すぷりんぐぶろぐ

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バカじゃないという誉め言葉

2015年04月08日 | 雑記帳
 先週末はおそらく多くの学校で歓迎会が行われたはずだ。
 私達の職場も5名の転入があり、地元の寿司屋で小宴が開かれた。
 止せばいいのに(笑)終わった後に同僚と居酒屋に立ち寄った。
 
 カウンターしか空いていなかったので、そこに腰をおろしたら、隣席の若者が「先生!」と声をかけてきた。
 「R太です、覚えていますか」と名乗った顔には見覚えがあった。
 「おううっ、A(苗字)R太」と返答したら、嬉しそうに笑顔を返してくれた。

 もう23歳だという。
 初めて教頭になって赴任した学校の一年生だった。
 思い出はいろいろあるが、なかに強烈な忘れられない出来事がある。
 たしか、何かに短い文章を書いたはずだったと思い、古いデータを探してみる。
 あった、あった。


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 「あんた、バカじゃない」
                           
 入学して間もない、かわいい一年生の女の子がそう言い放った。

 とぼけてみせる授業展開なので覚悟はしていたが、あまりにダイレクトなその言葉に一瞬たじろいでしまう。
 しかしすぐ笑顔にもどし、ひらがなのカードを手にして授業を続けた。

 リラックスしている子供たちとは対照的に、教室の後ろに立つやや緊張気味のお母さん方。先ほどの言葉に苦笑いをしている。
 言葉を放った子供のお母さんは、顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。

 一年生との学習は本当におもしろい。
 学級担任時代に一番楽しかったのはやはり一年担任、半分宇宙人のようなその言動からは、毎日発見がいっぱいだったから…。
 そういう醍醐味はもう担任でないと味わえないなあ、教頭職になって本当によかったのかなあ、やっぱりバカなのかなあ…いやそんなこと思っている暇はない。
 次は、算数のドットカードを出してと…。


 新任教頭で赴任した4月、最初の全校PTA。
 授業参観の始まる10分前に、一年担任が家族の急病のために呼び出された。
 「心配するな。」と言ったものの、授業展開はその場で考えるしかない。

 まさに、無我夢中の45分間。
 私が出会った最初の危機管理とでも言えばいいだろうか。

 私を「バカ」と呼んでくれた女の子は、この春、ひたむきな目をした最上級生となる。

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 大変な状況のなかでも、結構前向きで楽しそうな自分が思い出される。
 それに比べて今は…よそう、繰り言は。