【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

裏金の使い道は明らかにならないまま「ヒアリング・アンケート」へ旧統一教会と旧宏池会で首相「同じ派閥だから守ろうと全く思ったことない」

2024年02月09日 18時26分14秒 | 第213回通常国会 令和6年2024年1月召集
[写真]宏池会の岸田文雄会長の自民党総裁選当選を祝う会に向かう、在りし日の北村誠吾衆議院議員、3年前の2021年9月、宮崎信行撮影。

 ちょうど10年前は、民主党(2021年解散)の福島県での1泊2日の党大会に、野党クラブ又は2福島県紙以外では当サイト1者のみが取材しました。(天罰のような大豪雪の民主党2014年福島党大会は初の宿泊形式で地方議員、女性、青年委が持ち味を発揮 - ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記)それまで大きい2つの政党は国会召集前に党大会を開いてきましたが、この10年間の日本の政党文化では、衆・予算審議中に開いて、党首下ろしを予防する日程となりました。二階俊博自民党幹事長がまねた格好です。20年前から陶片追放のように支持率調査で見える顔を変える政治と報道が続いたら、顔が見えないカネが政治を歪めて、報道が商売あがったりとなりました。

 32年前の政治改革の「熱病」の渦中にいた、簗瀬進・元民主党参議院国会対策委員長が昭和音楽大学(川崎市)を「卒業」することになり今月29日に最終講義。学外者でも30名程度が参加できるようです(事前登録絶対必須)。神奈川が輩出した歌手は多いのですが、現役バリバリの旧エピックソニー系「いきものがかり」吉岡聖恵さんの母校です。旧エピックソニー系に象徴された意識高い系若者・青年代議士たちの情熱というものも冷めやりました。

【衆議院予算委員会 きょう令和6年2024年2月9日(金)】

 「令和6年度予算案」は6日目。

 午前は一般的質疑2日目3時間コース(10時間で一巡の最後)となりました。維新の杉本和巳さんは「立憲の質問は後ろ向きだ」と語りました。
 午後は集中審議1本目「外交と農業等」。上川外相と「九州の旧森山派」の坂本農相が答弁。

 立憲の渡辺創さんは「盛山正仁大臣を首相が守るのは、同じ派閥、旧宏池会だからか」と問うと岸田さんは「同じ派閥だったから守るなどということは全く考えておりません」「旧統一教会と関係はないということを前提に任命をしたわけであります。先ほど申しましたルールに従って言うなら、新しい接点が指摘をされたら、それに向けて、その都度説明をしていく」と語りました。点検漏れで盛山さんが黙っていたから大臣に任命してしまったのではないかとの因果関係も、首相はかばいました。今週発売の月刊文藝春秋で萩生田光一・旧安倍派元事務総長は、旧安倍派は1議員の事務所よりも少ないスタッフで運営していたと明かしています。

 旧宏池会職員から、民主党の組織(非労組)内参議院議員秘書に転職した人が、組織が新人を擁立せず議員が引退することが決まった際、初めて「履歴書というものはどうやって書けばいいのか」。旧宏池会ファミリーのころは、議員引退に伴う転職は旧宏池会ないし秘書軍団が斡旋してくれていたとのことです。また、宮澤喜一第4代会長は、池田勇人初代会長から東京都京橋区出身を広島県出身に無理矢理変えさせられ憤慨していると証言していました。右肩上がりの時代には、国政進出にあたって大蔵官僚たちにも「狂気」があったということだと思います。

 3連休明けの、自民党のヒアリングとアンケートの結果を待って、同じラインナップのまま予算審議は進みます。これまで「裏金」の使い道が全く明らかになっていません。私設秘書増員は表金でやればいいので、競走馬購入、同居扶養親族の金融商品の追加証拠金、短期の株式売買(衆議院事務局への報告義務がない)、娘のミス青山コンテストの美容費用などに使ったのではないかとの観測が出ています。一方政策活動費は、きのうの藤岡隆雄さんの指摘で、二階俊博さんが3年で書籍代3500万円を支出している原資ではないかとされ、大下英治さんが二階本を相次いで出版したこととの関連性も噂されています。

●衆・財務金融委員会懇談会がきょうも開かれ、3連休明けの火曜日の夕方から「所得税法など改正案」(213閣法1号)の趣旨説明を受けるはこびとなりました。
●衆・総務委員会懇談会が開かれ、火曜日に審議することで合意しました。

参議院は、衆同様に国会同意人事案が控えていますが、きょうは議院運営委員会理事会などは開かれず審議はありませんでした。

●立憲代表は定例記者会見で、今月下旬提出の「セキュリティークリアランス2法案」(213閣法)で「大川原化工機事件「重い教訓は受け止めるべきだ」「セキュリティークリアランス法案」で立憲代表が釘をさす - ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記」大川原化工機冤罪事件との関係を指摘しました。警視庁公安部、検察庁ではなく、内閣官房・経済産業省の失政と法案の関係を幹部政治家が言及するのは、前日の社民党首SNS投稿に連続して初めてとなります。2013年成立の「特定秘密保護法」以降の適性検査は公安調査庁が担当しています。

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大川原化工機事件「重い教訓は受け止めるべきだ」「セキュリティークリアランス法案」で立憲代表が釘をさす

2024年02月09日 11時56分11秒 | 第213回通常国会 令和6年2024年1月召集
[写真]高市早苗担当相、きょねん11月、永田町で、宮崎信行撮影。

 政府は今月下旬「重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案(仮称)」(213閣法 号=未提出)と「経済安保法改正案(経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律の一部を改正する法律案)」(213閣法 号=未提出)のセキュリティクリアランス2法案を国会に提出する予定です。

 これに関連して、立憲民主党の泉健太代表はきょうの定例記者会見で「セキュリティクリアランスの必要性は一定理解はしつつも、企業の萎縮になったり、一人一人の働く者にかなり過度なプレッシャーになる可能性もありますから、その人を守るということ、企業を守ることにならなければ、むしろ活力を奪うことになりかねない」と国内経済活動への懸念を示しました。

 そのうえで泉代表は「大川原化工機事件というのは本当に、教訓にしなきゃいけない。重く受け止めて制度設計をやっていかなきゃいかんですね」と語りました。

 幹部政治家が大川原化工機事件と、政府(国家安全保障会議事務局経済班、経済産業省貿易管理部、一社・安全保障貿易情報センター)の関係について釘をさしたのは、きのうの社民党福島みずほ党首のSNSに続く初めての見解です。

 きょねん末に東京都及び国が敗訴した大川原化工機冤罪国家賠償訴訟(控訴)では、経産省職員に証人として出て来てもらって、東京都公安部刑事と検察官の判断ミスを裏付ける裁判戦術を原告側弁護士がとりました。が、この過程で、外為法・輸出管理令の「スプレードライヤー(噴霧乾燥機)における殺菌と滅菌」の定義について、警視庁の相談に乗った経産省がウィキペディアのコピーを示すなど、専門知識が欠けていたことも明らかになりました。

 さらに本来はアメリカを頂点とした日本企業のしめつけである輸出管理の国際約束「オーストラリア・グループ」に対して「規制強化を働きかける」という国策としての利害関係で本末転倒な発言をその場でしたことも分かっています。

 今回予定される法案は、携わる民間人の適正評価が中心となります。一部の観測では、高市早苗大臣(初入閣後に経産副大臣を経験)が自民党総裁選もにらんでタカ派色と企業とのコミュニケーション強化をもくろんでいるとの見立てもあり、党内でも消極的な声があります。

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