(初投稿は午前5時)
[写真]雪が降る首相官邸、5年前(2014年)2月中旬に、宮崎信行が撮影。
(追記 午後3時)きょう15日の国会のまとめの部分は、新しい記事に移しました。(追記終わり)
アベノミクス偽装が確定的になりました。
安倍政権そのものの基盤を揺るがすことになりそうです。
疑いがかかった、首相秘書官経験者の中江・財務省関税局長は、2015年に毎月勤労統計のサンプルの入れ替えによる、誤差について問題視したものの、首相に報告したことはないときょう15日の衆議院予算委員会で語りました。
厚生労働省が、今から4年前、平成27年2015年6月3日(水)に初会合を開いた「毎月勤労統計の改善に関する検討会」について、複数の委員が「プラスだと喜んでいたところ実はマイナスだったということで、官邸が怒っているという話を、誰かから聞いたことがある」「官邸が問題視して、なんとかしろと言う話で厚労省が立ち上げたのが検討会だ」と語っていることが分かりました。きょう、15日付朝日新聞が3面で報じました。
毎月勤労統計については、報道を受けて、1月の最初の記者会見の冒頭で、根本匠大臣が問題があることを自ら切り出し、徹底調査を明言。監査特別委員会を1月中に設置し、1月中に最終報告書をまとめて、1月中の衆議院厚生労働委員会の閉会中審査で、次官級審議官と官房長が同席しており「自称・第三者委員会」の前提が崩れるというお粗末な対応。通常国会が始まり、野党は(1)不正統計(2)消えた給付金(3)アベノミクス偽装ーーに焦点を絞りましたが、消えた給付金は2000万人が対象とはいえ額が少ないので、世論は盛り上がらず。審議で過去に遡っていっています。
上記の2015年の初会合で、姉崎猛・統計情報部長(昭和56年労働省入省組)が、
「皆様方も御承知のように、アベノミクスの成果ということで、賃金の動きが注目されておりまして、この研究会のテーマでございます「毎月勤労統計調査」でとっている賃金、特に実質賃金の動きが世の中的に大変大きな注目を浴びております。昨日、4月の速報を発表させていただいて、プラス0.1ですけれども、24カ月ぶりにプラスになったということでしたので、昨日の夕刊、今日の朝刊も、こんなにいっぱい記事が出たのは何十年ぶりではないかというぐらい久しぶりに大きな記事になっておりまして、世の中的な関心が大変大きくなっているところです」
と語っています。このころ、安倍政権は、前年末の解散総選挙で議席を減らしながらも政権を維持。解散前は、山井和則さんや柚木道義さんらが「実質賃金がマイナスでアベノミクスは不発」だと追及し、首相が「日本銀行が物価上昇目標を示しているから物価を反映するとマイナスになる」とかわしていました。総選挙で政権を維持した安倍首相ですが、この時期は、その後半年前後にわたって、平和安全法制と労働者派遣法の成立をめざすため、支持率が下がるであろうことが容易に予想されていた時期です。そのため、「24か月ぶりのプラス」がサンプルの入れ替えに伴う誤差であり、実はマイナスだったのではないか、ということで、官邸が統計見直しの検討会の設置を指示したという観測が浮上しています。
ここでいう「官邸」は、中江元哉・首相事務秘書官(昭和59年大蔵省)をさすとの見立てが有力視されています。他の秘書官だった、柳瀬唯夫さん(昭和59年通産省)は加計学園との接触を疑われましたが、既に局長をやめ国家公務員を卒業しています。一方、中江さんは、現在の財務省関税局長。横浜・成田・神戸などの税関のトップ。財務省は、きょねんは、佐川宣寿・国税庁長官、おととしは佐川・理財局長がターゲットとなり、確定申告シーズンに大きく信頼が揺らぐ事態となりました。財務省では、他の政権で首相秘書官を経験した人物が主計局長をつとめており、夏ごろに事務次官に昇格し、消費税10%を指揮する、という人事構想もあります。これら、安倍政権と、財務省の権力基盤が大きく揺らぐ事態も想定されます。
きょう、2月15日(金)の衆議院予算委員会基本的質疑2日目では、中江さんが、「元首相秘書官の参考人」として呼ばれる公算が高まっています。週明けの2月18日(月)は、首相入りテレビ入りの集中審議が予定されており、野党が総攻撃に出る公算。
おそらく自民党国会議員の9割も知らない間に起きた出来事でしょうし、霞が関の官僚は9割9分知らない話です。今後の展開としては、現役キャリア官僚の証人喚問などをした方が、各省庁の忖度空気がかえって改善されるかもしれません。
7月21日(日)の参院選を控えて、安倍政権の雲行きが怪しくなってきました。
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