[画像]テレビ入り衆・議運委向けに模様替えした、第一委員室、2017年6月1日、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。
良くも悪くも、本会議・委員会がノンストップの、第193回通常国会。きょうは、衆参とも特に集中した日でした。ただ、「退位」も「区割り」も今週通過することになり、衆院は店じまいモードになります。私が把握する限り、5本以上の議員立法が予定されていますが、山を越しました。
【衆議院議院運営委員会 平成29年2017年6月1日(木)】
「平成の明仁天皇陛下の退位特例法案」(193閣法66号)が趣旨説明されました。質疑の後、共産党が修正案を提出。採決では修正案は共のみ賛成で否決。政府原案は、全会一致で可決しました。今国会で成立。
自民党は、政調会を中心に調整しており、総務会などで反発が出たようです。質疑に立った、茂木敏充会長に対して、菅義偉・内閣官房長官は「公布から3年以内の政令で定める日に施行するが、政令を決定する前には、首相はあらかじめ皇室会議に諮る」と明言しました。上皇には、侍従長、侍従次長を別に置くとしました。民進党は、蓮舫代表・野田佳彦幹事長の派閥「花斉会」メンバーが衆参とも調整しました。
このもようは、いつもの、「サロン(議長応接室)」ではなく、第一委員室で開かれ、NHK、衆議院インターネット中継されました。これについて、岡田系の、安住淳さんは先月17日の定例記者会見で、自ら議運委員長らに働きかけて実現するはこびとなったことを明らかにしました。
【衆議院本会議】
「民泊新法こと住宅宿泊事業法案」(193閣法61号)は、共反対、自公民賛成多数で可決し、参議院に送付。
「北朝鮮経済制裁の承認案」は全会一致で承認され、参へ。
「衆議院小選挙区区割りを2015年国勢調査にもとづき改定する、平成6年政治改革法改正案」(193閣法65号)は共反対、自公民賛成多数で可決し、参送付。今国会で成立。
「児童福祉法を改正して児相と家裁の連係を強める法案」(193閣法48号)は全会一致で可決し、参へ。施行日の規定は「公布から1か月以内」で、今国会で、参でも議了し、成立するとみられます。
【衆議院総務委員会】
「電子委任状の普及の促進に関する法案」(193閣法46号)。民進党の小川淳也さんは「これで政府提出法案は最後になる」と高市早苗総務相をねぎらいました。共産党の梅村さえこさんは「法案を読んでみたが、マイナンバーという文字が出てこないように思える」と質問すると、高市さん(総務大臣兼マイナンバー担当大臣)は、「対面交付が基本であり、マイナンバーカードが必ず要する手続きは少ない」としました。採決は全会一致で「可決すべし」と決まりました。
【衆議院農林水産委員会】
既に別エントリーにも書きましたが、2014年法律の付則にもとづく、「農業災害補償法を改正して農業保険法とする法案」(193閣法58号)が実質審議入りし、次回6日(火)に参考人質疑をすることにして、散会しました。
栃木自民党は、前の選挙で、2区で、現職農相が小選挙区で落選(比例復活)するハプニングがありました。まあ、戦後の農政の歴史を知っていれば、不思議でもなんでもないのですが、3区では、東京から落下傘の自民党、簗和生さんが、渡辺喜美さん(現維新参議院議員)をやぶって、2期目の当選をしました。簗さんは「青色申告を前提にした収入保険を新設するこの法案が成立したら、来年4月施行になるから、税、JA、農業委員会での準備を急いでほしい」としました。
【衆議院憲法審査会】
日本国憲法と基本法制、とくに新しい権利について2回目(?)の審査。参考人として、情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長が登場し「知る権利と情報公開法令」などの意見を述べました。次回の日程は未定のまま散会しました。遅々として進まないので、安倍さんの「年内に自民党案」の気持ちは共感します。
【衆議院原子力問題調査特別委員会】
一般質疑がありました。原子力規制委員会、東京電力株式会社とも幹部がまもなく交代しますが、原発問題は終わりません。
【参議院内閣委員会】
政局案件となった、「特区法改正案」(193閣法54号)が山本幸三・内閣府特命担当大臣から趣旨説明されました。そのまま、質疑に入りました。ちなみに、今次改正法案は、酒税法特区として、日本酒の規制緩和が入っていますが、たまたま、今日は改正酒税法でビールが値上げ、というニュースも話題になっていました。
桜井充さんは別エントリーに書いた通り、与党・自民党内ですら事前審査されていないらしい実態を浮き彫りにしました。桜井さんは郵政民営化法案では、自民党が一時は事前審査ではじこうとしたとして、「竹中平蔵や八代尚宏ごときが決めた特区がなぜそのまま通るのか」、国家戦略特別区域諮問会議の有識者議員である「竹中平蔵のどこが有識者だ」と痛快に批判しました。次回も質疑は続きます。
【参議院総務委員会】
「地方自治法改正案」(193閣法55号)は第31次地方制度調査会の答申の法制化で、質疑は2巡目。
初代総務大臣で、最年長参議院議員の片山虎之助さんは「最近火事が多くないか?流行しているのか?」と問うと、消防庁は「前年から4%増えている」と答弁。「自警団の組織化はできたかが、運用が大事だ」と釘をさしながら、「この法案には賛成だ」としました。法案の中身については、地方独立行政法人について、職員の勤務条件などの懸念が出ました。
【参議院法務委員会】
最大の対立法案となった「共謀罪法案」(193閣法64号衆修正)。参考人質疑についてですが、まずきょうの冒頭に委員長が図り、全会一致で議決。そこですぐに、教授、弁護士らが参考人として着席し、質疑がありました。午後の部は、法相、外相、国家公安委員長の3大臣が並んでの審査。別エントリーに書きましたが、自民党政調法務部会長の、古川俊治さんが法案の書き方について懸念を示しました。次回も質疑は続きます。
【参議院外交防衛委員会】
「日印原子力協定の承認案」(193条約3号)は、意外と話題になりませんが、きょうの質疑だけでなく、次回も審査することにして、散会しました。
●参議院財政金融委員会はありませんでした。常連の大門実起史さんは国土交通委員会にさしかえで登場しました。
●参議院文教科学委員会もありませんでした。
【参議院厚生労働委員会】
「医療法等包括改正法案」(193閣法57号)の審査。自民党は、日本臨床衛生検査技師会会長として、同組織で初めて全国比例で当選した、宮島喜文さんが質問。この後も、薬剤師、医師ら、ステークホルダーが登場しながら、ある意味、参議院らしい審査がされました。質疑は一巡で、次回も継続。
【参議院農林水産委員会】
まず、一般質疑がありました。
この後、「畜産物価格安定化法改正案」(193閣法40号)が山本有二農相から趣旨説明。次回6日(火)に参考人質疑をすることを決めて、散会しました。上述の衆の農業収入保険法改正法案は間に合うのでしょうか?
【参議院経済産業委員会】
「中小企業信用保証法改正案」(193閣法31号)の参考人質疑。全国信用金庫連合会専務理事らが出席しました。
【参議院国土交通委員会】
「港湾法改正案」(193閣法60号)。
政権交代ある政治のおかげで、民進党の羽田雄一郎さんが、後輩国土交通大臣の石井さんに質問。平成28年熊本地震のさいの、国と市の調整についてたずねました。逐条審査的だったので、どういう経緯か分かりませんが、さしかえで登場した共産党の大門さんは質問通告が重なったようでした。私は「災害時の国の代行」がそのうち、国が港湾管理者になるのではないかと思っていましたが、質疑では、どうもそういう懸念は要らないような印象を持ちました。
採決は、共産党反対、自民党、公明党、民進党、維新、希望の会、無所属クラブの賛成多数で可決しました。
●参議院環境委員会はありませんでした。
このエントリーの本文記事は以上です。
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Miyazaki Nobuyuki