第196回通常国会は、与党・衆議院第1会派の自民党の安倍晋三総裁(首相)が二階幹事長に、会期の延長幅のすり合わせを指示。公明党や参議院自民党との意見交換のうえ、あさっての、当初会期末当日に、連立与党党首会談で延長幅を決定する見通しになりました。
きょうになって、比較的与党に近いとされ、手薄になりがちな参議院にも政治部記者を配置できる、読売新聞とNHKから、「1か月前後の大幅延長」との情報が浮上しました。
私としては、衆議院本会議に上程中の、「IRカジノ施設整備法実施法案」(196閣法64号)は、さすがに、与党にとって、秋の臨時国会に継続審議(閉会中審査)にしても、何一つ得がありませんから、参議院での審議時間を確保するという思惑については、与党の立場に立てば理解できるところです。
しかし、「1か月間延長」となると、私が懸念することがあります。
それは、3月9日(金)の定例閣議で決定した「水道法改正案」(196閣法48号)と、3月13日(火)の定例閣議で決定した「国家戦略特区法改正案」(196閣法57号)が、いまだに衆議院で審議入りしていないのに、延長国会で、衆参で可決・成立してしまうのかもしれないとの懸念です。
森友「小学校特区」、加計「獣医学部特区」。きょねんの構造改革特区法及び国家戦略特区法を改正する法律は、衆議院本会議に上程後、「本会議での採決の延期動議」で、3本会議採決が延長される異例のはこびとなりました。そして、今国会では、衆議院内閣委員会で審議入りできない状態が続いています。
今次改正法案には、「自動運転特区」が盛り込まれています。自動車メーカーが、自社の敷地内のテストコースを飛び出して、公道で自動運転ができる特区です。イノベーションは大いに応援したいところですが、道路交通法や、道路運送車両法の特例措置を一部地域で認めるということになります。私は、道路交通法を、一部地域だけ緩和することには反対です。
もう一つの「水道法改正案」(196閣法48号)。昨年の通常国会でも審議入りできずに、新聞用語でいう「継続審議」、衆議院用語でいう「閉会中審査」、当ブログ用語では「審議未了廃案」となりました。継続した秋の臨時国会では、初日に衆議院解散となりましたので、廃案となりました。そして、ことし3月9日(金)に同じ文面のまま提出されました。
自治体などの地方公共団体の上水道・下水道事業に、指定管理者の参入を認める法案。私は自治体の、水道事業会計、下水道事業会計予算を見てみました。そこで見えてきたのは、まず、トイレの水洗化など下水道の整備にかかったお金が、いまだに自治体の下水道事業会計を大きく悩ませている。そして、上水道に関しては、一部の自治体では、合併前の自治体の会計を別勘定にしているところもあり、あたかも「自治体内の僻地切り捨てののりしろ」のようにも見えなくもないこと。水道料金頼みで、水道事業会計は国費はあまり多くは投入されていません。発行済みの企業債が大きく財務を下押ししています。指定管理者の可能にする「水道法改正案」ですが、これは外資が参入して儲けるのではなく、指定管理の美名のもとに、上下水道事業を切り捨てる法案だと、私はとらえます。しかし、一部の自治体がかなり追い込まれている実態はあるようです。自治体の水道事業会計の状態に応じて、濃淡をつけた、国費のかさ上げの法律・予算措置をとるべきであって、今次改正法案を成立させることは、ごく一部の自治体で、水道事業を切り捨てることにつながる、ように私には感じられます。
このような考え方から、私は「国家戦略特区法改正案」(196閣法57号)と「水道法改正案」(196閣法48号)の審議入りに反対したいところです。
ですから、会期延長は2週間程度にして、1か月間の延長には絶対反対します。
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Miyazaki Nobuyuki