ごろに出す方向で善処されることが決まりました。

【衆議院予算委員会】
 「令和6年度予算案」(213予算1・2・3号は(趣旨説明を含めて)2日目で、基本的質疑1日目となりました。

 1時間前後遅れました。基本的質疑1日目のスタート遅れは、近年ではまれで、2019年の「18連休批判」以降では初めてとみられます。


[写真]小野寺予算委員長、きょねん11月、宮崎信行撮影。

 小野寺五典予算委員長は、「X」(旧ツイッター)で「すみません、#衆議院予算委員会 は9時から開始の予定ですが、冒頭から野党から様々な資料要求があり、開始が遅れています。荒れ模様。」とつぶやきました。

 トップバッターは、加藤勝信・筆頭理事で、これも異例。加藤さんは能登半島地震から質問しました。加賀市など石川2区の佐々木紀さんは、能登半島地震を「大震災」とするよう要望。首相は法律で「大震災」は阪神・淡路、東日本の2つしかないと説明しました。国光あやのさんは賃上げで「さらなる高み」をめざそうと語りかけました。そのうえで、年金が「物価が3・2%増・賃金が3・1%増でマクロ経済スライド発動でマイナス0・4%で、2・7%引き上げ」されることが既に決定したことで、首相に対して「これは本当にごくシンプルな話。年金がなんとデフレ脱却の効果で、バブル期以降、過去最大の伸び率になっております」「国民年金で、1人1人分1750円のプラス、この5月から、そして厚生年金でもプラス6000円上がります。今国民は卵を買うときも、いろんな野菜買うときも、1円でも10円でも安いところを探して、本当に生活を厳しい中で頑張っていらっしゃる、その中で、例えば1750円アップしたら卵6パックあります」と述べました。国光さんは前回衆院選の「日当五千円演説会」でも「先日つくばの子ども食堂を視察しましたが、あれを国営でやりたい」と首相に提案しており、テレビ入りで独特の経済観を披露しました。

 立憲民主党トップバッターの岡田克也さんは、30年前の政治改革を振り返り、「私は1990年2月初当選です。自民党公認で当選し3年4ヶ月ほど自民党に在籍をいたしました。行ってみて驚いたのは、政治改革の議論が本当に火花を散らすような議論が行われていたことです。伊東正義先生、後藤田正晴先生に接して私が感じたのは、これは自民党のためにやってる改革じゃないんだと。このままいったら日本の政治が本当におかしくなってしまう。だからこれは日本国民のために国のためにやらなきゃいけない改革なんだと。それが自民党にとって不利になってもやらなきゃいけないと」と思い出話をしました。
 首相は「まず(岡田)委員から紹介がありました。当時の議論が激しかったということ、私は当選前でありましたが、私も記憶しております」と中選挙区から小選挙区比例代表並立制以降について語りました。そして、「派閥を巡る弊害については、残念ながらこんにちまで、厳しい指摘を受けるような状況が残っていいた」とし「何としても本部長として自民党が変わらなければならないという思いを持って、中間とりまとめを実行してまいります」と語りました。自民党単独の問題だとの認識を示してしまったことで、野党の攻勢が勢いを増しそうです。

 岡田さんは全閣僚出席のところを「要求大臣 総理」とすることを美学としてきましたが、今回は異例なことに法務省刑事局長を政府参考人として登録して4回も質問しました。裏金の立憲で逮捕・起訴する金額のラインがあると指摘されておりことについて、松下裕子局長(平成3年司法修習生)は「証拠を法律と照らし合わせて他の事案と比較する」と話しており、金額のラインがあることを暗に認めました。

 この流れもあってか、立憲の井坂信彦さんの政治とカネの質問で、星屋和彦国税庁次長(平成元年大蔵省)は、既報の通り、国税当局は所得税確定申告書のほかにも書類を収集していて政治資金収支報告書(総務省又は県選管)と照らし合わせ政策活動費の使い残しを雑所得と認定するため税務調査をする方針を明かしました。初めての答弁と思われます。使途不明金は必要経費として落とせないことも明言しました。

 立憲の石川かおりさんの質問に答えて、首相は、平成30年(2018年)の種子法廃止後に、県の農業試験場は官民の連携をすすめていて、現状で法改正の必要がないと答弁しました。


●あすあさっての予定。先週末までに予算委の理事会は、今週「7時間かける3日間」の基本的審議をあさってまで開く日程で、既に合意しました。

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【速報】二階俊博氏ら自民党幹事長が受け取った政策活動費の使い残しは雑所得で、使途不明は経費で落とせず、所得税税務調査の対象、政治資金収支報告書と照らし合わせると国税庁次長、初の政府見解か

2024年02月05日 16時27分37秒 | 自民党
[写真]税務調査を受けるにあたり、映画を参考にして、わざと趣味の悪いいでたちで待ち構える宮崎信行・宮崎機械株式会社代表取締役専務(当時)、結果は「更正の必要なし」、2010年代半ば、同社のオフィス。

 国税庁の星屋和彦次長(平成元年採用)は、衆議院予算委員会で「国税庁は、政治資金収支報告書(総務省又は県選管所管)の記載も収集しており、こうして収集した情報と提出された(所得税確定)申告書を精査したうえで、仮に政治家個人に帰属する政治資金について適切な申告が行われておらず、課税上問題があると認められる場合については、的確に税調調査を行うなど、適正公平な課税につとめているところでございます」と語りました。立憲民主党の井坂信彦衆院議員に対する答弁。

 これに先立つ質疑で、政党から政治家個人への支出が政治資金規正法で認められている政策活動費のうち、使い残したお金は雑所得として申告して所得税を納める必要があると明かしました。さらに政策活動費が使途不明ならば必要経費で落とせないとも次長は答弁しました。

 国税庁が、所得税の調査で、政治資金収支報告書も見ているとの政府見解を示したのは、初めてかもしれません。

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